ダンジョンに潜ってハーレムを作ろうと思います ~あっ、何か俺だけレベルが上がるみたいですよ~

きよらかなこころ

第1話 異世界召喚に巻き込まれました

「はあ、明日も仕事か」


 日曜の夕方、俺は憂鬱な気分になってため息をはく。


 会社が明日突然無くなってないかなとアホな事を考えながら、夕飯を食べる為に外にでる。


 今日は何を食おうかな。


 んっ、何か、あのおっさんの足下光ってない?


 俺が飯屋を探して、大通りに出ようと道を歩いていると、ちょっと前を歩いているおっさんの足下が突然光り出した。


「な、なんだよこれっ」


 目の前のおっさんが慌てている姿をぼーっと眺めていたら、そのおっさんの足下の光が突如拡大し、俺の足下まで広がってきた。


 うわっ、なんだよ。


 そこで、俺の意識は一度途切れた。


 …………


 気が付くと、そこにはさっきのおっさんと白髪の爺さんが立っていた。


 あたり一面白い壁に覆われていて、どうやら部屋の中にいるようだ。


「ん? なんで二人いるのじゃ」


「おい、爺さんこれはどういうことだよ」


 おっさんが爺さんにくってかかっている。


「ふむ、シンゴとやらはどっちの男かの?」


「シンゴは俺だよ」


 おっさんの名前はシンゴというらしい。


「お主がシンゴか。となると、お主は誰じゃ?」


 爺さんが俺に尋ねてくる。


「俺はアツシ。田中アツシだ」


「ふむ、いやーすまんなアツシ。お主を間違えて連れてきてしまったわい」


 間違えた? 何言ってるんだこの爺さん。


「おい、いいから説明しろよジジイ」


「ふむ、実はなシンゴとやらを異世界に送り込んでその世界を救わせようと思っておったのじゃよ」


「おお、つまり異世界召喚か。いいじゃん、いいじゃん。早くチート能力くれよジジイ」


 異世界召喚? あのネット小説とかにあるやつか? うお、それはすげえ。


「まあ、そう急ぐな。での、問題はシンゴでなくアツシの方なのじゃが、お主は定員オーバーで送りこめんのじゃよ」


「はい?」


「シンゴを送りこむ予定の世界は一人しか送りこめなくての、さて、どうしたもんかの」


「いや、じゃあ元の世界に返してくださいよ」


「それは出来んのじゃよ。うーん、仕方ない。アツシよお主は適当に空いている世界に行って貰う」


 元の世界に帰れない上に適当な世界?


「おい、ふざけんなよ!」


「ふむ、面倒じゃから、さっさと送るぞい。それっ」


 俺の足下に魔法陣のようなものが出現し俺は光に包まれる。


「おい、せめて何かチート能力を!」


「すまんな、チート能力はシンゴ用なんじゃ」


「なんだってぇ!」


「あっ、じゃけど、既にお主の身体、シンゴの世界用に作り変えられておるの」


 魔法陣の光は強くなり、爺さん達の姿は殆ど見えなくなった。


「アツシとやら、とりあえず『ステータスオープン』と唱えるがよい」


 爺さんのそんな言葉を最後に俺の意識はまた途絶えた。


 …………


 俺が再び気が付くと、草原のど真ん中に立っていた、辺りを見回すと山と少し遠くだが、町のようなところが見える。


 くそ、あの爺さん、今度あったら一発殴ってやる。


 えっと、爺さんが最後に何か言ってたな、確か――


「ステータスオープン」


 うおっ、何かRPGっぽいステータスウインドウが出現した。


 俺の現在のステータスが表示されている。


 レベルは1か、そりゃそうだな。


 あと、アイテム欄にマップ画面とスキル画面、最後にフリースペース? 何だこりゃ。


 何かメッセージが書いてあるな。


『すまんすまん、初期スキルポイント10Pつけておいたから、許してね。最初は気弾を覚えると便利じゃよ 神より』


 あの爺さん神だったのか。


 とりあえず、現状を確認しよう。


 俺はどうやら、異世界召喚に巻き込まれて、定員オーバーのため、この世界に来た。


 チート能力はなく、レベルも1。


 なけなしの初期スキルポイント10Pがある。


 装備、今着ている服のみ。


 所持金……0!


