第10話「ニワカ陽キャな姉と元勇者で陰キャな俺」


 今、元勇者カイリの目の前には半泣きの義姉、由梨花が居る。一般人に尋問術は早過ぎた……だけど由梨花の精神的な大ダメージによって事件のあらましは大体分かった。しかし分かった事は至極単純で予想通りマルチ商法に近い悪質なイベントサークルの良いカモにされたと言う事だけだった。


(しかし世界は変わっても、人間なんてやる事は同じなんだな……今のユリ姉さんと同じような被害者も居たなぁ……)


 快利はこの手の事件に詳しい訳では無いが向こうでも似たような事があったから覚えていた。大きな街を治めていた地方貴族や領主くらいの地位の人間が街やら領地の警備や戦争のための兵士を集める時に使ってた手と同じだと。


(あれは酷かった。王国と貴族連合の戦争開戦前で、貴族連合側への偵察を命じられて行った街で大勢の住民が旅人や行商に詰め寄っていたのは悪夢だった。金のために人間の醜さや汚さが溢れてた……)


 街の警備員や兵士になりそうな人間を三人集めて連れて来たら銀貨一〇枚(日本円で一万円)てな具合で誘えば誘うほど儲かると言いながら実際はこき使われて、最後は自分自身が奴隷落ちか無休の兵士にさせられていたのだ。戦争の捨て駒にされていた人間もいた。だから快利は王国側に付いた。王様はアホだし空気読めなかった。しかし一般市民を絶対に戦争に出さなかったからだ。そこだけは認めていた。


「どうしよぉ……快利ぃ……」


「それで? ユリ姉さんの今の状況をもう一度確認するよ? まず姉さんは二週間前に友達に誘われてイベサー『DL』正式名称『DEEP LOVERS』とか言う頭悪そうな名前のサークルに参加登録しちゃったと」


「うん……。でも最初は良かったのよ!! 友達は優しいし、お酒とか無理やり飲ませて来なかったし、男の人も皆が紳士的だったから私の恐怖症も治ると思って……」


 とにかく今の自白でも分かるように実は姉さんは男性嫌いじゃなくて男性恐怖症だったらしい。そして男性嫌いなのはエリ姉さんだけらしい。それじゃあ、なんでエリ姉さんのステータスにあんな変なものが……っと、いけない今はユリ姉さんの問題を考えないといけない。


「ふ~ん。それで昨日の夜フラフラしてたのが三回目の飲み会でサークル幹部にお持ち帰りされそうになって怖くて、ぶん殴って逃げ出して来たと? で、その腹いせにメンバー四人集めなきゃ罰金十万円ねぇ……完全に真っ黒じゃん。ちなみにその通知はちゃんと残してる?」


「ううん。確認したらすぐ消せって命令されたから……怖くて消しちゃった……」


 う~んこのダメ姉……自ら証拠隠滅するとは……ま、復元魔法でスマホを過去の状態に復元するって奥の手が使えるってさっき無限書庫ウィキで調べたら出来るらしいけど今教えるのもアレだから黙っておこう。


「ま、良いや。取り合えず今の姉さんの状況の解決策は、そのサークルの幹部の女になってパリピになるか、サラ金に土下座して金借りてバイト地獄になるか、母さんに土下座して十万円出してもらうかだと思うよ?」


「え? 快利が何とかしてくれるんじゃないの?」


「あのさ、色々と勘違いしてるようだけど毎朝会う度にクズとかアホとか言って来る相手を喜んで助けると思う? 姉さん自分がそう言う立場ならどうする?」


「うっ……だって、それは……」


 言いよどむ姉さんにどこかで、やっぱりなと思う俺がいた。基本的に俺は姉さんに中学に上がるまではそこまで酷い扱いはされなかった。半分無視はされてたけど罵詈雑言を吐かれるようになったのは中学からで高校は別だけど会う度に言われた。ほんと嫌だった、だけど実はそれ以上に謎だった。


「俺さ、これでも料理とか頑張って来たしさ。姉さん達に嫌われないように頑張ったんだよ? そりゃ俺は男で配慮が無かったかも知れないけどさ……ユリ姉さんは本当に分からないんだよ。それでもし俺が悪かったら俺だって……」


