episode26 ゴブリン
俺達は魔力探知で反応があった場所の近くへとやって来ていた。
強く吹いていた風は今は弱まっていて、心地の良いそよ風になっている。
「反応があったのはこの辺りだったよね?」
「ああ。気配もする。見付からないよう慎重にな」
「うん」
この辺りにいることは確実だ。見付からないように慎重に辺りを探索する。
そして、少ししたところでシオンは何かを見付けたらしく、俺のことを手招きして呼んで来た。
「エリュ、あれ」
シオンにそう言われて指差した先を見ると、そこには討伐対象であるゴブリンが五体いた。
「……? どうしたのエリュ?」
「いや、ちょっとな」
だが、その様子に少し違和感があった。
違和感というのは装備品のことだ。
一つ目の違和感は盾を持っているということだ。
一昨日に見たゴブリンは盾を持っていなかったが、今回は二体のゴブリンが盾を持っている。
まあ盾とは言っても、木を板状に加工した物と取っ手状に加工した物を蔦で繋ぎ合わせただけの粗末な作りなので、盾としての機能を存分に発揮できるかと言えば怪しいところだが。
次に、棍棒は手頃な大きさの物をただ拾ってきただけの物ではなく、削って使いやすいように加工されている。
このことから多少の知能を備えていることが分かる。
しかし、通常ゴブリンは物を加工するほどの知能は持ち合わせていない。
だが、ここで魔物図鑑に記載されていたあることを思い出す。
「ゴブリンリーダーか?」
ゴブリンリーダーとは通常よりも高い知能を持ったゴブリンで、物を加工したりゴブリン達を統率したりすることができる程度の知能がある。
なので、群れの中にゴブリンリーダーがいると危険度が上がるのだ。
「確か、普通よりも知能レベルの高いゴブリンだっけ?」
「ああ、そうだ。装備品を見た感じだとゴブリンリーダーがいると見て間違い無いだろう」
「でも、どれがゴブリンリーダーなんだろうね」
問題はそこだ。ゴブリンリーダーと言っても通常の個体よりも知能レベルが高いだけなので、その見た目は変わらないのだ。
なので、見ただけで判別することが難しい。
実際、ここにいる五体のゴブリンはどれも見た目は同じで判別ができない。
尤も、この中にゴブリンリーダーがいないだけかもしれないが。
「それは残念ながら分からないな」
「だよねー……。ルミナさんなら分かったりしない?」
「そうね……この中にゴブリンリーダーはいないと思うわ」
「何故分かるんだ?」
見たところ、どれも差が無いように見えるが、何か違いがあるのだろうか。
「何と無くよ。冒険者の勘といったところかしら」
何か根拠があるのかと思ったが、ただの勘だったらしい。まあ何も情報が無いよりはマシだろう。
「一応、何も根拠が無いわけではないわよ。ゴブリンリーダーは群れを率いているから基本的にはぐれになることは無いわ。そして、奥の方にまだまだいるからゴブリンリーダーはそこにいると思うわ」
どうやら、まだ奥にもゴブリンがいるらしい。
前方にいる五体は探知したものと見て間違い無いが、探知範囲ギリギリだったのでこの奥にいるゴブリンまでは探知できなかった。
「まだまだってどのぐらいだ?」
「そうね……メインの群れだけで六十体ほどといったところかしら」
「かなり多いな……」
確かに、魔物図鑑にも数十体ほどの群れになるとは書いてあったが、そんなにいるのか。
「うーん……大丈夫かな……」
そう聞いたシオンは少々不安そうだ。
「危なそうだったら、私が助けてあげるから大丈夫よ」
ゴブリンの数は六十体とかなり多いが、ルミナがいるので大丈夫だろう。最悪、彼女一人で何とかできるだろうしな。
「それもそうだね。それでエリュ、どうする?」
「そうだな……ルミナさん、ゴブリンの群れはどの辺りにいるんだ?」
ゴブリンの群れが近くにいるのかどうかで、だいぶ話は変わって来る。