 夢、であってほしいな。


 だが、このリアルな感じ、足下のしっかりした感触、風の音と匂い。


 そして、股をつねると痛みを感じる。


 どうやら、これは現実らしい。


 ふー。


 とりあえず、爺さんのアドバイス通り、スキルを取ってみるか。


 俺はスキル画面を開き、気弾にスキルポイントを割り振って気弾Lv1を取得した。


 すると、気弾の使い方が頭の中に流れ込んで来て、どのようにすれば、気弾を使えるのかを理解した。


 なるほど、魔力とか使わずに無制限に使えるスキルなのか。


 俺は手のひらを突き出して、気弾を使用する。


 手のひらから気の塊が飛び出し、すごい勢いで飛んでいき、岩に当たって岩が砕けた。


 すごい威力だな。


 この世界ではこれが普通なのか?


「ピギー」


 なんだ?


 音のした方を振り返ると、ツノの生えたウサギが俺の方へ向かって走ってきていた。


 明らかに俺を殺しにきてるよな。


 ウサギはすごい勢いで突進してくる。


 くっ、気弾!


 俺の手のひらから飛び出した気の塊がウサギに直撃した。


――ツノラビットを倒しました。経験値を5入手しました。


 倒したのか?


 気弾が当たったウサギは吹っ飛んだ後、動かなくなった。


 それに何か変なメッセージがながれてたな。


 ステータスを開いてフリースペースの所をみると、ログとして残っていた。


 ここはログ画面だったのかな。


 ツノラビットっていうモンスターを倒して経験値を5入手したのか。


 死体は回収しておいた方がいいかな。


 こういうのは買い取って貰ってお金に換える事が出来るのが定番だし。


 俺はツノラビットの死体をアイテム欄に放り込んだ。


 便利だな、荷物とか気にしなくてよさそうだ。


 さて、一先ずあの見えている町に向かうか。


 マップ画面で確認すると、あの町はクマリリヤという町らしい。


 町に向かう途中、3体ほどツノラビットに襲われ、全て気弾で返り討ちにした。


――レベルが上がりました。


 レベルが2にあがった。


 ステータスが上がって、スキルポイントが1増えて10Pになっていた。


 レベル1上がる毎にスキルポイントは1か、じゃあ、初期スキルポイント10Pは結構いいのかもしれないな。


 町に着いた。


 町は城壁に囲まれていて、立派な門があった。


「身分証は持っているか?」


「すいません、ありません」


「では町に入るのに銀貨1枚だ」


「すいません、お金ありません」


「お金がない? そんあ良い服を着ているのにか?」


「はい、持ってないんです。あっツノラビットの死体ならありますよ」


「ツノラビットの死体? そんなのどこにも持ってないじゃないか」


「いや、ちょっと待って下さいね」


 俺はアイテム欄から、ツノラビットの死体を取り出した。


「ほら、これです」


「お主、空間魔法の使い手だったのか」


 空間魔法? アイテム欄のことかな。


「ふむ、確かにツノラビットの死体だな。いいだろう、こいつを一匹治めるなら、入場料の代わりとしよう」


「ありがとうございます」


 ふう、何とか無事に町の中に入る事ができたな。


 ツノラビットの死体はどうやらお金になるみたいだし、どこか換金できる所に行かないと。


「門番さん。ツノラビットを換金できる所ないですか?」


「冒険者ギルドでモンスターの買取を行っているぞ。後、腕に覚えがあるなら、ダンジョンに潜ってみるといい」


「ダンジョンですか?」


「何だ、知らずにこの町に来たのか? この町はダンジョン都市だ。立派なダンジョンがあり、そのダンジョンを攻略しようと毎日沢山の冒険者が潜っているぞ。ダンジョンのモンスターは買い取って貰えるし、宝箱も湧いたりするぞ」


「そうなんですね。親切にありがとうございます。後、冒険者ギルドの場所を教えてもらえませんか?」


 俺は冒険者ギルドの場所を門番の人に教えて貰って、冒険者ギルドへとやって来た。


 冒険者ギルドの中はざわついていて、何人もの冒険者らしき人達がいた。


 受付らしき場所に綺麗なお姉さん達が立っていて、俺は最初に目があった茶髪のゆるふわ巨乳美女の元へとフラフラと歩いていった。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。」


「えっと、初めて何ですけど」


「かしこまりました。では冒険者ギルドと冒険者について説明させて頂きます」


「冒険者ギルドでは依頼の斡旋とモンスターの素材の買取を行っております。そして、冒険者ギルドに所属する人の事を冒険者と呼びます」


 冒険者ギルドかあ、前の世界でいう派遣業とかに近いイメージだよな。


 それにしてもこのお姉さんおっぱい大きいな。


「冒険者には冒険者ランクがありまして、高いランクになると高額な依頼を斡旋することが可能になります。依頼を達成したり、素材を治めて頂くことでポイントが溜まり、冒険者ランクを上げることが可能です。冒険者のランクはGから始まり、最高でAまでありますので、是非目指して見て下さい」


 あれ? Sが最高ランクじゃないんだ。


「ここまでで何か質問はございますか?」


「Sランクってないんですか?」


「Sランクはございますが、特別な功績を達成した者にのみ与えられるランクになります。基本的な最高ランクはAランクとなっており、Sランクは特殊なランクという事になります」


「へえ、そうなんですね。折角なんで、冒険者になりたいんですけど」


「そうですか、かしこまりました。こちらの紙に名前と年齢の記入をお願いします」


「はい、わかりました」


 そう言われて気づく、俺、この世界の文字分からないぞ。


 だが受け取った紙に書かれている文字は自然と理解できた。


 そう言えば、普通に会話出来てたな。


 明らかに日本語じゃないのにおかしな感じだ。


 自分の名前を書こうとペンを走らせたら、勝手にこの世界の文字となってアツシと紙に記入された。


「これでいいですか?」


「はい、確認します。アツシさん、29歳と少々お待ち下さいね」


 受付のお姉さんは一度奥に引っ込み、カードを持って戻ってきた。


「はい、これがアツシさんの冒険者カードになります。再発行には銀貨3枚かかりますのでなくさないように注意してくださいね」


 受付のお姉さんから受け取ったカードにはアツシと俺の名前が入っていた。


 名前の横にはGというアルファベットが書いてあり、どうやらこれが俺の冒険者ランクのようだ。


 裏面には0Pと記載されている。


「裏麺に書かれているのは現在のランクポイントになります」


 なるほど。


 あっ、そうだ、ツノラビットを買い取って貰わないと。


「あの、早速なんですけど、ツノラビットを買い取ってもらいたいんです」


「ツノラビットですか? アツシさんは手ぶらのようですけど」


「ちょっと待って下さいね」


 俺はツノラビット3体の死体をアイテム欄から取り出してカウンターの上に置いた。


「すごい、空間魔法の使い手だったんですね」


 空間魔法か、門番の人も言ってたけど、アイテム欄っの事をそんな風に呼ぶのか?


 ……いや、そんなはずないよな、ちょっと聞いてみるか。


「つかぬ事をお聞きしますが、アイテム欄ってご存じですか?」


「アイテム欄? 聞いた事がありませんね」


「えっと、じゃあ、ステータスとかレベルって言葉は?」


「うーん、どちらも聞いた事がありません。アツシさんの地域の方言か何かですか?」


「いえ、そう言うわけじゃないんですけど、後、魔物を倒すとある日突然強くなったりしませんか?」


「いえ、強くなるには毎日の修行が必要で、魔物を倒しているだけで強くなる何て聞いた事ありませんね。魔物と戦うのが上手くはなるとは思いますけど」


 なるほど、レベルが上がるのはもしかしたら俺だかなのかな。


 そう言えば、神の爺さんは俺の身体をシンゴが行く予定の世界に合わせて作り変えたって言ってたもんな。


 俺だけこの世界の理から外れた存在なのかもしれないな。


「そうですか、ありがとうございます。変な事を聞いてすいませんでした」


「いえいえ、何でも聞いてくださいね」


 受付のお姉さんはニコッと笑ってくれる。


 職業スマイルだろうけど、とっても癒やされるな。


「じゃあ、買取の方をお願いします」


「はい、ツノラビットの買取ですね。一匹当たり銀貨3枚になりますので、銀貨9枚で買い取らせて頂きます。問題ありませんか?」


「はい、大丈夫です」


 俺がそう言うと、受付のお姉さんはツノラビットの死体を台車に乗せておくに引っ込んでいった。


 一匹で銀貨3枚か。


 そりゃ門番の人も喜んで通してくれるわけだ。


 でも、銀貨1枚の価値が分からないんだよな。


 受付のお姉さんが奥から戻ってきて、カウンターに銀貨9枚を並べた。


「こちらで間違いありませんか?」


「はい、大丈夫です」


 俺は銀貨を受け取ってお姉さんに尋ねる。


「宿を探してるんですけど、この辺りで良い宿ありませんか?」


「そうですねえ、ダンジョンに近いほのぼの亭とか評判いいですよ。ダンジョンは町の中心にありますから、中心目指して歩いて行けば見つかると思いますよ」


「そうですか、ありがとうございます」


「いえいえ、またのお越しをお待ちしてますよ。あっ私エリシアと言います。是非ご贔屓にしてくださいね」


「はい、エリシアさん。ではまた」


 俺はエリシアさんに別れを告げて冒険者ギルドを後にした。


 辺りは少し暗くなっている。


「教えて貰ったほのぼの亭に行ってみるか」


 俺は教えて貰った通り、町の中心の方を目指して歩いた。


 ほのぼの亭はほのぼの亭という看板があったので、すぐに見つかった。


「いらっしゃいませ」


 中に入ると、十代前半くらいの少女が受け付けに立っていた。


「一泊したいんですけど」


「1泊銀貨3枚になります。食事付きでしたら、追加で銅貨が5枚になります」


「じゃあ、食事付きで頼む」


「かしこまりました」


 俺が銀貨4枚で支払うと、釣りとして銅貨が5枚戻ってきた。


 銀貨1枚で銅貨10枚の価値か。


「食堂はあちらになります。食堂の開いている時に自由にご利用ください」


「ああ、わかった」


 俺は渡された部屋の鍵のある部屋に入り、ベッドに腰を下ろして一息つく。


 ふう、トイレは共同で風呂はなしか。


 毎日風呂に入っていた身としては風呂が恋しいな。


 大衆浴場があるといいのだけれど。


 とりあえず、服と下着は買わないとな。


 今日は飯食ってもう寝よう。


 食堂に行ったら、何かの肉のステーキと野菜が出て来た。


 結構美味しかった。


 焼き肉ソースとかはないみたいだけど、肉自体が美味しいので十分だ。


 あまり、食にこだわりはないしな。


 俺は食事の後ベッドに入って横になる。


 明日からどうしよう。


 お金は、当面はモンスターを狩ってお金を稼ぐしかないか。


 そう言えば、ダンジョンがあるって言ってたな。


 明日冒険者ギルドに言って、エリシアさんに聞いてみるか。


 色々考えている内に俺は眠りについた。



 翌日、下着と換えの服だけ買ってから俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。こんにちは、アツシさん」


「こんにちは」


「今日はどのようなご用件ですか?」


「いや、用件があって来たわけじゃないんだ、ちょっとダンジョンについて教えて欲しくて」


「ダンジョンですか? 出現するモンスターや地図の話でしょうか」


「いえ、もっと基本的な事を知りたくて、そもそもダンジョンってなんですか?」


「ダンジョンが何かと言うのは、実は何もわかっていません。ある日突然地面から出現し、中には沢山のモンスターが徘徊しています。モンスターは何度倒しても壁から湧き出して、いなくなることはありません。後、宝箱も壁からたまに湧き出します」


「宝箱が湧き出すんですか?」


「はい、どういった原理か分かりませんが、宝箱が湧き出すのです」


「宝箱の中には何が入っているのですか?」


「多くは銅や銀の鉱石が入っています。たまに金が入っていたり、塩が入っていたりと様々なものが入っています」


「剣が入ってたりしないのですか?」


「そういった物が宝箱から出たというのは聞いた事がありませんね」


 銅や銀たまに金や塩とかが取れる、鉱山みたいだな。


 でも、だからダンジョン都市なんて物が出来ているのかもな。


「ダンジョンってぶっちゃけ稼げるんですか?」


「稼げますね。ある程度の実力がないと命を落とす危険がありますけど、稼げます」


「どれくらい稼げるんですか?」


「そうですね、一般的な冒険者で一日銀貨20枚くらいでしょうか」


 ツノラビットが7体弱くらいか。


 それって稼げるのか?