「本当に分からないの?」


「うん。俺、分かんないよ……だ・か・ら!! ユリ姉さん俺と取引してくれないかな?」


 本当に俺は今から甘いと言われる事をしようとしている。昔の異世界の仲間にも言われたし、反乱を起こした貴族連合にも言われた。それでも、俺はユリ姉さんを見捨てるなんて出来ない。


「取引? 私に何をさせるのよ……」


「もし今回の件、解決したらユリ姉さんが何で俺にいつもキツク当たるのかの原因と俺への不満を一切の隠し事無しに全部話す事。それだけ」


「え? それ……だけなの?」


「ああ、それだけ。だって今のユリ姉さんに聞いても隠し事しそうだからね。だから終わった後で答えてもらう。どう?」


 つまり俺は単にユリ姉さんを助けたいだけだ。小さい頃の初恋の女性がどこのイベサーの犯罪に片足突っ込んでる奴の女になるなんて許せないし認めない。他の案も本気で言ってはいない。ただ姉さんが俺に助けを求めるように誘導するためだけに打った布石だ。


「あの……さ、もし私が全部終わった後にやっぱり話したくないって言ったら……どうする気なの?」


「少なくとも姉さんがそれを聞いて来た時点で信用するよ。う~ん……もし姉さんが裏切ったらこんな感じかな?」


 そう言って消滅魔法を使い、目の前のテーブルを消滅させた。これは対人間には使えず無機物にしか使えないんだけど当然その事は姉さんに教えない。


「えっ? 今の何……まさか……消したの?」


「消滅魔法って言うんだ。もっと分かりやすいのだと爆破系とか属性攻撃系とかも有るしね」


「ま、まさか……私に……使うとか?」


「さあ? それは姉さん次第だよ……って、あ~!! 泣かないでっ!! 使わない!! 絶対使わないからっ!!」


 なんか姉さんがついに泣き出して顔が凄い事になってメイクが落ちて目元が真っ黒になってしまった。それを指摘すると顔洗って来ると言って下に降りてすぐに戻って来た。顔はいつも朝見るノーメイクの状態に戻った。あんなメイクなんてしなくてもこっちの方が断然可愛いのに……。


「……ゴメン。それでさ――「大丈夫。今の姉さん見て分かったから、脅迫とか必要無さそうだ」


「うん。ほんと止めて。それでさ……快利って異世界に行って来た系なの?」


「いや、行って来た系って……全部終わって家に帰って来てから色々詳しい事は話すけど、その認識で間違い無いよ」


 そこでユリ姉さんには異世界に転移された事とそこで戦って戻って来た事だけを説明をした。過去改変や七年戦ってた事などは上手い事はぐらかして、とにかく自分の能力の有用性を簡単に話した。


「凄い……本物の異世界チートの勇者だったんだ……私そう言う系はあんまり読んで無かったけど漫画とかテレビでなら少し見た事有るんだ……」


「姉さんそう言うアニメとか見たんだ。だから異世界での経験も有るし、まずは話し合いをしようと思うんだ」


「そっか、そうだよね。キチンと話せば――「いや、違うよユリ姉さんは話し合いに不参加で、俺とそのイベサーの人間だけで話す。正直ユリ姉さんが居ると話がややこしくなりそうだから」


 今まで話をして大体分かったのはユリ姉さんは俺に対しては色々キツイ態度を取っていたけど根本は誰かに似ている……そう、母さんだ。どこかポヤ~ンとしていて今思えば罵詈雑言を放っていてもイマイチ迫力にかけていた気がする。例えるならチワワが必死にウルウルしながら威嚇しているようにしか見えない。

 

「でも高校生のあんたが相手にされるわけ無いんじゃない?」


「そこで姉さんにはアプリで先方に連絡してもらうよ。『良いカモが見つかったからソイツから他の三人を紹介させる』みたいな感じでお願い出来る?」


「いや、でも……その後はどうすんのよ?」


 その後は……恐らく俺の勘だと交渉は九割の確率で失敗すると踏んでいる。奴らを潰すのはどんな手段でも出来るけど問題は今後の姉さんのキャンパスライフの平穏無事を確保する事だ。


