第16話 バカはヒーローへ至る道をひた走る④

「暇である。」


「バカ言ってないでこの状況をどうにかしなさいよ!!!」


 バカにバカって言っちゃダメなんだよ?知らないの?―――――とは言えない。

 その睨む目が怖いからじゃないよ?・・・ホントだよ?


「全く!何で私がこんな目に!!!」


 俺だってそう思いたいけど、俺って特殊だしな~。

 言っちゃダメだよね?


 しかし、本当に暇だ。

 未だに目を覚まさない遠野さん。

『健康』なのは【察知】を使ってわかっているから安心してられるけど、そろそろ目覚めて欲しい。

 遠野さんの提案で爆発物を調べた方法を参考に色々と【察知】の条件を変えて調べたのは俺の人生最大の閃きだったと思う。


「何でこんな使えない奴と一緒なのよ!?キースは何処に行ったの!?」


 キースって誰ですかね?名前も知らないお嬢さん?


 ありゃ~。そんなに頭を振って、頭ガシガシしたら・・・・。うん。見事な爆発ヘッド。


「・・・・・・寝る。何か良い案が浮かんだら起こしなさい。いいわね?」


「あ、はい。」


 としか言えない眼力の強さ。

 金髪で碧眼?でおまけに超美形の少女。美人だから眼の力が凄く凄い。綺麗な人ほど怖いよね。仁さんもそうだし、奥様も葵さんもそうだ。花斗夏さんも無感情で見てくる時怖いし、遠野さんも怒ると眼が怖い・・・・・。あれ?なんか怖い人多くないかな?


 さて、どうしたものか――――。

 俺の頭じゃどうしようもないんだけど・・・・・・。遠野さ~ん!早く起きて~!!


「とか思ってる内にいつの間にか起きてる!?」


「なんや悩んでるようやったからな。そっとしといた方がええんやろうかと思うて?」


 可愛く首をかしげれば良いってもんじゃ・・・・か、かわええ。


「さて、冗談はさておき。先ずは護衛としての大失態。本当に申し訳ありません。」


 深々と頭を下げる遠野さんに苦笑い。

 普段はあんなに軽い感じで話していて凄く親しみ安い人だけど、実は凄い真面目で責任感が強い。だから今回の事は凄く気にしてるんだろう。


「気にしないで」なんて言ってもそんな言葉は届かないくらいには重く考えてると思う。


「そうだね。今回は遠野さんにしては珍しい失敗だった。今後に期待だね?」


 ヨッシ!覚えてたぞ俺!!


「春くんは真面目な子だから、今後もし失敗したら『許す』のではなく。一度失敗を『肯定』、あげてください。そして、『次を期待する』と声を掛けてあげてください。決して『気にするな』などと安い言葉は言わないようにお願いします。」


 なんて事を仁さんが言ってた。

 俺、間違えなかったよ!仁さん!


「ッ!ありがとうございます!」


 おぉ!凄い!本当にやる気になってる!!


「今後、善吉様の身の回りを今までもより一層に警戒します!」


 うんうん。これで遠野さんも元気になったね!

 それじゃあ早速。作戦会議です!


 これからどうしたら良いか?


「その前に1つ、善吉様には力を使ってもらいたいのです。」


「ん?何をすれば良いの?」


「【変幻自在】を使って善吉様御自身を変化させることも出来ますよね?それで、善吉様を――――『天才』に変えていただきたいのです。」


 ――――――お、ん?・・・・おぉ!!??

 何故に今まで気が付かなかったのだろうか!?


 そうだよ、そうじゃんかよぅ!!


『バカ』ならバカ以外の、それこそ『天才』に変化させてしまえば!?

 こんなバカで迷惑な俺とはおさらば出きるじゃん!それにそれにもっといっぱいの人たちを助けることも出来るようになるんじゃね!?こんな悪者たちに捕まることも無くなるだろうし、こんな場所からの脱出なんて楽勝でしょ!?凄いよ!これ!


「遠野さん凄いよ!早速!!」


「お願いします。」


 ん?何故か浮かない顔・・・・?まぁ、いいか?


 レッツ変化!


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