第48話「勇者式スキャンダルの揉み消し方!!これってバイトの仕事なんですか?」


 それはバイト生活も慣れて来て落ち着き始めた朝食の風景、五人で食卓を囲みながら和やかに今日の狩りは巨大な鳥型モンスターよりも恐竜型を狩ろうかと談笑していた時だった。


「う~ん、快利……それってさすがにブラックバイトなんじゃないの?」


 ユリ姉さんの一言で俺は考えないようにしていた現実に直面させられた。そりゃあ俺だって薄々は気付いていたよ。


「そうなのかユリ姉ぇ? 私には快利が嬉々としてバイトをしているような気がするのだけど?」


「それって要は快利の社畜勇者時代? その習性を義父さんや瑠理香のお母さんが利用してるだけよね?」


「でもユリ姉さん。今回はお給料はちゃんともらってるよ?」


 そうだ、異世界では無給で無休だったがこちらには給金も休みも有る!! ブラックでは無くホワイトバイトなんだ!!


「比較対象が最悪なのよ……そもそも、あんたの力をあそこまで大絶賛してた義父さんが給料として渡してるのは月の小遣い三万円とお給料五万円でしょ? 瑠理香ん家の芸能事務所からはいくら出てるの?」


「仕事によっては違うけど4~5万くらいだけど?」


「ですが由梨花姉さん。私たちの衣食住まで賄っていただいてるのですから……」


 そこでモニカが遠慮がちに言うとセリカも頷いている。二人ともそれなりに責任は感じているようで、こちらに来てからもご飯のおかわりは三杯、食パンは四枚までと、まだ食べ盛りなのに控えてくれている。


「そもそも、そこがおかしいのよ。食費なら快利のバイトだけで余裕なのよ? それに二人も働いているし普通はそのバイト代も出るはずなのにタダ働きでしょ?」


「そうか、ユリ姉ぇ……なるほどな。そもそも私達は小遣いとは別に家全体の諸経費として月にそれなりの額を渡されているな……」


 我が家には夏休みに入ってから、正確には母さんが家に居なくなり仕事に出てからエリ姉さんに渡された生活費が有る。これを三人で管理していて光熱費や食費はここから出しているシステムになったのだ。


「そう言う事、つまり厳しいとか言ってたけど実際は、うちの家計は全然余裕なのよ。最近は教習所が終わって暇だったから家計簿チェックしてたら浮いてる額が15万とか出てて焦ったのよ」


「え? そんなに? つまり……どう言う事?」


 それじゃまるで俺が働いてるのは別の目的が有るみたいじゃないか、あれだよな、昔、異世界で王様に魔王倒すのも目的だったけど実は邪神を引きずり出す為だったとか言われたり、貴族戦争の時に実は反王家側を炙り出すためだけに俺を戦場に出したとか、そう言う感じ? と言ったら義姉二人はドン引きしていた。


「えっと、話を戻すけど……つまりね、あんたが働かなくても全っ然、我が家の家計は余裕なのよ……そもそも母さんの収入だけで私と絵梨花は高校まで出してもらってるんだから」


「え? 母さんてそんなに稼いでたの? 料理作れないのに? あんなにぽややんとしてたのに?」


「そうよ。何て言ったって資格だけで二十個以上持ってるし、男の趣味さえ悪く無ければ基本は有能な人なのよ……」


 それは知らなかった……母さん凄かったんだな。じゃあ少し待てよ……俺ってもしかして……。


「じゃあ俺は騙されていたのか……」


「快利兄さんは定期的にそうやってモンスター退治をさせられてましたよね」


「そうですわカイリは扱いやすいと良く父と王が……」


 モニカとセリカにそう言われながらも異世界と違って俺はそこまで悪い気はしなかった。理由は色々あったけど一番に思った事があった。


「いや、快利。ここまで利用されといてあんた流石に人が良過ぎるわよ?」


「そうだな快利。お姉ちゃんも少し心配になって来たぞ?」


「う~ん……でも、異世界に比べたらそれほどじゃないんだよね……そもそも命の危険が無いからね。死ぬ事が無いんだよこっちの世界って」


 そうなのだ、ここで俺がこっちの世界に戻って何をしたか思い出してみた。この間の魔王戦は例外として何をしたか? それを思い出していく。


「まずはエリ姉さんの胸を揉んで……ユリ姉さんがイベサーに引っかかってたからビルぶっ壊して、ルリが困ってたから時空魔術でダブルブッキングを解決してあげたくらいだろ?」


