第41話「リベンジして来る俺のお姉ちゃん達とはじめての?」


 翌朝起きると俺の両サイドにはメイドと縦ロールが居た。完全に油断していた。昨夜はエリ姉さんに襲われてフラフラになって後はユリ姉さんに任せて俺は部屋に戻って寝たらこの様だ。


「一応聞くけど何してんだお前ら?」


「既成事実ですわっ!! 勇者カイリ!!」


「そうです!! なぜか今朝は無警戒だったので思わず侵入してしまいました」


 今朝と言う事は入ってすぐか……着衣の乱れも無い……たぶん大丈夫だな。本気の夜這いをかけられた時はこれの比じゃなかったからな。それにコイツら二人揃って意外とこう言う方面は初心だったから大丈夫だろう。


「とにかく離れろ……それで? 朝からどうした?」


「勇者が無駄に疲れていた事と昨晩の結界……気になって当然ではなくて?」


 セリカがそう言うとモニカも頷くのを見て姉二人と秘密の話をしたとだけ話すと意外と食い下がらずに納得した。そして本当は朝ごはんを呼びに来ただけだと言うので二人の後に付いて外に出る。


「起きて来たわね快利!! あっちのメンバーと一緒にって言われて二人に呼びに行ってもらったのよ……ほら!! 絵梨花!! こっち来て」


「うっ……おはよう……快利」


「ん? ああ、おはようエリ姉さん今朝もいい天気……あと一時間もしたら真夏日なんてすぐに越えそうだね?」


 刹那の子守歌であやふやな記憶になってそうだし少しエッチな夢でも見たとでも思っているのだろう。と、そんな事を考えていたら今度はルリ達がやって来て全員で朝食になった。





 今日も今日とてやる事が有るのかと思えばルリ達トワディー組は湖や森などのロケーションの良い場所でSNSやブログ用の写真を撮るために午前中は別行動になった。今回のこの旅行を成立させるためのギリギリの妥協点だったらしくルリたち四人とは昼頃に合流となった。そして残った面々のこちらの五名は何をするかと思えば、いきなり二番目の姉が土下座していた。


「すまない!! 快利!!」


「いきなりどうしたの? エリ姉さん?」


 そうして俺はユリ姉さんを見るとため息を付いて俺を見ると首を横に振った。いや、意味が分からないんだけど?そうして再度エリ姉さんを見ると、こっちを見上げていたので目が合った。


「昨日は、その、錯乱していたとは言え……すまなかった……本当にすまない」


「え? なんでエリ姉さん覚えてるの? 最後に魔法かけたよね?」


「え? ああ、気は失ったが……快利が言っていた記憶があやふやになると言う現象は起きなかったぞ? だから、その余計に昨日の痴態がな……」


 え?どう言う事ですか?魔法がエリ姉さんに効いて無いと言う事なんですかね?仮にも勇者の魔法なのにという俺の疑問に答えるように脳内に響くあの声、ガイド音声さんのお時間だ!!


『ご期待して頂きありがたいのですが……特にありませんよ?』


(なんか無いの?)


『仮説は有ります。恐らくですが術耐性が出来た可能性が高いかと』


 術耐性、そのままの意味で術への耐性だ。ちなみに俺は数値やランクで表すと今の弱体化状態でAランクで数値は999となっている。ちなみに七年後の俺はSSSランクで数値は計測不能だ。今さらながら俺の体を乗っ取った魔王によく勝てたなと思う位の実力差だった。弱体化が相当効いていたとは言え改めてルリの歌の凄さを思い知らされる……と、冷静に考えているとクイッと腕が引っ張られるので意識を戻すとセリカが何か言っている。