なので、ひとまずそのことについて聞いてみることにした。
「すぐ近くにいるわね。まあ気付かれずに倒すのは難しいと思うわよ」
「そうか」
気付かれないように先に不意打ちで片付けたかったのだが、残念ながらそうはいかないようだ。
「メインの群れ以外はどんな感じになっているんだ?」
「メインの群れから四方向にそれぞれ五体ずつ配置されているわね。それらに見つからないようにしながらメインの群れに切り込むのは難しそうよ」
「そうか」
先にゴブリンリーダーを片付けられれば良かったのだが、それもできそうに無いらしい。
「ゴブリンリーダーは全部で何体いると思われるんだ?」
「二体から四体といったところかしらね」
「分かった」
とりあえず、情報はこれぐらいで十分だろう。
ひとまず、情報を基にどうするかを考える。
「それで方針は決まった?」
「ああ。さっきと同じ感じで行くぞ」
「分かった」
そして、方針が決まったところで、フォレストウルフのときと同様に別々に別れた。
二手に別れた俺達はフォレストウルフのときと同様に、それぞれギリギリ気付かれない位置に着いた。
今回は盾持ちのゴブリンが狙えるように位置取りをしている。
(奥にかなりの数のゴブリンがいるな)
先程は先の五体がギリギリ視認できる位置にいたため確認できなかったが、奥側に大量のゴブリンがいるのが確認できた。
確かに、これに気付かれずに先に手前にいる五体を仕留めるのは難しいだろう。
(さて、そろそろか)
シオンの方も短剣を構えて準備万端なようなので、そろそろ戦闘を始めることにした。
合図を送り、タイミングを合わせて短剣を盾持ちのゴブリンに向けて投擲する。
「ギャッ!?」
「グギャッ!?」
投擲した短剣は寸分違わず盾を持ったゴブリンの頭部を捉えた。
頭部に短剣が刺さったゴブリンが盾を落として崩れ落ちる。
「まだまだ行くぞ?」
もちろん、これだけでは終わらない。それと同時に飛び出して一気に距離を詰める。
そして、そのまま接敵した俺達はそれぞれ一番近くにいたゴブリンの喉を斬り裂いた。
さらに、外側に振り抜いた短剣をそのまま投擲して、残った一体を仕留める。
「ギャッ!ギャー!」
これで最初の五体は片付いたが、奥にいたゴブリン達が気付いて騒ぎ始めてしまった。
俺達はすぐに投擲した短剣を回収して次に備える。
「気付かれたみたいだね」
「ああ。態勢を整えられる前に数を減らすぞ」
「うん!」
態勢を整えられる前に一気に数を減らすべくゴブリンの群れへと突撃した。
そのままゴブリンリーダーを探しつつ数を減らすために、近い順に手当たり次第にゴブリンを斬り裂いていく。
ゴブリンリーダーを探す理由は倒すことができれば統率が崩れるからだ。
ただ、見た目では判別できないので、動きを見てどれがゴブリンリーダーなのかを判断する。
全体を見て動くのは俺の方が得意なので、俺が探すのをメインに、シオンが数を減らすのをメインに動く。
ひとまず、敵の数を減らしながら状況を確認することにする。
今のところ順調に数を減らせていて、六十体ほどいたゴブリンの内二十体ほどは片付いていた。
だが、メインの群れ以外の他の三方向にいたゴブリン達が全員合流したので、群れの数はあまり変わっていない。
とは言え、これ以上増えることは無く、ここから先は減る一方になるので特に問題は無い。
また、武器は全員棍棒で盾持ちは合計で十体ほどだ。
どれも加工されたものではあるが、木製の粗末な作りなので、あまり脅威にはならない。
と、ここまで混乱した様子でバラバラに動いていたゴブリン達の動きに変化が現れ始めた。
「何だか集まり始めてない?」
見ると、ゴブリン達が一か所に集まり始めていた。既に混乱はだいぶ収まってきていて、統率の取れた動きになりつつある。
「ゴブリンリーダーによる統率が機能し始めたようだな」