「快利、確かに私は揉まれに行ったが他に言い方は無いのか? ほら、義理の姉弟のラブコメ展開とか言い方が有るだろ?」


 ラブコメじゃなくて十八禁展開だった気がしたのは俺の気のせいだっただろうか? いや、あのまま俺が魔法を使ってエリ姉さんを気絶させなきゃ俺の人生が決まっていたような気がしないでもない。


「う~ん、でもエリ姉さんって今思えばあの時ってただの痴女だったよね?」


「痴女では無い!! 婚活だ!!」


 ま、こんな事言ってるけど男性恐怖症が再度復活したから今は口だけなんだよね。ここ最近は二人が増えたお陰でトラウマ発症前のように喋れるようになったのは大きいけどね。


「よしっと、ご馳走様でした……じゃあ今日も労働して来ますか!! ルリ達を迎えに行かなきゃな」


「ちょっと快利、聞いて無かったの?」


「聞いてたよユリ姉さん。だけどさ少しだけアルバイトってのも楽しいんだ。命のやり取りも無く、純粋に働くのも悪く無いなって……」


 そう、実はこれも青春なんじゃないだろうかと俺は思っていた。一番は彼女を作って青春時代を取り戻す事だけど、こう言うバイト漬けの夏休みも青春なんじゃないだろうかと思うようになっていた。モニカとセリカに午後から迎えに来ると言って俺は転移魔術でルリの家に跳んでいた。





 朝10とは文字通り朝10時から仕事始めと言う事だ。芸能界では早い時間帯らしいが学生の俺としては二時間目入ってるじゃんとか思うが色々と有るのだろう。ルリ達は未成年だから免除されているらしいが収録などは午前零時を回る通称テッペン越えが基本らしい。


「それは分かりましたけど、何で俺だけ呼び出されたんですか? エマさん」


「ええ、ちょっと瑠理香たちの耳には入れちゃまずい話が出てね、私のミスでも有るんだけど快利くんも無関係じゃないのよ」


 そう言って現場に三人を送り届けた後にエマさんに事務所の会議室まで跳んで欲しいと言われ俺はこの場に呼び出されていた。会議室は締め切られてエマさんの他にもう一人スーツ姿の男の人が居るだけだった。


「それで、そちらの方は? 初めてお会いしますけど……」


「君が秋山社長の、晃一氏の息子さんなのか?」


「はぁ、そう……ですけど、あの、エマさん?」


 さすがに親父の名前まで出して来たので不審な感じがしてエマさんを見る。でも、なんとな~くは予想は付く、二択問題なので間違える訳にはいかないから大人しく黙っているとエマさんが喋り出して答えてくれた。


「ええっと、紹介するのが遅れたけど、私の夫で風美亮一、役職は常務取締役よ」


「…………え? エマさんの旦那さんって事は……ルリのお父さん!?」


「ああ、それと瑠理香との交際は、まだ認めてないから一応そのつもりでな? 私は快利くんと呼ばせてもらうが構わないか?」


 やっぱルリのお父さんか、事務所社長かルリのお父さんかの二択だったけどストレートにお父さん来ちゃったよ。常務って言ったらそこそこ偉いよな。ナンバースリーかフォーくらいかな? そんな偉い人が親父と知り合いなのか……ま、親父も会社複数掛け持ちの取締役だし何か有るんだろう。


「ええ、親父と知り合いならその方が良いでしょうから。それで会社の上の人まで出て来て……まさかルリに近付くな!? とかそんな話っすか? 俺はバイトなだけで、しかもエマさんから頼まれて……」


