神の御加護がありますように 10

渋谷かな

第1話 物語10

「おにぎり~、コロコロ~。アハッ!」

 シンディは無傷で人間界に戻ってきた。

「おにぎり~コロコロ~。・・・・・・。」

 イースとフレッドはおにぎり・コロコロの掛け声を歌の様に歌わされながら、重たい一つ目巨人のギガンテスの角を運びながら帰ってきた。

「重い!? こんな角何に使うんだよ!?」

「削ってお味噌汁に入れるの! アハッ!」

「はあっ!?」

「鰹節かよ!?」

 何のための苦労なのかと、力が抜ける二人。

「おいー! 神父様!」

「おお! シンディ!」

 シンディたちはミッキー神父のいる孤児院まで帰ってきた。

「それとお供の二人も、良く帰ってきたな。」

「ただいま・・・・・・。」

「どうせ俺たちはお供ですよ・・・・・・。」

 二人に元主役の輝きはなかった。

「神父様、イースとフレッドは情けないんですよ。何回も死にかけて。おかげで私の毒消し草が無くなっちゃいました。私、疲れたので休んできますね。」

「ああ、ゆっくりしといで。」

 シンディは自分の部屋に帰った。

「まったく情けない。それでもおまえたちは男か?」

「女に見えますか?」

「シンディが強すぎるんだよ!?」

「文句ばかりで本当に情けない。シンディは今まで一人で魔界に貴重な食材を収穫しに行っていたんだから、おまえたちと経験値が違うわい!」

 イースとフレッドは二人で一人なので、得た経験値は山分けの半分こ。逆にシンディは一人旅のソロプレイヤーなので得た経験値は一人勝ち。レベルアップが早いのも当然である。

「いったいシンディのレベルはいくつなんだ!?」

「40は超えてるぞ。」

「40!? ババアじゃねえか!?」

「歳じゃないわい!?」

「レベル40といえば、魔王を倒せるれべるじゃねえか!?」

 シンディは魔王よりも強かった。

「当たり前だ。おまえたちがチャンバラごっこしている間に、あの子は一人で魔界に行って戦っていたんだからな。おまえたちとは過ごした時間の過酷さが違うのだよ! おまえたちとは!」

「チャンバラごっこ・・・・・・。」

「ガーン・・・・・・なんも言えねえ。」

 成長の糸口を初めて知ったイースとフレッドであった。

 つづく。

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