第10章閑話 神域にて佇む者10

 ルーメインでの騒動を見届けたマキナはそっと地上を映した空間を閉じる。


「今回も無事に解決できたようですね」


 予定通りに順調に事が進んだこともあって、今回はスムーズに目的を達成することができていた。


「王族の少女との出会いは想定外だったようですが、良い方向に転がりましたね」


 アレリアとの出会いは完全に偶然で、予想していない事態だったが、それが良い方向に転がったことも目的の達成がスムーズにいった要因だった。


「初めからフェルメット一人でも解決できたような気はしますが、悪魔は気紛れなところもありますし、そこには言及しないでおきましょうか」


 フェルメットの実力があれば一人で解決することも可能だったはずだが、気紛れだったのか今回はエリサ達に協力を依頼していた。


「まあその結果、被害を最小限に抑えられましたし、結果的には良かったと言えるでしょう」


 だが、その結果、街への被害を最小限に抑えることができたので、狙っていたわけではないがその判断が最上の結果をもたらしたと言える。


「元々そのつもりで動いていたわけではありませんが、結果的にはルーメインを救うことになりましたし、めでたしといったところでしょうか」


 エリュ達はフェルメットから詳しい事情を聞いていなかったので、国のことは考えていなかったが、結果的にルーメインを救うことになった。


「その結果は偶然か巡り合わせか、それとも彼が引き寄せた運命でしょうか? もしくは、彼らの尽力によってもたらされた必然でしょうか?」


 最上の結果となったのは果たして偶然か。それとも、エリュ達の行動によってもたらされた必然か。

 それはマキナにすら分からないことだった。


「……いえ、この問答に意味はありませんね。どうあっても何も変わらないのですから」


 だが、どうあっても何かが変わるわけでも無いので、この話はここまでにすることにした。


「さて、これで心残りとなるようなことは無くなったといったところでしょうか? 心置き無く機構天使との決戦に挑めそうですね」


 それはそうと、機構天使との決戦前に心残りとなるようなことは片付いたようなので、存分に決戦に臨むことができそうだった。


「ワイバスの方でも準備は進めているようですし、決戦まではもう少しのようですね」


 また、ワイバスではルミナを中心に準備が進められていて、スケジュールの調整もうまくいっているようなので、決戦の時期もそう遠くは無さそうだった。


「……ようやくですか」


 マキナは感慨深そうにしながらそんな一言を口に出す。


「永きに渡った機構天使を巡る騒動にも、ようやく決着が付きそうですね」


 もうどれだけの時が経ったのかは分からないが、ようやく使命を全うできそうだった。


「私には見守ることしかできませんが、応援はしています」


 だが、マキナは地上に直接干渉することはできないので、ただ見守ることしかできない。

 とは言え、成功を願うことはできるので、無事に大団円を迎えられることを祈っておくことにした。


「それでは、彼らの迎える結末とかつての争乱の終局を見届けましょうか」


 そして、マキナはこれまでの道程に思いを馳せながら、静かにその瞳を閉じたのだった。

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