「いや、別に瑠理香の交際に口を挟むつもりは無いんだ。エマにも君の事は友人だと聞いているよ。ただ事務所にまで波及する問題となると少し黙っていられなくなってね。むしろ君を巻き込んだ形になる。まずこれを見て欲しい……」


 そう言って茶色い封筒A4サイズの封筒を渡される。書類とか入ってそうな感じの封筒だ。その中から写真が数枚出て来る。


「これって……俺とルリ……ですよね?」


「そうなの、迂闊だったわRUKA状態のあの子と手を繋いで家まで跳んだ時のあなたの写真よ。家は何軒かダミーも有ったし引っ越していたのに遂にバレたわ」


「つまりあれですか? パパラッチ、てかこの場合は文〇砲すか?」


 こう言う事って本当に有るんだ。すげえと感心しながらも俺は今更ながらにルリって芸能人なんだと思い知らされた。


「ええ、この送り主が週刊誌なのかフリーの人間か分からないけど、ご丁寧に海外の銀行口座の番号のメモ書きだけ入れて来たわ」


「なるほど俺と一緒に居たせいで……確かに清楚系ナンバーワンで俺の推しのRUKAに男なんて居たら一ヵ月は寝込む自信有りますからね、とんでもないスキャンダルですよ。これは……」


「ああ、それで事務所がどう動くにせよ君には連絡しておきたくてね。まずはアルバイトの君を巻き込んで済まなかった。先ほど妻の独断で雇用したと聞いてね。まずは謝罪をしたかったんだ」


 え? 俺のアルバイトってエマさんの独断だったの? ただのマネージャーにそんな権限とか有るのだろうかと色々と気になったけど今は二人の話を聞く事にした。


「お金で解決した上で写真とネガとデータも全て渡してもらうつもりなんだけど」


「事務所ではそう言う方針で行くのだが……」


「ま、無理ですよね。向こうはネットの海にいつでも写真を流せる状態でデータを消したと嘘付けばそれまでですからね……」


 ネットのデジタルタトゥーはこれだから怖い。今は流出していないから良いけどこの写真が世間に出回ればルリのアイドル生命は終わってしまう。なので事務所が取れる行動は少ない。


「事実を公表して謝罪会見と謹慎を考えている」


「それが一番、妥当な解決方法だと社長たちと話し合ったの……」


 なるほど……良く有るパターンだな。だけどそれなら分からない事が有る。だから俺は一つの質問をする。ある種の予感と恐らくは俺の予想通りの答えが返って来ると思いながら俺は二人を見て言った。


「なんで俺を呼んだんすかね?」


「いえ、それは、あなたが当事者だからで……」


 はい。完全に大当たり。エマさんの顔見たら理解しました。嫌な予感だけは当たるな……勇者やってたから予想は付いていたけどね?


「はい、今のミスですよエマさん……俺は正直な人が好きです。本当の事をもう一度言って下さい。この元勇者カイリに、何のご依頼ですか?」


 そう言って俺は虚空から聖剣を取り出し、更に神刀も取り出す。そしておまけに鎧も最大展開する。


「ふぅ、武装展開全装備フルアーマメント!! プレゼンはこれで充分ですか? 俺がルリを守るナイトとして相応しいか、どうですか?」


「驚いたな……トリックとかじゃ無いんだな?」


 俺の鎧を装備した姿を見ても感心している所から亮一さんには事前に話はしていたようだ。秘密だって言ったんだけどなぁ……。ま、今回は仕方ないな、お詫びにルリにサイン書いてもらえるようにお願いするか。