「――――ですのっ!! 勇者カイリ!! お義姉様が固まってますわ!!」


「あ、そうだった。今調べたら恐らく姉さんに術耐性出来てるっぽいよ」


「なっ!? 術耐性……お義姉さまは騎士なんですか!?」


 実はこの術耐性なのだが意外と異世界でも持っている人が少なくて基本はアイテム、つまりはペンダントやらイヤリングやらの装身具で補うのが基本だ。俺の作ったエリ姉さん用のシャツなんて正にそれだ。よくRPGとかには有る設定だから皆が勘違いするけど俺の行った異世界ではレアスキル扱いだった。術耐性が最初から有るのは選ばれた騎士の家系そして俺みたいな特殊な人間だけだった。


「絵梨花が騎士? どっちかと言えば侍とか武士よね快利?」


「そうだね。実際俺の技の一部もエリ姉さんからのアレンジが有るし……それとエリ姉さん取り合えず立って、これ意外と大事な話だから」


「大事な話ならこのまま正座で――――「あんまり聞き分け悪いと、そうだな……お姫様抱っことかするからね? それとも昨日みたいに強引な方が良かった~?」


 そう言って少しニヤニヤしてからかうとエリ姉さんはコクリと頷いた。え?あの、そこはキレるとこですよね?破廉恥とか不届き者とか、あとは真顔になって説教じゃないですか……なんでそんな顔を真っ赤にしてるんですか、それじゃまるで……。


「あんたね、快利……昨日の絵梨花の告白覚えてないの?」


「いや、だってアレは勢いでやっただけで……あっ……」


 そうだ、勢いで錯乱したんじゃなくて勢いで本音が出たのだとしたら?つまりエリ姉さんは昨日は錯乱して変な事を言ったのではなくて七年間の胸の内を俺に見せたのだとしたら?


「快利……抱っこ……してくれないの?」


「ぐっ……がはっ……」


 なんだ普段とのギャップ、待て待ていきなりデレるな我が姉よ。昨日は錯乱して情事に持ち込もうとしたりとか色々ヤベー感じだったじゃないか……いきなり大人しくなると少し、いやかなり可愛い。


「これは……絵梨花お義姉様も勇者カイリ狙いなんですのっ!?」


「どうやら、そのようですねセリカ様……まさか由梨花様もっ!?」


「えっ? あ~……私は、まあ、その姉……だからね?」


 なんか盛り上がっているようだけど普通に手を取ってエリ姉さんを立たせると状況整理の時間だ。まず、エリ姉さんには術耐性が有る、よしOKだ。次、術耐性で昨日の出来事も覚えている。うん、これもOKだ。そして昨日の事は本気で錯乱しておらずイコール……エリ姉さんは……俺が好き?


「き、昨日は深夜のテンションって言うか……色々あって、その……前も勢いで行けるとか快利が少し生意気になったから姉の力を見せてやるとか色々と考えてたら体が勝手に動いてて……昨日もそれで……」


「この子って昔から行動力があって意外と後先考えないで突っ込むのよ。私を庇ってくれた時もそれで助けてくれたの……気持ちが優先してね。だから普段から冷静でいるために剣道とか始めたの。それでもダメだったみたいだけどね?」


