DSW《デッドサバイブワールド》

世も末コウセン

Chapter0-1「start」

何気ない日常。それは一瞬のうちに崩壊する物である。

 当たり前が当たり前ではなくなる時がこの世には存在する。

 どれだけ、何をかけても死という概念から逃れることはできない。

 あぁ……サイレンが鳴り始めた。もう少しで到着かな?

 俺は青ざめた妹を膝枕で支えながら絶望した。

***


 この世界には一つの遊戯が存在していた。いわゆるVRゲームというやつだ。だが、この時代のVRゲームは令和の時代のような視界に仮想空間が映し出されるだけのものではなかった。

 3208年(輝安きあん12年)のことだ。突如として仮想空間へのダイブコネクターのDIG【ダイブインターフェースゲームズ】が開発された。これは天才的な発明で、意識のみを仮想世界に転送しゲームをプレイするという物だった。もちろん意識を仮想世界に飛ばすのだから、肉体的な疲労は全くない。ゲーム中毒の症状である睡眠不足も、このコネクターが出来上がってからは解消いや、解決された。誰しもが睡眠時間をもったいないと思うこの時代において、体を休めながらゲームをプレイすることができるようになったのだ。

 それに伴い、新たなギャンブルが構築された。

——DSW【デットサバイバブワールド】

 ゲームのプレイヤーたちが銃や剣、拳等で戦うサバイバルゲーム。もちろん、そこで死んだ人は死なない。なんせゲームの世界であるからだ。ギャンブラーたちはそのバトルロイヤルの勝者を賭け事の対象にした。実際に人が死ぬわけではないので、安心して見ていられる。血が出るわけでもない。腕が飛んだ時には切り口から2、3センチ程度の丸い物体が随時飛び出るだけだ。グロ耐性がない人間も、こぞってこのギャンブルに参加した。運営会社はボロ儲け。優勝したゲーム参加者には掛けられた金額の1.5倍の金額が銀行口座に振り込まれる。

 そんな夢のようなシステムのゲームであるのは表面だけの話であった……。

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