「ええ。疑うならどうぞご自由に、そうすれば俺は手を引くだけ――――「お願い!! 瑠理香を、それとうちの事務所を助けて……」


「ふぅ、最初からそう言って下さい。エマさん、前に言いましたよね? 俺はルリをRUKAを全力でお守りしますと……あれはまだ有効ですよ?」


 あんまり元勇者兼ドルオタ舐めんなよ? 約束は必ず守るし、推しの為なら命の一つや二つは賭けられるんだよな。


「ふっ、素晴らしい!! 秋山快利くん!! やはり晃一氏の私のライバルの息子なだけは有る!!」


「ライ……バル? 親父とあなたが?」


「あなたっ!! その話は後で、取り合えず快利くん、このメモの指定時間は明日の午後の15時までに振り込めって書いて有るわ。それまでに犯人が分かる?」


 なんかエマさんが無駄に慌ててるけど俺は冷静に頭の中ですでにスキルと魔法を同時に展開してこの犯人を特定していた。


「はい。鑑定しま~す。ふむふむ、週刊文潮の深見健二、33歳、記者と出ましたよ? このメモ書きの所有者」


「「なっ!?」」


 二人が驚いた後に解説を聞くとその人物はこの会社、芸能事務所『F/R』の芸能人を比較的報道していた人物らしい、つまりは……。


「典型的なパパラッチね。うちが引っ越す事になったのも原因はそいつよ」


「え~っと、俺が中三の時ですよね? その……事件が有ったのは」


「ああ、事務所の最大の失態だ。その時にも派手にされてね……もっとも助けてくれた人たちが居て、お陰でこの本社と所属のタレント達は守られたんだがね」


 やっぱりこっちの世界でも正義の味方は居るんだな。つまり、俺が少しくらい派手に動いても問題無いってわけだ。


「なるほど……じゃあそいつどうします? 消しますか?」


 そう言った瞬間に二人の表情は硬くなった。う~ん、やっぱりこっちの人間だから甘いなぁ、一応は俺の仕事って機密処理も入ってたから翌日には海に敵方の貴族のトップが浮かんでるなんてのは良く仲間とやったんだ。


「いや、それは……」


「ああ、違いますよ。そいつの記憶消しますかって話ですよ~」


「そんな事が?」


 ま、現代日本でそんな事は出来ないけど元勇者は万能です。取り合えず洗脳して記憶を少し弄れば大丈夫だろうと俺は高を括っていた。話はそれでお終いで明日の同じ時間にここに件の記者を呼び出し俺が魔法をかけて全て無かった事にする。そう言う算段になった。


「じゃあエマさん現場に戻りましょう。良ければ亮一さんも来ます? 五分くらいなら抜けられませんか?」


「ま、まあ多少はな」


「良かった。ルリの、いいえRUKAの仕事っぷりも見てあげて下さいよ?」


 そして二人を連れて現場に入る。二人が来た事で撮影現場が無駄にピリッとしたけどルリは気合が入ったようでいつも以上に可愛く、そして美しかった。





 そして亮一さんだけをすぐに転移魔術で先ほどの会議室まで連れて戻る。約束通り五分で帰ると、やっと二人きりになれた。男同士の話がしたかったからだ。


「まだ、何かあるのかな?」


「はい、パパラッチ対策のプランBについて是非ともルリのお父さんの貴方と話しておきたい事があります」


「妻にも聞かせられないと?」


 これから話す事は少しだけ過激な事だから二人で話したいと思った。少なくとも会社の経営など上の地位の人間で決断力のある人間と話したいと俺は考えていた。


「はい。さっきの反応を見てもエマさんは良い人ですから、俺や貴方みたいに邪魔者ならば問答無用で切り捨てたり出来ないでしょ?」


「そうかな? 彼女も元は歌手だ。芸能界の酸いも甘いも経験しているから君が知らない一面もたくさん有るぞ?」


「でも本当に割り切ってる人なら仕事のストレスでお酒に逃げませんよ?」


 そう言った瞬間に亮一氏の目がスゥーっと細められた。俺を値踏みしているような感じで向こうの世界で何度も貴族共から向けられた視線だ。こいつに利用価値は有るのかと言う、そう言う目だ。


「参った。依存症じゃないけどなストレスで酒に逃げる事が有るとは聞いていたよ」


「ルリが心配してました。あとは貴方も仕事のし過ぎで倒れるんじゃないかと中学の時も、仕事の合間にも相談されてたんですよ?」


「だから、さっきは私も連れて行ったと?」


 頷くと彼はいよいよ降参だと言って両手を上げた。


「妻から凄い子が娘の彼氏候補だと言われて気軽に構えていたが、とんでもない男が来たもんだ……さて、それじゃあ隠し事抜きで男同士の話をしようじゃないか、秋山快利くん?」