 なるほどユリ姉さんの話を聞けば聞くほどエリ姉さんの今までの謎行動が分かるようだ。つまりエリ姉さんって……。


「頭は良いけどポンコツで向こう見ずな性格ってこと?」


「うっ、うるさいっ!! ちゃんと考えて行動もしていたし、思いつきで行動してたのだって、たまによくある程度だったんだぞ!!」


 うん、それって結構な頻度であったんだよね?そう思ってエリ姉さんを見ると顔をプイっと逸らされる。


「えっと、そのぉ……エリ姉さんの気持ちは大変嬉しいんですが……」


「言うな!! 分かってる……どうせ姉としてしか見られないんだろ……ユリ姉ぇならともかく私は、だから体の関係を持とうと……」


「うん。それ普通にレイプ魔の発想だから他の人には向けないでね?」


「当たり前だ!! お前以外の男に抱かれる気など無い!!」


 ここまでで分かったのは俺の義理のお姉ちゃんは俺の事が凄い好きらしい。そして俺はこの状況に正直、好きか嫌いかではなく単純に驚いていた。


「落ち着きなさい!! 絵梨花、さっきも言ったでしょ? 今日は午後から色々考えてるからって……快利、色々と複雑だろうけど今日は絵梨花に付き合って!!」


「それは別に良いけど、エリ姉さんは本当に大丈夫なの?」


「う~ん……むしろこっちの方が昔のこの子に近いのよ……」


 えぇ、どちらかと言えば厳しくてクールで、それでいて学校では人気者でイケメン。だけど俺には厳しい父親のような感じだったエリ姉さんの素がこっち?だってこれじゃ……。


「ただの普通の女の子じゃないか……」


「っ!? 快利、お前は私を何だと思ってるんだ!!」


「え? 胸デカくて美人でイケメンで勉強教えてくれて、たまに体罰紛いの特訓やらされて、間違えると叱って来るうるせえ姉だけど?」


「何も言い返せない……そしてやはり私は胸が本体なのか……」


 だって本当にそうなんだもん。そりゃ最初の頃はドキドキしたよエリ姉さんもユリ姉さんもイイ匂いしたし、最初は猫かぶって優しかったからさ。何ならユリ姉さんなんて本当に初恋だった。だが俺の発言に女性陣の目が死ぬほど厳しかった。


「はぁ、快利さぁ……オブラートに包むって言葉知らないの?」


「そう言えばそうでした勇者カイリは王国の守り手として平等なのですが、平等過ぎて相手の気持ちを察する事をしない時が多々有りましたわ」


「ええ、マイマスターは救った者も守った者も平等で全てを助けようとするのですが故に好意には鈍感です。救われたこちらの気持ちも察しろって感じ……でした」


 酷い言われようだな、それじゃまるで俺が鈍感で難聴系主人公じゃないか、人との会話は魔法で毎回盗聴しているから難聴には絶対ならないからな!!むしろ証拠保全しているくらいだ!!


「ユリ姉ぇ……やっぱりおしまいだ。二十歳になった快利に祝いと言って酒の中に睡眠薬を飲ませ童貞をサックリ頂く計画まで待てば良かったんだ……」


「おいっ!! 犯罪!! それ普通に犯罪だからなっ!! エリ姉さんみたいな美人でも訴えられたら負けるからな!?」


「そんなもの既成事実さえ出来てしまえばこっちの勝ちだ……お前を酩酊させたならば前後不覚で襲われたと言えば勝機は私に有るからな!!」


 このクソ外道の姉め……男がやったらただの犯罪行為を堂々と、ここに男女差別が有ります。例え美人でスタイル抜群な姉でもやって良い事と悪い事があると思います。犯罪は犯罪です……そりゃエリ姉さんなら悪い気はしないけどさ。


「絵梨花お義姉さま……それは難しいですわ……かつて四大侯爵家の私以外の令嬢がそのやり方でことごとく失敗しましたわ。だから私は毒や幻覚魔法で操ろうと考えましたのよ!!」


「そして私は防護の硬いマイマスターを物理的に動けなくするために爆薬作りと転移魔術を鍛えたのですっ!! セリカ様と一緒に貰って頂くためにっ!!」


 そう言えばコイツらも犯罪者のようなもんでしたねぇ……毎朝毎晩奇襲を仕掛けられたりして襲われて、おかげで俺はメイド服を見たりドリルロール髪を見たら軽く戦闘態勢に入ってしまう体になってしまった。


「そうか、まだ清い体のままか……まずは安心した快利」


「うっせえ!! まだ童貞だよ!! こっち帰って来たら絶対に20歳までに卒業するんだ!! 当てはまだないけどな!! ちくしょう!! 脱童貞がそんなに偉いのかよ!! 俺だって七年間も勇者なんてやってなければ今頃彼女くらい……彼女くらい……ううっ……」


