悪役たちに幸せを
マキシム
第1話:幸せを求めて
初めまして、私はクラーク王国の第一王子のアーノルド・クラーク。突然だが私は転生者だ。前世の私は日本のカレーライス店に勤務する女料理人である。ちなみに私の最期は飲酒運転の暴走車にひき逃げされ死亡し、何の因果か男に生まれ変わりました
私は乙女ゲームの登場する悪役王子に転生してしまった。悪役王子であるアーノルド・クラークは、第一王子だが国王のジェイド・クラークと側妃のアマリアとの間に生まれた王子であり王子の身分だが王位継承権はなく、異母弟で嫡男の第二王子であるリオン・クラークに強い恨みを抱いており、父である国王の死後、謀反を起こすが、リオン・クラークがヒロインのアリス・ローリー男爵令嬢とともに謀反を防ぎ、悪役王子のアーノルド・クラークと手下の悪役令嬢を処刑しアリスとリオンが結婚しハッピーエンドになる物語である
【アーノルド・クラーク】
「私、詰んでるやんけ」
私は頭を抱え、悩み続けた。このままいけば、私は処刑される。しかも父である国王は最近、病がちである。異母弟のリオン・クラークは性格はまさに絵に書いたような俺様系の王子で私のことを見下しており、文武ともに並み以下でプライドだけは高い小物だった。おまけに婚約者がいながらヒロインのアリス・ローリー男爵令嬢とイチャコラの真っ最中だ。これだから男は・・・・
まあ、そんなことは関係ない。今、私はある計画を立てている。私は密かにクラーク王国から逃亡し自由都市「サカイ」へ居住を移すことだ。自由都市「サカイ」は人口5万人を有する大都市として繁栄し都市民の合議制と独自の法律によって成り立つ自由・自治都市であり、滅多に王族や貴族は来ない。サカイは完全中立で、もし手を出せば、不可侵条約を無視した侵略国として他国に袋叩きにされる。サカイに国民登録した者は容易に手が出せない状態で、クラーク王国だけではなく他国の支配も完全に受け付けない治外法権である。サカイは古来より海運による要港や様々な道路が繋がる交通の要衝として様々な国から大量の物資が集まる経済都市でもあり、周囲に土塁や堀等を配した難攻不落の城郭都市でもある
私はいつか王宮から出て平民ライフを送りたいという願望を秘め、用事以外は、なるべく自分の屋敷で、ひっそりと暮らしつつ着々と計画の準備をし、情報屋をつかい王宮の内情や城下町の様子等を調査し、情報収集を欠かさなかった。私自身、前世は平民だったので堅苦しい王宮は嫌で仕方なかった
王宮の秘密通路を使い、王宮を脱出し自由都市「サカイ」へ向かう。旅の資金等は宝石を売って用意している
【アーノルド・クラーク】
「よし、決行は今夜だ。」
私は必要なものを持っていき、秘密通路から通り、王宮を脱出した。私は密かに馬を購入しており、早速、馬屋へ向かった。馬屋に到着した私は思いがけない人物と出くわした
【アーノルド・クラーク】
「あれ?」
【???】
「あっ。」
俺たちは一瞬の沈黙をしたあと、我に返った
【アーノルド・クラーク】
「なんで君がここにいる?マヤ・ユライザ?」
【マヤ・ユライザ】
「えっと。」
私の目の前にいるのはリオン・クラークの婚約者でユライザ公爵家の令嬢のマヤ・ユライザである。お互い気まずい状態なので・・・
【アーノルド・クラーク】
「とりあえず私は隠家にいくが、一緒にくるか?」
【マヤ・ユライザ】
「よろしいのですか?」
【アーノルド・クラーク】
「こんなところにいてもアレだからな。」
私はマヤと一緒に秘密の隠家へ避難した
【アーノルド・クラーク】
「むさ苦しい場所だが我慢してくれ。」
【マヤ・ユライザ】
「はい、失礼します。」
隠家に入った私とマヤは椅子に座った
【アーノルド・クラーク】
「では改めて聞く、なんであの場所にいたんだ。」
【マヤ・ユライザ】
「アーノルド殿下、今夜ばかりはどうかお見逃しください!」
マヤは土下座をした
【アーノルド・クラーク】
「マヤ、頭を上げてくれ、とりあえず話を聞かせてくれ。」
私はマヤを落ち着かせ話を聞いた。するとマヤは話し始めた
【マヤ・ユライザ】
「アーノルド殿下、信じられないと思いますが私、悪い夢を見たんです。私はリオン殿下の思い人であるアリス・ローリーに嫌がらせをして、リオン殿下に婚約破棄される夢を・・・」
思い出した。悪役王子のアーノルド・クラークとともに悪役令嬢のマヤ・ユライザが登場するのを・・・・
