第24話「瑠璃色の歌姫の憂鬱、その軌跡」



 バタンとドアを閉めると二階の自分の部屋に上がって下を見るとカイが何かをしている。たぶん結界を強化するとか言ってたからそれなんだろう。そうして先ほどもらった腕輪を撫でる。カイからもらった三つ目のプレゼント。実際は守る用だろうけど、それでも嬉しくて何度も付けたり眺めたりしてしまう。


「私に、ただの風美瑠理香に……カイがくれたんだぁ……えへへ」


 ひとしきり堪能すると私はハッと気づいてスマホをチェックする。一台目、何も無し、そして懐から二台目を取り出す。そっちには通知は10件入っていた。全てチェックすると仕事関係だった。


「ふぅ……もうカイは居ないよね?」


 そう呟いて窓の外を見るとカイは居なかった。だから安心して洗面所まで降りて鏡を見ながら先ほど絵梨花さんに注意された両目のカラーコンタクトを外した。鏡に映る母さんからの遺伝のアイスブルーの瞳を複雑な気分で見る自分が映っていた。


「カイが私の正体を知ったらどう思うのかな?」


 少し自嘲気味に笑うと私はカイの二人の義姉と話した事を思い出していた。




 私がカイに一方的に攻められていたら止めてくれたのはカイがよく言ってた憧れの上のお姉さんの由梨花さんだった。家に来た時に見たのは一度だけだったけど、今でもその時感じた敗北感をよく覚えている。カイの初恋って言うのも納得した。


「よし、行ったか……ユリ姉ぇ?」


「ま、あいつに魔法とか使われたら勝ち目無いけどさすがに乙女の秘密は覗き見しないでしょ?」


「あの、すいません。本当なら私は、お二人にも何言われても仕方ないのに……」


 色々あったけど私がカイをイジメていたのは事実だ。私を見て欲しくて、私を選んでくれないなら見て欲しいって言う身勝手な思いだけで本当にどうかしてた。でも止められなかったなんて言い訳なのは分かってるけどそれでも今は……。


「ああ、だがその前に学園からの違和感に気付いたからその疑問を聞きたい。その眼をどうして隠している?」


「えっ!?」


「え? ほぉ……カラコンねぇ……少しズレてるわよ? 近くで見なきゃ気付かないけど、絵梨花よく気付いたわね?」


 私はビクッとして二人を見る今まで誰一人、それこそカイにですら気付かれなかったのに、そう言うと絵梨花さんは自分の知人にも使っている人間が居て、だからカラコンのズレで少しハミ出た私のアイスブルーの瞳に気付いたと言われた。


「悪いが両目を見せてくれないか? そこのポスターと比較したい」


「は? 絵梨花あんた、何言って……まさかっ!? 嘘っ!?」


「アハハ、バレちゃったか……ま、仕方ない……かな」


 私はカラコンを取って二人に見せた。二人とも驚いたような顔をした後にすぐに納得した顔を見せて来たので少し驚いていた。この眼を見せた時は大体もっと色々聞かれたりするし、奇異の目で見られる。だから私は転校までして中学からカラコンをしてこの目を隠していたのだから。


「本物って事よね? アイドルって事?」


「はい。一応、中三からやってます。あのっ、この事カイにだけは……」


「私の疑問の答えは出た。ならば他は聞かない。ただもし快利に何かするのなら……それなりの対応をする」


 そう言って絵梨花さんは私を見た。睨みつけるとかそう言うのじゃなくて学校とも違うただ見つめるような澄んだ目で私を見た。


「もう、私、間違えません。今度こそ、カイに私をちゃんと見てもらえるように頑張りたいから……」


「う~ん、ま、私としてはライバル増えるのはどうかと思うんだけどね。絵梨花はそれで良いの?」


「ああ、私は昔からあいつを育てて来た。だが実際は追い詰めていたようだ。そして中学の時に快利の心を癒していたのが風美なら、いや瑠理香なら権利はある」


 そんな事を話していたらカイが戻って来て部屋に入りそうだったので二人に隠してもらいながらコンタクトを急いで付けた。危なかった。そして二人はその後も私の事を黙っていてくれた。少なくとも芸能関係の軽薄な人間を見て来た私としては安心出来る人達だと思えた。