「そこで姉さんにも協力してもらう事があるんだ」


「何よ? あんたや絵梨花と違って私はど~せ何も出来ないわよ」


「うん。拗ねないで聞いてね? 姉さんには質屋に行ってもらってお金を借りて来てもらいたいんだ。俺まだ高校生だし」


 そう言って即応式万能箱どこでもボックスから邪神討伐の功績でもらった秘宝の宝石を取り出す。天使の銀細工の入ったルビーのペンダント、黄金の腕輪にサファイアをあしらった物などだ。これなら十万円くらいなら借りられるはず……そう言って姉さんに見せると姉さんがキレた。


「あんたねっ!! こんなん出したら大騒ぎになるわよ!! 異世界の高級珍品なんて出したら、鑑定とか換金の前に私たち二人とも警察のお縄になるに決まってるじゃない!!」


「そうなの? よく辺境とか旅先では宝石を売ったり、後は質に入れたりしてたんだけど……こっちでは無理なの?」


「どう見てもヤバい物よ!! 特に腕輪のこのサファイア何カラットあんの!? 全部で五個も付いてるじゃない!! それにどうせこれも全部純金でメッキとかじゃないんでしょ? とにかく却下、もっとショボいの出して!!」


 そうなのか……そう言ってそれらを全部しまうと今度は金の延べ棒を出した。最初からこれ出せば良かったじゃんと思って姉の目を見るとやはりお怒りだった。


「あんたは……快利!! ちょっとそのどこから出してるか分からない物の中で一番安そうなのがこれなのね?」


「うん。これなら他に百本近くストックも有るし、金だから大丈夫だと思って……ダメかな?」


「ほんとにこれだから異世界帰りは……さっきの腕輪に付いてた石より小さくて……そうねぇ……リング、指輪は無いの? それ一個か二個で良いから」


 なるほど指輪か……大量に有るから迷ったので五十個ほど出してみた。でもこれは正直どうかと思う。だって防御力が二しか上がらない物とか、素早さが三上がったりとか、後は装備すると呪われて外せないのとか……その辺りを姉さんに説明すると姉さんが気付いた。


「え? これってまさかゲームとかの装備アイテムなの? すっごい本当に指輪なんだ。ふ~ん。着けたら私も攻撃力とか上がるの?」


「さあ? でも一応これにも宝石とか付いてるけど、どうかな? 後は魔王倒した時のネックレスしか無いんだけど……これ浄化出来ないんだよねぇ……攻撃力70%上がるんだけどさ……」


「は? あんたサラッと魔王倒したとか言った? てかダメよ!! 明らかに黒い変な瘴気みたいなの出てるじゃないっ!!」


 その後も色々ユリ姉さんと話し合った結果、換金用の金の指輪と銀の指輪を二個づつ合計四つを持って行く事になった。そして店先まで転移して姉さんに質入れして来てもらったら、店から姉さんがフラフラして出て来たのですぐに転移して俺の部屋に戻る。


「で? いくらだったの?」


「う、うん。よ、四十万円だって……す、凄いわね……驚いたわ~」


 あぁ……姉さん……嘘つくの下手だね……目が泳ぎ過ぎだし、それに汗までかいてる……これは簡単にイベサーとかの詐欺に引っかかるわけだ。こう言うとこ母さんとそっくりだ。ほんとエリ姉さん苦労してたんだな……。


「姉さん? 俺の感知スキルから逃げられると思ってるの? 質屋の中でお金分けてたよね? こっちの封筒から取り出して自分の財布に入れた分も出してね?」


「やっぱりバレるのね……でも少しくらい良いじゃない!! 五万くらい!! 端数でしょ!!」


「これ一応異世界のものだから……後でキチンと買い戻すから……ね?」


 駄々をこねる姉からお金を全額回収すると封筒から財布に四十五万円を入れて準備は完了した。そして今度は姉さんにあるアイテムを渡す。


「何この腕輪? さっきのよりは安そうだけど……」


「いやそれ一応はレアアイテムの部類だから『隠れ身の腕輪』って奴で付けてる間はスキル『感知』が無いと見つけられない仕様でね、こっちの世界だと外さない限りは俺にしか分からないからそれを付けて後から付いて来て」