確かマヤ・ユライザは傲慢で嫉妬深い女性で悪役王子のアーノルドと結託して謀反を起こす人物である。しかし私が初めて会った時は礼儀正しく淑女のような女性だったし、例の噂が立つまで評判が良かった
【アーノルド・クラーク】
「マヤ、一つ聞きたいことがある。君は転生者か?」
マヤは驚いた表情で私の顔を見た
【マヤ・ユライザ】
「転生者って、まさかアーノルド殿下もですか!」
【アーノルド・クラーク】
「そうよ。私は産まれたときから前世の記憶があったわ。君はいつ気づいたの?」
【マヤ・ユライザ】
「はい、私も殿下同様、産まれた時から前世の記憶がありました。そしてマヤ・ユライザが性格ブスの悪役令嬢だということも。王子の婚約者になったきっかけも!」
【アーノルド・クラーク】
「それでリオンの婚約者になった感想は?」
【マヤ・ユライザ】
「もう最悪です。何が【ふん、父上の命だから貰ってやる。ありがたく思え】って、この時点でこっちから願い下げです!ですが王家の命でもあり両親からも期待されているので私は波風立たないように自分自身を高め、慎重に行動したんですけど、もしかしたら私は処罰されるかもしれません!」
【アーノルド・クラーク】
「リオンのいったことよく覚えてるわね。処罰って、君がヒロインを苛めた噂のこと?」
【マヤ・ユライザ】
「はい!私はアリス譲のことは苛めていないし、こっちから近寄らないようにしているのです!もしこのままいけば私は死刑になります!今の両親は私のことを政略結婚の道具としか見ていないのです。私が死刑になろうが平気で切り捨てるのです!」
【アーノルド・クラーク】
「そう分かったわ。それと声が大きいわよ。」
【マヤ・ユライザ】
「すいません。」
私はマヤを落ち着かせた後、私たちはお互いの前世を語り合った
【アーノルド・クラーク】
「私は日本のカレーライス専門店の料理人をやっていたわ。この世界は乙女ゲームで知ったわ。ちなみに女よ」
【マヤ・ユライザ】
「そうなんですか!私も日本です。私は乙女ゲームが大好きな経理事務担当のOLです。あのアーノルド殿下はなぜあそこにいたのですか?」
【アーノルド・クラーク】
「私は闇夜に紛れて、王宮を脱出して、馬に乗って自由都市サカイへ行くのよ。」
【マヤ・ユライザ】
「そうなんですか。実は私もなんです!」
【アーノルド・クラーク】
「じゃあ、一緒に行く?」
【マヤ・ユライザ】
「はい!」
私とマヤは馬に乗り、全速力でサカイへ向かった
【王宮サイド】
【リオン・クラーク】
「何?アーノルド兄上とマヤ譲が失踪しただと?」
【側近】
「はい。」
【リオン・クラーク】
「それでどこへ行ったんだ?」
【側近】
「それが部屋には(探さないで)という手紙だけ置いていただけまだ見つかっておりません。」
【リオン・クラーク】
「父上には知らせたのか?」
【側近】
「いいえ、陛下は病平癒の最中ですのでまだ・・・・」
【リオン・クラーク】
「そうか。ご苦労であった。二人の失踪については父上にはまだ知らせるな。分かったら下がってよい。」
【側近】
「はっ!」
側近を下がられた後・・・
【リオン・クラーク】
「アリス、出てきて。」
そこへ私の想い人のアリス・ローリーが現れた
【アリス・ローリー】
「リオン様、アーノルド様とマヤ様がいなくなったのは本当ですか?」
【リオン・クラーク】
「あぁ、まぁ所詮、父と下賤の女との間にできた奴だし、兄と思ったことはない。婚約者も父が勝手に決めた女だからな。いなくなってくれたのは私にとっては好都合だ。」
【アリス・ローリー】
「リオン様、お気をつけください!アーノルド様とマヤ様は謀反を画策しています!」
【リオン・クラーク】
「何?それは本当か!」
【アリス・ローリー】
「はい!私は夢を見たんです!アーノルド様が国王陛下が亡くなったと同時に謀反を起こす夢を!」
【リオン・クラーク】
「アリス、それは夢の中の出来事だろ。」
【アリス・ローリー】
「いいえ!毎夜、見るのです!どうか信じてください!」
【リオン・クラーク】
「うーん。」
【アリス・ローリー】
「リオン様、私はリオン様のためを思って申したげているのでございます!そうでなければ私は・・・」
【リオン・クラーク】
「ああ、分かった!君の言う通りにするよ!」
【アリス・ローリー】
「ありがとうございます。リオン様!」
【リオン・クラーク】
「父上が病がちになられている以上は私がしっかりせねばな!」
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