 シャワーを浴びて明日の学校と仕事の準備を終わらせると母さんが帰って来た。恐らく今日仕事のあった他の二人のマネジメントだろう。気になって聞くと現場で二人がトラブルを起こしたらしい。明日会った時に注意しておくように言われる。


「分かった。母さんもお疲れ様。MIMIとAYAには後で言っておくわ。でも南美には伯父さんから直接言ってもらってよ。娘なんだし」


「そうなんだけど社長も娘には甘いから言いたく無いらしいのよ。おかげで綾華も怒っちゃって……二人にはリーダーのあなたからお願いって……」


 そう、私の家は色んな意味で芸能一家だった。とは言っても母は元歌手で今はマネージャー、父はプロデューサー兼役員で伯父が社長をしている、そんな事務所に勤めている。ちなみに在籍数はそれなりに居て業界では数年前まではトップに近い地位だったらしい。私の家も引っ越しがポンポン出来るくらいには潤っていた。


「ま、世の中何が有るか分からないのよね……」


 母さんの夕ご飯をレンジでチンして用意しながら私は三年前の事を思い出していた。カイと出会って、お互いにカイとルリって呼び合えるようになった時、家の事務所は地方都市にも支社を作って、私の今所属している本社事務所にスカウトした人員を送って研修生にすると言う方法を取っていた。

 ただしこのやり方で問題が起きた。任せていた支社長が裏切り独立し多数のタレントやアイドルを引き抜いて行ったからだ。そこまでならよく有るゴタゴタ話だったが、その一年後、その支社長や部下が全員逮捕される事になった。事件の内容はサイアクで薬物の所持及び密売それに売春だった。


「家にも警察とか来て怖かった……あの時にカイが放課後ずっと一緒に居てくれたから……優しかったなぁ……」


 うちの事務所は白だと判断されたけど支社は全部解体され結果的に事業規模は縮小。さらに同業他社は業界内で噂を流した。あの事務所は枕営業で仕事を取っていたと……実際は薬物漬けの売春でもっと酷い手を使っていたのだけどね。本社で何度も会議を重ねた結果、役員と社長が考えたのが清純で清楚な噂と真逆のアイドルや俳優を輩出する事だった。

 そこで白羽の矢が立ったのが社長の娘で私の従妹の風美南美かざみみなみと育成枠で難を逃れて本社に居た頼野綾華よりのあやか、最後に両親の着替えを届けにたまたまその場に居た私、風美瑠理香だった。そしてマネージャーとして私の母さんが付いた。

 最初、現場では担任付きの職場見学アイドルなどと呼ばれ、そのせいで逆に噂は吹き飛んで風化したのは良かった。そんな事よりも驚いたのは私の地下アイドルデビューの時にその会場にカイが居た事だった。


「あの時は驚いたけど、後から聞いたら取引先の関係者にお情けで集まってもらったって聞いたけどカイのお父さんと家の事務所ってどう言う関係なんだろ?」


 私は母さんのご飯の用意を終えると明日も早いから寝ると言って部屋に戻った。お父さんは本社で仕事らしい。


「ふぅ、偶然とは言え私があそこでウィッグ付けないでデビューしてたらカイとこんなにゴタゴタしないで済んだのかな……」 


 そう言って私は商売道具の黒髪のウィッグの手入れをしながらデビュー当時を思い出す。AYAはそのままの姿でデビューするのに問題無かったけど私と南美は身分を隠したかったから私は目は普段から付けていた茶色のカラコンを外し、そして目立つ茶髪を隠すための黒髪ロングのウィッグを被った。

 これに決めた理由は……カイが由梨花さんを初恋だと言ってたから黒髪になってみたいと思ってしまったのは誰にも言ってない。逆に南美ことMIMIは私の地毛と同じような明るい茶髪になっている。





 徐々に活動が認められた事と、とある歌番組での出来事がネットで盛大にバズったおかげで私たちは一気に売れっ子になりパフォーマンスも向上しCDも出せるようになった。だけどそれに比例してカイと一緒に居る時間がドンドン無くなって行った。それでも受験だけは頑張った。カイと同じ高校に行きたかったからアイドル活動も少しセーブして頑張っていたらクリスマスプレゼントをもらった。


「少しサイズは大きかったけど初めてのプレゼント……」


 寒そうにしてるからと言ってプレゼントの中身は手袋だった。次の日から嬉しくて付けて行ったらカイは凄い照れてた。そして合格発表、二人で見に行きたかったけど、絵梨花先輩に連行されてしまったので後で報告し合う事になった。結果はもちろん一緒のクラスにまでなったから完璧だった。


「ここまでは良かったのにな……」


 学校に行く頻度が少し減ったけど放課後と土日に仕事を集めたおかげカイとはそこまで疎遠にならなかった。だけど代わりにクラスの付き合いも増やすようになった。中学の時とは違ってさすがに女の子の友達も作る必要があった。一方でカイも普通にクラスに馴染んでいた。そしてカイ達の話題は私の事RUKAだった。


「男子って子供だよね~」


「あっ、うん。そうだね……」


 女子と中心に話してる内にその女子と仲の良い男子も話しに入って来る。なんか距離近いしウザいと思っている内にカイと数人の男子が集まってまた私のグラビア雑誌とかを見ている。カイが言えば見せてあげるのにな~。私が話しかけるとカイはビクッとしてどうしたの?と、他人行儀だった。


「久しぶりに一緒に帰ろ?」


「うん。分かった」


 カイがライブに来ている時は毎回確認していたから、学校ではそこまで気にしてなかった。だけど何かいつもと様子が違っていて、翌日すぐに原因が分かった。カイは私とよく話していたからクラスの男子数名に脅されていたらしい。ただカイはこの頃から絵梨花先輩に鍛えられていて全然ダメージが無かったようで私はそのせいで気付くのが遅れた。


「カイ、何で相談してくれなかったの?」


「だって同級生に囲まれてボコされたなんてダサいしさ。今のルリって完全に陽キャじゃん。俺と話してるのはもう違うって思ってさ……」


 この時のカイの目は死んでいて今思えば何かに怯えていたようで、だから私は昔にカイが私を助けてくれた時のように、何より自分と一緒に自然に話せるように戻りたくて叫んでいた。


「私は今でも友達で、だからっ!!」


「っ!? いいよ……。お互いのために良くないし……それに俺には天使RUKAが居るから……これで良いんだ」


 それは、それは私なのに?何を言ってるの?カイ……。この時から私とRUKAはズレ始めた。同じ人間だと思っていたのは私だけだったと気付かされた。


「ルリ……今のクラスの立ち位置じゃ、一緒に居るのマズイ。ルリはもう陽キャなんだし。あと俺にはRUKAちゃんが居るからさ!! いや~この間もライブ最高だった。他の男子とも盛り上がったし、こう言うのは男同士じゃないとな!!」


「それって、どう言う――――「お、お互いさ、もう高校生だし距離取ろう、今まで通り友達なのは全然良いけど……。その方が……俺も男友達の方が良いからさ、こう言う話とか嫌だろ?」


 それからカイは私から距離を置くようになった。そうするとカイに対する嫌がらせも止まって安心はした、だけど同時にカイと話せなくなるのは嫌だった。


「あの時から私はどうにかしてカイと話せる方法を探し出そうと必死だった」


 でも夏休みが開けてからもほとんど話せなくなって、しかも面倒な男子に告白される。女子からは色々言われたけど上手くごまかしていた。そんな事をしている内にカイは他のクラスの友達と私のRUKA話で盛り上がっていた。私に、いやRUKAにドップリはまっていた。その様子に頭に来た私はカイと二人きりになった時に、つい演技指導を受けて覚えた低い声を出して威圧してしまった。


「カイ、今、良いかしら?」


「なっ、なんだよ……風美……」


 目を合わさなかったカイがこっちを見た。久しぶりに目を合わせてくれて嬉しかったから演技も少しだけ頑張ってみた。それから私は更に歪んで行く、語気はどんどん強くして気付けば大好きだったカイをパシリのように扱っていた。

 でもそれでも私は自分を見てくれる喜びの方が多くて、最終的にRUKAを見ているカイを見るとイラついて辛辣に扱うようになった。そんな時だったカイが話が有ると言って二人きりになったのは……これがトドメになるなんて私は知らなかった。


「何よ? 聞いてあげるから来なさい」


「あ、ああ、ル、風美にしか聞けなくて……」


「しょうがないわね……」


 実際は疎遠になってから初めての呼び出しで嬉しくてどうにかなりそうだった。そして聞かれた事は女子へのプレゼントの選び方。一か月後のクリスマスプレゼントを選びたいらしく舞い上がった私は自分が雑誌で良いと思ったネックレスを教えていた。さり気無く自分から欲しい物を聞き出そうとしてるに違いないと私は勝手に勘違いして放課後もずっと話していた。そのせいで仕事には遅刻して母さんにも現場で怒られてしまう事になったけど気にならなかった。


「ま、それがこのネックレスなんだけどね……」


 そう、このネックレスは確かにクリスマスプレゼントとして贈られた。ただし私では無くてRUKAに対してだ。ライブ前の楽屋でこれを見た時に大泣きしてメイクを直すのに時間が必要になってクリスマスライブが三十分遅れたし、他の二人にも散々文句を言われてしまった。


「ま、しょうがないよね。私とRUKAじゃ扱いが違うのなんて……さ」


 そしてRUKAに贈られたプレゼントに対して私に贈られたのはこの部屋の奥に今でも置いてあるマフラーだ。終業式の日に渡されたそれは中三の時にもらった手袋と同じようなものでカイがよく行くと言っていた近所の商店街の服屋さんのものだろう。実はロケ帰りに車の中からその店に入るのを目撃していたからだ。


「今思えば険悪だった相手にもプレゼントしてくれただけでも充分なのに、私は許せなかったんだ……ほんと余裕も無くて冷静じゃなかった」


 でも同時に仕方無いとも思う二人の対応の落差があまりに酷かったし、これはカイに文句を言いたい。ちなみにRUKAへの手紙には親愛なるRUKA様へと始まり終始丁寧な手紙だった。

 私には『メリークリスマス、良ければ使ってくれ』とだけで想いの差が歴然で、私はいよいよカイをイジメ始めた。酷い事もたくさん言ったし皆の前で散々罵声を浴びせた。でもその時のカイが私を見る顔がたまらなく好きで、何であんなに黒い感情が湧いたのか? 今思い出しても本当に醜くい感情で吐き気がする。そんな状態がこの間まで続いていた。


「急に我に返ったって感じで、私何やってんだろうって……嫌われるだけなのに後悔する度に次の日にはカイを……」


 でもそんな日々にも終わりは突然来た。カイに反撃を受けて暗いからと家まで送ってもらった。それで次の日は様子見してたら、母さんのミスでダブルブッキング騒動が起きてしまって困った私は神社で考え込んでいた。

 どちらの仕事を取るかソロかグループか、そんな時、いつの間にか隣にカイが居て、だからつい話してしまった。相変わらずRUKAだと態度が変わるのはイラっとしたけど、それより驚いたのはカイが聖剣を取り出してワームホールを作った事だった。その後に問題を解決して、さらに一人でコール&レスポンス返してたのは他の二人は引いてたけど私は嬉しかった。


「いきなり何も無い所から私の色のペンライト出した時は凄い驚いたけどね」


 あと半被はっぴも取り出してた。私のRUKA色だったから少し嬉しくてウインクしたらテンションも上がってた。あんな近くで見てくれたのはデビュー以来だったから嬉しくて色々サービスし過ぎて他の二人にも『ファンに手を出すな』って言われてしまった。そりゃ私だけ専属の人が一人だけ居たら疑われるよね。