これは間違い無くゴブリンリーダーによるものだろう。
こうなる前にもう少し数を減らしておきたかったが、思っていたよりも統率が取れ始めるのが早かった。
だが、この中心にゴブリンリーダーがいるはずだ。見逃さないようによく観察する。
すると、群れの中にそれらしきゴブリンが二体いるのが確認できた。
何か指示を出しているかのような素振りを見せているので間違い無いだろう。
「多分あの二体だな」
ゴブリンリーダーと思われる二体を指差してシオンに伝える。
「確かに、それっぽいね。先に倒す?」
「できるならそうしたいが、そうだな……」
できれば優先して倒したいところだが、かなりの数のゴブリンが取り囲むように集まっているので、それは難しそうだった。
「シオンはゴブリンリーダーのことは気にせずに数を減らすのに集中してくれ」
「エリュは?」
「俺も普通に戦うが、隙があればゴブリンリーダーを仕留める」
「分かったよ」
と、こちらの方針が決まったところで向こうも態勢が整ったらしく、四つのグループに分かれてこちらへと向かって来た。
一つのグループは八体ほどで、盾を持ったゴブリン二体を前にしていた。残ったゴブリンはリーダーを守るように隊列を組んでいる。
「囲まれるなよ」
「分かってるよ」
動きを見たところ、ゴブリン達はこちらを囲もうとしているようだった。
なので、俺達は囲まれないように気を付けながら立ち回ることにする。
「……遅い」
「ギャッ!」
包囲網を作ろうとしたところを完成直前で隙間を通り抜けて、その際に近くにいるゴブリンを斬り捨てる。
シオンも同様にして、確実に数を減らしていく。
(まだ動かないか)
少し数を減らしたところで、ゴブリンリーダーの周りにいるゴブリン達の様子を見るが、まだ動いて来ていない。
どうやら、まだ様子を見ているようだ。
しかし、そのせいで隙が無い。短剣を投擲しても手前にいる二体の盾持ちのゴブリン防がれてしまうだろう。
それに、どうやらこの二体の盾持ちのゴブリンはゴブリンリーダーの専属のようなものらしく、常に盾を構えて攻撃に備えている。
だが、このまま地道に数を減らし続ければそのうち勝てるだろう。このペースなら体力的にも問題無い。
「ギャッギャーーー!」
と、そんなことを考えていたところでゴブリンリーダーが突然大声を上げた。
すると、ゴブリン達が一斉にゴブリンリーダーの元へと戻って行った。
「ギャッギャギャ!」
何を言っているのかは分からないが、何かを伝えるような素振りをしていることから指示を出しているものと思われる。
「シオン!」
「うん!」
そこに素早く近付いて指示を聞くことに意識を向けていたゴブリンを斬り裂く。
本当はゴブリンリーダーに向けて短剣を投擲して仕留めたかったが、専属の盾持ちゴブリンは常にこちらに注意を向けているのでそれはできなかった。
「ギャギャーーッ!」
そして、七、八体ほど斬り捨てたところで、近くにいたゴブリン達が一斉に襲い掛かって来た。
「下がるぞ」
「うん」
一度に全員の相手をするのは危険なので、一旦離れて距離を取る。
「ギャッ!」
「ギャギャーッ!」
そして、ゴブリン達は先程と同様に盾持ちのゴブリンを前にして襲い掛かって来た。
だが、今度はグループ分けはせず、全員が一塊になっている。
また、先程はゴブリンリーダーの付近で様子を見ていたゴブリンも加わっているので数も増えている。
どうやら、専属の盾持ち二体と他の五体を残して、残りはこちらに回しているようだ。
「戦い方を変えて来たな」
「みたいだね」
先程は囲い込もうとしていたが、今度はそのようなことはせずに真っ直ぐとこちらへやって来ていた。
そして、一斉に攻撃を仕掛けて来た。