「あ~よしよし、最近は童貞でも優しい社会になって来たから差別もされないからね? それに三十超えなくても快利は魔法も魔術も使えるんだから良いじゃない」


 なぜかユリ姉さんに頭を撫でられて慰められた。くそう、優しくなんてするなよ!! 俺は世界を何度も救った事も有るし、聖剣だって持ってるし王族から認められた本物なのに……と、俺がグチグチ言っているとユリ姉さんが優しい顔をして頭を撫でてくれていた。


「ううっ、もうユリ姉さんと結婚する~俺を甘やかしてよ~」


「ちょ、快利!! もういきなり抱きつかないの!? 本気で抱き着いてこられたら私避けられないんだからね!? 離しなさい!!」


「そして柔らかいぃ……もうユリ姉さんでいいや俺と――――あいたっ!!」


「まったく、少し甘くすると……快利? 絵梨花はこんなだし、あんたもだいぶ頭がおかしくなってるから、今日は私が仕切るわ」


 そう言うと今日の行動表なる物をユリ姉さんは出して来た。なんでもセリカ&モニカと一緒に作ったそうだ。


「てか、お前ら何でこっちの字とか書けるんだよっ!?」


「ああ、それは付与魔術のお陰ですわ勇者、これもセリーナ様がくれたもので異世界用のペンですの」


「ですがマイマスター、一部の文字は王国と共通ですが?」


 そう言うと二人から普通のボールペンを渡される。普通のボールペンだ百円ショップで三本で百円とかで売られてそうなボールペンだな。なんかモニカもボソッと言ったような気がしたがよく聞こえなかった。


「ふ~ん、便利だな。そんな術式有ったのか、その真魔王だっけ? 優秀だな」


「真・超魔王ですわ勇者カイリ。あの方が抑えているから今は何とかなってますのよ? ですから早く戦線に!!」


「あ~!! 聞こえない聞こえない!! 俺は今バカンス中!! あとユリ姉さんに甘えたいだけ~」


 そう言ってまたユリ姉さんに抱き着く。そうだよ、俺は義弟なんだしユリ姉さんに抱き着くのは何の問題も無いはずだ。これは合法、そう、合法なんだ。


「ユリ姉ぇばかりズルい……快利、私じゃダメなのか? ユリ姉ぇほどじゃないにしても私だって大きいぞ?」


「ううっ、凄い魅力的だけど……だけど――――」


「だけど、何だ? 私はいつでも――――「ふぅ、俺が抱きついたら姉さんは暴れるよね? まだステータスはトラウマレベル(上)だからさ」


 俺はユリ姉さんに抱き着きながらエリ姉さんの方を見ると声のトーンを一段低くして分かっているぞと暗に示した。これでエリ姉さんにも伝わるはず。


「えっ? 快利……急にどうした?」


「昨日のユリ姉さんと同じ状態、ちなみに今のユリ姉さんはトラウマレベル(下)まで下がってるから少なくとも、こうやって抱き着いても嫌がる程度だからね?」


 そう、今までの状態を見た上でエリ姉さんは、いきなり殴りかかるような危険なレベルは脱したようだけど、ステータスを確認したらまだ危険だ。それとユリ姉さんに抱き着いたのは、その差異を見るためであって、決してあの豊満な胸に埋もれたいと思ったわけじゃないから誤解無きようにお願いしたい。


「え? 快利、ただ単に私の胸に抱き着きたかったからなんじゃないの!?」


「違います~!! トラウマって見た事ない状態異常を確かめたかったんだよ……あ、でもユリ姉さん凄い柔らかいし、イイ匂いしたし、それはそれで凄い役得だと思ったよ!! うん!!」


「はぁ、もう……とにかく一度離れなさい? じゅうぶん確認出来たでしょ? さすがに私もドキドキしてたんだからね?」


 はい、埋もれていたら凄いドキドキして鼓動は聞こえてましたよ。俺はだらしない顔してても、ちゃんとその辺りは分かってますからね。気遣いの出来る男なんです。


「さて、じゃあ話がそれたけど今度こそ、午後からミスコンよ!! 私と絵梨花も出て二回目のね?」


「マジですか!! ユリ姉さんとエリ姉さんのポロリが有るんですか!?」


「ポロリって……快利、あんた昭和じゃ無いんだから……私と絵梨花はまだ少し怖いからビキニじゃなくてワンピースよ? 本当は足出すのも少し怖いんだから……」


「大丈夫!! 俺が完璧に治したんだから!! 『全ての医療は過去になる癒せない傷など何も無い』を使ったから問題無いしね」


 そう言った瞬間にセリカとモニカがガタッと音を立てて立ち上がった。そう言えば王国ではこれは色々と扱いがマズいものだった。


「なっ!? それって勇者系の複合魔術!?」


「あ、あれを使ったのですか……どれだけの大怪我をなさったのですか!? お二方は……そのような気配など昨日は全くありませんでしたがっ!?」


 俺が昨日、結界を張っていた事を二人は知っているので中で何があったのかを予想したようだが全くの的外れなんだよなぁ……たぶん俺が強敵と戦ったとでも思ったんだろうが、実際は二人を人目に晒したくなかっただけだ。


「え? そりゃあ私と絵梨花の火傷の痕は消すのが大変だったろうけど」


「火傷の痕……? 昨晩に全身火傷でも負われたのですか?」


「いや、その、昔の小さい頃の傷跡を消してもらったんだけど……」


「え? そ、そんな……そのような事で……」


「そのような事って……こっちは十年以上もこれで悩まされて――――」


 ま、異世界組の言い分はそうなるよな……あれって俺が解禁するまでは王族専用みたいな感じの扱いだったし、そもそもが医療魔術と回復魔法で事足りる世界で治せない傷病は諦めるのが基本だった。それを治せる奇跡の技と呼ばれていたのだ。


「その魔術は本来は手足の欠損や瀕死の重傷、そして明日をも知れない方にのみ使う特別なもので勇者の術の中でも切り札と呼ばれる『勇者三技』の一つです!! それを、そんな軽傷に使うなんて……」


「そうですね……私の傷が完全に治ってないのも救って頂いた時にマイマスターが、まだそれを覚えていなかったからなので……なるほど、だから今朝簡単に」


 二人の言い分にさすがに姉二人は驚いていた。普段からチートだと思っていたものは実は割と普通で今度こそ本物のチートだと言われたのに対してなのか、それとも俺が躊躇なく使った事に驚いたのかそれは分からない。


「……簡単にって何よ?」


「今朝、私たちは勇者の部屋に簡単に侵入出来ました。その理由がハッキリと分かりましたわ……勇者カイリ、今のあなたは消耗していますね? それもかなり」


「寝たから魔力も半分は戻ったさ問題無いから」


「やはり、罠かと疑った程でした……つまりあの術を複数回、お義姉様たち二人なら二回も使ったんですね……神気と魔力をそこまで消耗するなんて」


 少し場が固まるけど俺は努めて明るく振る舞う、異世界でも俺はこうやって民の希望になってきたのだから、ここでも同じ事をするだけだ。


「夕方には完全回復する、それに素晴らしい報酬をもらったし」


「報酬? 何を?」


「そりゃ、昨日の夜はエリ姉さんに抱き着かれて良い思いしたし、さっきはユリ姉さんの胸の感触を心行くまで堪能した!! 俺としては最高の報酬だった!!」


 キリッとした顔で言ったけど場は白けていた。ここはもう俺がビンタされて笑うとこでしょ?さあ盛大にパシーンと行っちゃってエリ姉さんと思って目をつぶると頬に柔らかい感触が伝わった。


「へ? え?」


「頬にくらいならいいだろ? 姉としての親愛の証でもギリギリ通じるからな? 次は唇だからな? 快利?」


「えっ、エリ姉さん!? なななななななにしてるんすかあああああ!!!」


 思わず演技も忘れて完全に素になった俺は頬に感じた柔らかい感触に驚いていた。俺はエリ姉さんにキスされていた。これが、俺のはじめてのチュウ?

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