「RUKAなら、告白すれば付き合って……ダメよ!! それだけは!!」


 その後も高校では瑠理香として、外ではRUKAとしてカイと会う度に私は憑き物でも落ちて行くように今までの自分の行動が最低なものだと自覚し始めていた。

 だからイジメも止めようと言えば、なぜか生徒会室に連れて行かれ友達だと思っていた陽菜は続けるように強要してくる始末。そしてあの日、仕事終わりにカイにメッセージを送った後すぐに私は陽菜から電話を貰っていた。


『助けて!! 瑠理香!! 高校で先輩たちがっ!! 助けっ――――』


『陽菜っ!! どうしたのっ!?』


 私は急いで陽菜を探して高校に入った。鍵が開いていて警報も鳴らないなんて、この時点で罠だったのに私は気付かずに侵入して、そこで見たのは生徒会の綾吊先輩が陽菜に襲い掛かっていて黒い塊のような魔法で消されるところだった。


「瑠理香を呼んだんだから助けっ――――」


「陽菜!! なっ、何なんですか!? 綾吊先輩!!」


「…………やはり餌にはお前の方がいい」


 ニヤリと笑って目が赤く光っていた。私は自分の教室や鍵の閉まってない教室に駆け込んで真っ先に思い浮かんだ人に連絡を取ろうとした。


「あ、これプライベート用……仕事用のは……家だ」


 だから私は持ち歩いてる生徒手帳の自由欄を一枚破って『ねらいはエリカさん、がんばってカイ』と書き込んだ。もしかしたら助からないかも知れないから最後くらいカイって呼んでも良いかも、そう思ってメモを書くと奴が追いついて来たから私は上へ向かうしか無かった。そしていつもは開いてない屋上に来た。


「やっぱり上に追い込まれた!? このままじゃ」


「ふん、喋れれば良いカ……風ヨ切り裂け!!」

 

 だけど追って来た綾吊先輩は私に魔法を使って来た。やられると思った瞬間に私の目の前で光の壁のようなものが風の刃を全て防いでいた。


「バカなっ!! 防護系スキルだト!? なぜ一般人が……」


「まさかあれも魔法なの!? 私も殺そうと……」


「なんて強力な防護系スキルなのだ、まさか勇者カイリのスキル!?」


 そして私は何度か魔法を受けその度に弾く、カイが言うには最強の聖なる防壁に守られているのを理解した。今のカイは元勇者で私に何か守りを与えてくれたんだと考えた。もしかしたらこれが最後かもしれないからと用意していたメモを破きながら投げつける。すると予想通り奴は最初の風の魔法でバラバラにした。


「逃げられないか……あ~、最悪……どうしよっか?」


 目の前の綾吊先輩、いや化け物は私を使ってカイをおびき出すと言い出した。だから私の取る行動は一つだった。この光の壁の効果が切れる前に、人質にされる前に自ら命を絶つしかない。だけどこれは結果的に成功しなかった。

 煌めく鎧にいつもの三割増しでカッコよくなったカイが凄く怒った顔で私をルリと呼んで助けてくれたから。高校に入ってから殆ど呼ばれ無くなった私の呼ばれ方、そこからは一方的だった。綾吊先輩が魔物になったかと思うと凄い技で一撃で倒してそのまま私を家に送ってくれた。


「で、今日は由梨花さんを助けた……今頃何してるのかな……カイ。ふぅ、やっぱりキチンとケジメを付けないと……ね」


 そう言うと私はあるものを用意して簡単な手紙と一緒にそれを封筒に入れた。これを明日どうにか上手く渡してそれでキチンと謝ろう。そこまで考えて眠気が襲って来たので今日は寝よう。だって明日からはカイが迎えに来るから、登校が楽しみだなんて何年ぶりだろう明日が待ち遠しいと思って私は意識を手放した。

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