一斉にとは言っても一方方向から一度に全員で攻撃を仕掛けることはできないので、盾持ちのゴブリンが俺達の攻撃が少し届かないぐらいの位置で盾を構えて、その間から数体ずつ飛び出して攻撃を仕掛けて来ている。
「雑兵が集まったところで、結果は変わらないぞ?」
手に持っている棍棒で殴り掛かって来るが、そこに"技"は無い。ただ棍棒を振り回しているだけだ。
こちらに跳び掛かりながら振り下ろして来た棍棒を左手に持った短剣で受け流して、直後に右手に持った短剣を素早く頭部に突き立てる。
「ギャッ!」
「ギャギャッ!」
そして、それを見て一体では勝てないと分かったのか、今度は三体で同時に攻撃を仕掛けて来た。
まず、先に二体のゴブリンが同時に攻撃を仕掛けて来る。
左右からの同時攻撃だが、左側からの攻撃を右側に躱して、右側のゴブリンの正面付近へ移動する。
さらに、右側のゴブリンからの攻撃を左足を引いて体を捻りながら、右手に持った短剣で左側に押し込むようにして受け流す。
「ギャッ!?」
すると、受け流した攻撃は左側にいたゴブリンの肩に直撃した。
その攻撃によって倒せてはいないが、攻撃を受けたゴブリンは大きく怯んだ。
さらに、攻撃を当ててしまったゴブリンの方にも動揺が見られる。どちらも隙だらけだ。
そこに少し遅れて来た三体目のゴブリンが棍棒を振り上げて攻撃態勢に入る。
だが、攻撃態勢に入るのが少し遅かった。こちらは攻撃を受け流すと同時に右手に持った短剣を左の腰のあたりに構えて、既にいつでも攻撃に移れる状態だ。
「はっ……」
そして、俺は棍棒を振り下ろされる前に右手に持った短剣で一文字に薙ぎ払い、先程の二体と纏めて三体のゴブリンの喉を斬り裂いた。
だが、敵はまだまだいるのでこれで終わりではない。俺が三体のゴブリンを斬り裂くと同時に、さらに三体のゴブリンが盾持ちのゴブリンの間から飛び出して来る。
俺はすぐに両手に持った短剣を逆手に持ち替えて、それと同時に先程倒してこちらに倒れ掛かりそうになっているゴブリンの死体を飛び出して来たゴブリンに向けて蹴飛ばした。
「ギャ!?」
蹴飛ばしたゴブリンの死体は真ん中にいたゴブリンに直撃して怯ませた。
さらに、間髪を入れずに前方に駆け、両端のゴブリンをすれ違い様に斬り捨てる。
そして、そのまま怯んでいるゴブリンを踏み付けて跳躍した。
跳躍した俺は二体の盾持ちのゴブリンを飛び越えて、そのすぐ後ろに着地する。
そして、腕を後方に振って、逆手に持った短剣を二体の盾持ちのゴブリンの後頭部に突き刺した。
「グ……ギャ…………」
後頭部に短剣を突き刺されたゴブリンが崩れ落ちる。
とりあえず、盾持ちのゴブリンを減らせたが、まだ油断ならない。言わばここは敵の本陣なので、目の前にはかなりの数のゴブリンがいる。
ひとまず、両手に逆手に持っていた短剣をすぐに順手に戻して構える。
「ギギャー!」
だが、そのとき後方からゴブリンの叫び声がした。
そう、先程怯ませていたゴブリンだ。後ろを取ってチャンスと言わんばかりに棍棒を振り上げて襲い掛かって来る。
しかし、そのゴブリンが俺の元へ来ることはなかった。
何故ならシオンの投げ放った短剣が頭部に直撃したからだ。
「不意打ちするなら声なんて出さずに静かにしないとね」
シオンが送別の言葉と言わんばかりに倒れたゴブリンに向けてそう言った。
「助かった」
「もっと褒めてくれても良いんだよ!」
「そんなことを言っている場合か……っ!」
襲い掛かって来たゴブリンを斬り捨てながらシオンに向けて言う。
「えー……それぐらい良いじゃん」
シオンは襲い掛かって来るゴブリンを斬り捨てながら、不満そうにしながらそう言った。
そんなシオンの方の様子を見てみるが、近付いて来るゴブリンを次々と斬り捨てている。こちらの心配は必要無さそうだ。
それよりも自分の方が問題だ。
敵はかなりの数なので気が抜けない。確実に一体ずつ処理しているが、数が多いので囲まれる危険もある。
