名もなき短編集
神里みかん
第1作
勇者と魔王
「貴様が魔王か!」
勇者は魔王に向かってそう訊ねた。
「いかにも私が魔王だ! こんなところまでノコノコと死にに来たか!」
「いいや、今日死ぬのはお前だ! 食らえ、この俺の剣を! ライトニングスマッシュソーーーーーーーーー……」
と必殺技を叫び終えようとした時だった。突然、体が動かなくなった。口や目も全く動かない。これが魔王の能力か、と思ったが魔王も全く動く気配がない。もしかして、遊び道具にされているのだろうか? 俺はいつまでこの状態のままなんだ。
そう思った時だった。急に暗闇が迫ってくる。魔王もその闇に吸い込まれ、そして俺もその中に引きずり込まれた。ここで、勇者の旅は終焉を迎えたのだ。
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