「ツノラビット7体分くらいですか、それなら外でツノラビットを狩ってた方が儲かると思うんですけど」


「アツシさんは実力のある魔法使いのようですのでそうかもしれませんが、一般的な冒険者はツノラビットを5人くらいのチームで倒すのですよ。それに、ツノラビットは群れをなしていることもあるので危険すぎますよ」


 そうなのか、気弾一撃で死んだから雑魚だと思ってたけど、アイツそんなに強かったのか。


「ところで、何で俺の事を魔法使いだと?」


「空間魔法を使ってましたし、高そうな服を着てるだけで剣の一本も持ってない。なのにツノラビットを3体ぽんと出してくるなんて、魔法使いじゃなければ出来ないと思うのですけど」


 そうなのか、よし、今日から俺は魔法使いを名乗ろう。


「なるほど、因みにダンジョンの中の魔物はツノラビットより弱いのですか?」


「ツノラビットくらいの強さの魔物は10層くらいで出現しますね。それまでの階層の魔物はもっと弱いですよ。後、一般的な冒険者の主戦場は10層未満ですからね」


 なるほど、どうやらこの世界は魔法使いがすごい強いと言うことだな。


 そして、普通は魔法を使えないと言うことかな。


 そう考えると、俺結構強い?


 まだレベル2だし、レベルあげれば、この世界で凄く強い存在になれるんじゃないか。


 何かやる気でてきたな。


 よし、そうと決まれば早速ダンジョンに行くか。


「なるほど、ありがとうございます。じゃあ、ちょっとダンジョンに行ってみます」


「はい、頑張って下さいね。地図とモンスターの情報は入りますか?」


「えっと、じゃあお願いします」


「はい、1階層辺り、銀貨1枚になります」


 金とるんかい。


 いや、地図は何か紙とか使ってるから当たり前か。


「じゃあ、今日は様子見で1階層の地図とモンスターの情報をお願いします」


 俺はカウンターに銀貨を一枚だす。


「はい、ありがとうございます。こちらが1階層の地図になります」


 エリシアさんが出してくれた地図はA4くらいの大きさの羊皮紙だった。


 びっしりと通路や部屋などが書き込まれている。


 なんか巨大な迷路のようだった。


「ここがダンジョンの入り口で、この記号が次の階層への階段のある場所です。後、この地図には載っていませんが、トラップがある階層はトラップも記号で書き込まれています」


「トラップがあるんですか?」


「はい、矢が飛んで来たり、睡眠ガスが出たり、警報がなってモンスターが寄ってきたり、色々ありますね」


「なるほど、因みに宝箱って何処でも湧き出て来るんですか?」


「はい、ダンジョン内でしたら何処でも湧き出てきますね。なので入り口付近で湧き出るのを待つ人なんかもいたりしますよ」


「へえ、モンスターが出たらすぐに外に出るわけですよね。モンスターは外に出て来ないんですか?」


「はい、不思議な事にモンスターはダンジョンの外に出て来ないのです。一度無理矢理外に出すと、外のモンスターと何ら変わらないそうですけれど」


 何らかの法則か、俺は学者でも何でもないしモンスターの生態には興味がないけどな。


「あっ、1階層のモンスターの説明をするのを忘れてましたね。1階層に出現するモンスターはウイークラビットとスモールボアの2種類になります。2種類とも単純な突進しかしてこないので、落ち着いて躱せば大丈夫ですよ」


「なるほど、ありがとうございます。じゃあ、早速行ってきます」


「はい、お気を付けて」


 俺は冒険者ギルドを後にして、ダンジョンへと向かった。


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