(一旦下がるか)
ある程度数は減らせたので囲まれる前に一旦下がることにした。俺は後方に駆けて、離脱を試みる。
それを阻止しようと盾持ちのゴブリンが立ちはだかってくるが、盾を踏み越えて跳躍して脱出した。
そして、ちょうどシオンのすぐ隣に着地する。
「おかえりー」
「ああ。……って、悠長過ぎないか?」
「余裕だし大丈夫だよ」
「……油断はするなよ?」
それが油断に繋がらなければ良いのだが……。
「大丈夫だって! それにもう後半分ぐらいだしね」
シオンの言う通り、既に半分ほどは片付いた。殲滅まではもう時間の問題だろう。
「それに、ゴブリンリーダーを片付けちゃえば統率は崩れるんでしょ?」
「それはそうだが……」
確かに、ゴブリンリーダーを倒せれば統率は崩れるが、専属の盾持ちのゴブリンが常に警戒しているのでそれは難しい。
「それじゃあ行くよ! しゃがんで!」
そう言うと俺から距離を取ってからこちらに向けて疾走して来た。
「ちょっ、待……」
待て、と言おうとしたがもう止められないだろう。やりたいことはもう分かったので、言われた通りにしゃがんだ。
シオンのやりたいことと言うのは、俺を踏み台にして跳躍することだろう。元々俺達は一つの存在だったせいか、言葉にせずとも考えていることはすぐに分かった。
そして、その勢いのままにシオンは俺の肩に足を掛けた。
「――跳べ!」
さらに、ここでシオンの踏み込みと同時に俺は一気に立ち上がり、シオンは大きく跳躍した。
俺の補助に加えて魔力強化をした状態で跳躍したシオンは七、八メートルほどの高さにまで跳び上がる。
そして、ゴブリンの群れを飛び越える勢いで宙を舞うシオンは、ゴブリンリーダーの真上を少し通り過ぎた辺りで上空から短剣を投擲した。
この位置からならば阻むものは何も無い。投擲された短剣は真っ直ぐとゴブリンリーダーの元へと飛んで行き、正確にその頭部を捉えた。
「ギギャーーー!」
「グギャーーー!」
ゴブリンリーダー達が断末魔を上げて崩れ落ちる。
すると、ゴブリン達の統率が崩れ始めて、個々でバラバラに行動し始めた。
そのまま俺とシオンとの方でバラバラに分かれて襲い掛かって来る。
だが、シオンは投げた短剣をまだ回収できていないので、手元には納刀状態の短剣が一本あるだけだった。
そこにチャンスと言わんばかりにゴブリンリーダーの近くにいた五体のゴブリンが一斉に襲い掛かる。
恐らく、納刀状態なのを見てチャンスと思ったのだろう。
しかし、それは間違いだった。シオンに近付いた瞬間に一瞬にしてそのゴブリン達の頭が斬り飛ばされた。
シオンが放ったのは居合斬りだった。
普通は居合斬りは刀でするものなので、短剣で居合斬りをすることは無いだろう。
それに、ナイフがメイン武器だった俺達にはあまり必要の無い技だ。
では、何故使えるのかと言うと、単純に抜刀しつつ攻撃できる攻撃手段の一つとして習得していたからだ。
「シオン!」
俺あ右手に持った短剣を一度真上に投げ、腰に装備していた鞘に入った短剣をシオンに向けて投げる。
「ありがと、エリュ!」
「ああ」
そして、俺は真上に投げておいた短剣をキャッチしてすぐに構えた。
「ギャー!」
「ギギャー!」
ゴブリン達が叫び声を上げながら次々と襲い掛かって来る。
だが、指揮官を失って烏合の衆と化したゴブリン達など敵ではない。正面から来たゴブリンを素早く切り伏せて、直後に前方に疾走してその奥にいた二体を斬り捨てる。
そして、そのまま群れの外周を駆けながらはぐれて一体になっているゴブリンを狙って狩って行った。
シオンも同じようにして一体ずつ確実に数を減らす。
そして、そのままゴブリンの群れを蹂躙し続けて、あっという間に殲滅し終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます