戯れ

 いつものように布団の裾を弄り、小さなタグに触れ 

薄くたじろぐ瞼が 明日を捉えている。

 今、この世界を彩るものは 何もない、

悪夢ばかりが蔽いつくす 展翅のハミング

 柔らかな胸を掻き乱す ふくよかな吐息が 

私自身を轢き殺す 歯車は廻り続けると

 時は零時を口づけたままで。


 滑り出す白いドレープが 躍りながら、嗚咽を洩らして。

この世界はそうやって生きている。

 簡略化された暗号を撒き散らし、

固定するシグナルは後始末を棚に上げた。

為すべきことは息を吸って吐くことぐらい、徒労もなく 

鋲で刻まれた 視界は狭く 計り知れない

クレバスの文様でたじろぐ、

今を、脅かすものを、この羽を なして捨てられようか?


 だが、失いたくないものがある。

 未来を駆けるには楽なほうを奪い

 この足では、其処は、もう、

 視界は穢れなき朔に堕とされている。

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