「なるほど……でもほんとに効くの? 大丈夫?」


 そこで一通り説明した後に大学までワームホールで移動して効果を確かめる事にした。姉さんの大学初めて来たけどほんとに女子ばっかだな……後ろで姉さんが腕輪を付けたのを確認すると最後にもう一度注意事項の確認だけした。


「まず姿が見えないだけで声は聞こえちゃうから話しかけるのは小声で、しかも俺だけにね? それと見えないだけで、すり抜けたりとかは当然できないから前から人が来たりしたら避けること、以上」


「つまり見えないだけで他は全部バレる可能性が有るから気を付けろって事でしょ? 分かったわ。ねぇ? 快利には私が見えてるのよね?」


「ああ、見えてるから見失う事は無いよ。まだ決行まで時間有るし少し遊んで来なよ、俺も結界張って目立たないようにしてるから」


 それから十分後、飽きたのかキョロキョロこちらを探している姉さんに結界を解いて声をかける。


「どう? 効果は実感出来た?」


「うん。透明人間になった気分。凄いね……ほんとに触っても、勝手に人が買う直前の自販機のボタン押しても気付かれないから驚いた」


「うわぁ……ひっでぇ。使い方によってはホラーになるね……じゃあ効果も実感出来たみたいだし、行こうか。イベサーの人達のビルはここから近いんでしょ?」





 姉さんにはイベサーの人達に事前にアプリでメッセージを送ってもらったので指示された通りビルに着くとエレベーターで三階に到着。するとそこにはニヤニヤして、いかにも社会を舐め腐ったようなロン毛の金髪と茶髪のお兄さん二人が出て来た。ここまでテンプレだと逆に笑えるな……とか思っていたら更に奥に通される。


(コイツらで間違いない? 姉さん?)


(うん。こいつらが私に、その……昨日ホテル行こうって言って来た……)


(ふ~ん……分かった。じゃあ後でちょん切るわコイツら……)


 俺が笑顔で言うと姉さんは引き攣った笑いを浮かべて後から付いて来る。ビル内部の三階はいかにもなクラブのような雰囲気が漂う薄暗いホールで男女複数名が控えていた。案内の二人を合わせると一〇人くらい居るようだ。姉さんも何人か知った顔が居たみたいでビクッとした後に後ろからピッタリ付いて来て俺の腕を掴んでる。


「でぇ? とりまカイリ君だっけ? 由梨花ちゃんの紹介っしょ? 俺らてっきり女の子来ると思ってたんだけどさ? 男は会費高いんだよな~ノルマも倍の八人なんだよねぇ~」


「そうなんすか? いくらっすか? 今月は小遣い半分使っちゃって手持ちこれしか無いんすよ~」


 へらへらしながら先ほど換金した四十五万円の札を財布を開けて見せる。ちなみに財布は姉さんのブランド物の財布の中古のセール品(復元魔法で新品にした物)を使用している。なお姉さんに懇願されてこれは戻さない事になっている。


「ちょ、マジで石油王来ちゃったんじゃね? 君即戦力っぽいしぃ、うちらのトップの姫に会わね?」


「う、うぇ~い! ま、マジリスペクト~。バイブス上がりますわ~!!」(姉さん、姉さん? 陽キャ語ってこんな感じで良いの?)


 なんかギャル男二人と周りの男女数名が「うぇ~い」とか騒ぎ出したので思わず小声で後ろに居る姉さんに助けを求めるけど、なんちゃってギャルでニワカ陽キャの姉さんも分からなかったようだ。


(私だってこんなパリピ連中と会うのは今日で二回目よ!! こんなギャル男の言葉分かるわけ無いでしょ!! あんた元勇者ならコイツらの言葉とか翻訳出来る魔法とか無いのっ!?)


