4 なぜ今、持続可能性?

第四に、持続可能サステイナブルな発展とはどういうことでしょうか?

これまでのような文明活動だけを続けていると、

これ以上は発展し続けられなくなってしまうので、

技術の開発・利用も含む、様々な政策が必要なのだと思います。


ここで分かりにくいのは、

なぜ今、持続可能性サステイナビリティーが問題になっているのか?

なぜこのままでは続かないのか、どこが問題なのか? ということです。

私見では、その問題は4つの政策ごとに4種類、あげることができます。


文明の循環サイクルを知れば、4種類の問題を知ることができます。

まず、科学・技術が発達すると、

経済・社会活動は拡大する一方、複雑・加速化します。

その経済・社会活動を健全に保つため、

制度・政策は高度化し、巨大化と同時に分権化します。

制度・政策はまた、自然・社会環境の制約や恩恵のもとで、

次なる科学・技術の研究・開発を促します。

文明の発展段階は技術の変革に始まって、

社会が変わると政策も変わり、その段階が完成すると、

さらに次へと引き継がれ、循環が繰り返されます。


農業技術は文明を成立させました。

工業技術は文明を世界的に拡大しました。

情報技術は文明の、地球という空間的な限界への

到達による衝撃を緩和しました。

しかし我々はまだ、この惑星上における、

文明の時間的な持続までは見通せていません。


第一に、資源枯渇や環境破壊が進んでいけば、

技術による富の生産に支障をきたします。


第二に、経済・社会活動が複雑加速化し続ければ、

政策による富の分配も難しくなります。


第三に、それらの対策には人間自身の向上が必要なのに、

生活の向上は逆に人口爆発や高齢化を招き、

政策実現に必要な、人々の教育や保健を難しくします。


第四に、いくら教育や保健が改善されても、

向上した人々を活かせなければ意味がないので、

制度・政策自体のあり方も、変更を求められます。


図:https://19084.mitemin.net/i495497/


以上をもとに考えると、

第一の問題は、技術的政策における問題であり、

現時点での技術の限界や活用不全、悪用・誤用による、

資源の枯渇や環境破壊、社会基盤インフラの不足や老朽化、

災害や犯罪・戦争がこれにあたりましょう。


第二は、経済・社会政策における問題であり、

技術革新や歳月経過に伴い社会活動が複雑加速化して、

生産と分配の両立が困難になることからくる、

貧困・格差や失業・不況がこれにあたりましょう。


第三は、人的資源政策における問題であり、

生活・医療水準の向上や社会の複雑化からくる、

経年・経代的な健康(精神・社会的含む)水準の低下や、

教育の困難化が、これにあたりましょう。


第四は、行政管理政策における問題であり、

公正・効率性の確保、国際協調、民主化・自由化や

人権保障を進め、より人々の能力を活かせるように、

制度・政策を改善していく必要性もありましょう。


実は、以上の問題について細かく見ていくと、

重大性や緊急性の違いもあります。

しかし、現在の新型肺炎の流行を見ても明らかなように、

環境破壊、交通発達、高齢化、国家政策など様々な原因や、

資材確保、社会活動制限、意識啓発、組織運用など

各種の対策は、いずれも相互作用の関係にあります。

そこで全分野の政策を、持続可能性という鍵言葉キーワードにより

まとめることができたのだと思います。


幸いにも現在では人工知能を中心に、新材料・エネルギー、

生物工学バイオテクノロジー生体工学バイオニクス知能スマートロボット、

IoTとビッグデータ処理、先進医療・教育など、

文明発展を持続させ得る新技術も生まれつつあります。


それらは、自然物と人工物の境界を取り除き、

いとこ取りで双方の持続可能性を高める、

体内環境を含む自然・社会環境に優しい、

いわば環境親和技術、持続可能性技術といえます。


SDGsはそうした次世代技術の活用も考えながら、

持続可能な新しい文明段階を目指す政策なのだと思います。

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