 そして約三十分の間、俺達はプランBについて話合った。そして全面的に許可を得る事が出来た。


「それと最後に、社長さんにもお伝え下さ~い!! RUKAが、いいえ、風美瑠理香と言う俺の親友の女の子が居る以上、何があっても元勇者は御社の味方だと、そうお伝え下さい」


 そう言って俺は転移魔術では無く『隠れ身の腕輪』を使って目の前で消えて見せた。転移魔術と勘違いしたようで力を抜いた目の前の亮一氏は背もたれにドカッと座り込んだ。


「はぁ、元勇者か……社長、いんや兄貴? どう見るよ?」


 そう言うと会議室のドアが開いて背広の男性が出て来る。社長で兄貴、なるほど、この人がルリの叔父さんでMIMIこと南美ちゃんのお父さんって事か。やっぱり盗み聞きしてたんだな。聞こえるように宣言して正解だった。


「まだ若い。高校生と言う話だったがあれは何だ? まるで百戦錬磨のエージェントだ。下手な若手のIT社長なんかより気迫が有ったぞ? オーラが違う」


「ええ、それが恐らくは勇者とか言う人種なんだろうよ。それで社長、どうしますか? 彼に賭けますか?」 


 そこまで評価してもらって嬉しい限りだけど思った以上に大事件のようだな。しっかりと聞いておこう。


「少なくとも事務所はともかく瑠理香たちは守ってくれるような話しぶりだったな……明日の交渉次第ではエマを黙らせてでも彼を援護してやれ」


「んな無茶言わないでくれよ。職場で妻にイジメられるのは俺なんだぜ?」


「それはお前にとってご褒美だろうが……それに、何としても『S市動乱』並みのスキャンダルを起こすわけにはいかないからな。あの時は幸運だった」


 S市動乱? また聞いた事無い単語が出て来たな……。もしかしたら俺とルリが中三の時の事件名なのかも知れないな。後でルリかエマさんに聞いてみるか。


「分かってるよ。はぁ、それにしても、あんな規格外が婿に来たら俺はますます肩身が狭くなる気がするんだが? エマもお気に入りみたいだし、何より俺の可愛い瑠理香が完全に夢中だそうだ」


「ご愁傷様だな。しかし彼のような人間が味方に付くのは大きい。今はかのグループが後ろに居てくれているが、いつまでもおんぶに抱っこは出来んからな」


 う~ん、亮一氏は上役って言うよりかは中間管理職みたいな感じで苦労人っぽそうだな。そして社長さんは野心家。向こうの貴族に動きが似てる。さてさて、じゃあ向こうに戻りますか。ルリも心配してるだろうしな。そう考えて俺は今度こそ転移魔術でルリの楽屋に転移した。



「「あっ……」」


 転移した目の前のルリは下着姿だった。肌色? ベージュの下着で下のパンツに手をかけていた所で止まっていた。


「うっ、ううっ……」


 やっちまった。ラッキースケベってレベルじゃねえぞ!! 姉さん達の下着姿は見慣れてたけどアイドルのこんな姿見るのなんて人生初じゃねえか!!


「あ、いや、その……ごめん!! すぐに――――「何で地味な下着着て来たんだろぉ……今日は歌のPV収録だけだったから油断してたぁ……勝負下着じゃないよぉ」


「いやいや、ルリはその格好でもじゅうぶん魅力的だから!! むしろエロい!!」


 何言ってんの俺、何のフォローにもなって無いぞ。むしろただの感想じゃねえか。そもそも前の旅行でルリのスタイルが良いのは知っていたじゃないか!! 落ち着かせようと自分に自分で突っ込むが冷静になれない。


「色々と複雑だけど、ありがとぉ……あと着替えるまではあっち向いてて、やっぱり恥ずかしいから」


「うん。ごめん……」


 俺はその後に気まずい雰囲気のままルリと一緒にロケ弁を食べた後に次のバイト先へと向かったのだった。

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