(無理だよ~!! 俺だってドラゴン語とオーク語しか喋れないんだよ~ちなみに英語とか喋れないからね……)


 基本的に陰キャの弟とキョロ充で陽キャになり切れないニワカの姉のコンビでは、彼らパリピの言語はレベルが高過ぎたのだ。ある意味レベルが低くて高いという逆転現象なのかも知れないが、それは本人たちでも分からない事だった。そして二人はイベサーの姫の元に案内された。


「ふ~ん。君がカイリくん? 思ってたよりイケメンじゃん。美形じゃないけど磨けば光る系? ま、いいや。それで由梨花に言われて来たんでしょ?」


 なんか姫が座ってる後ろに噴水と滝みたいなセットがあって昔見た水系の魔法が得意な地方貴族の屋敷を思い出していた。あの家も水の仕掛け多かったなぁ……ダンジョンみたいに攻略したなぁ……とか懐かしい思い出だ。


「う、うぇ~い。大学行く事になったらパリピになりたいから今の内にコネ欲しかったんで頼んだんすよ~。俺の姉さんにね……? どうも、初めまして秋山快利って言います。マジ上がりますわ~」


 前半はふざけて、そして後半は少し怒気を乗せて言うと案内の二人は気付いてないけど、姫と呼ばれた女と周りに侍る男三人は気付いたようだ。やっぱりマルチ商法やってるだけあってバカじゃないみたいだ。


「ふ~ん。そう言う……あんた達は下がっていいわよ? 今からアタシら上級幹部だけで審査すっから」


「うぇ~い。じゃあね~!!快利くん。今度は俺のことはお兄さんって――「ぎゃああああ~!!」


 それ以上言うとキレるよ? 軽くスパーク撃っておいたから、それと後でちょん切るのは確定だわコイツ。いい加減にしろよ?俺の姉さんに何言ってくれてんの?二人を扉の外に浮遊魔法かけて飛ばすと扉が閉まった。さすがに部屋の四人も驚いているようだが、それより姉さんが俺の腕を引っ張るからそちらに目を向ける。


(か、快利? いい?)


(なに? 姉さんアイツは始末しとくから大丈夫だよ?)


(違うの……あの姫って呼ばれてる子、私をサークルに誘ってくれた子で友達……なんだ……たぶん)


 あぁ……そう言う事か姉さんでも気付いたのか。自分がただの金づるにしか見られて無かった事に……。


「まずは由梨花の弟くん。アタシは咬真瀬乃かませの遡浮射ソフィー。よろしく~!! みんなからはソフィーって呼ばれてるから」


「はい、ソフィーさん。それで察してもらっているようなので単刀直入に……姉さんへの手出しもう止めてくれませんか?」


「アタシは良いんだけど~? あんたの姉さん。ま~たボッチになるか他のヤリサーとかで食われるかになると思うけど? いいの?」


 ヒッと後ろから声が聞こえたけど今は無視、姉さんにもちゃんと現実を見せておこう。友達とかまだ言ってるみたいだし。


「つまり、最初から姉さんを金づるにする気満々だったって訳なんすね?」


「実を言うと、最初からアタシよりチヤホヤされそうだったから先に捕まえて利用しようと思ったわけ、あんたの姉さん性格暗いけど顔もスタイルも良いし。だから男共が食わせろってうっさいのよ。アタシの求心力のためにちょうど良いから餌にしたのよ。凄いのよあんたの姉さん大人気で予約だけで一晩で百万くらい稼げそうよ?」


「ふ~ん。そりゃ姉さんは綺麗だからね……じゃあ十万払っても四人生贄を差し出しても最初から姉さんを手放す気なんて無いんだ?」


「当たり前でしょ? たっぷり利用して最後はポイよ。アハハ!!」


 思ってた以上に下種でしたね。マルチだけじゃなくて姉さんに売春させる気だったんだ。お持ち帰りとかその程度ならチョン切る程度で許したんだけど……これはダメだな。後ろの姉さん見るとプルプル震えてるのが腕に伝わってくる。さて、それなりの地獄を見せてあげますね?イベサーの皆さん?

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