裏の者達

———マイアーレは店を出る子供の背中を眺めていた

子供が店を出るのを見送ってから自室に早足で戻る


自室の商談室に足を運び、扉を開ける


扉を開けると一人の老人がソファーに座っていた


マイアーレは反対側のソファーに向かい合うように座る


「———お待たせして申し訳ありませんっ!」


マイアーレは正面に座っている老人に萎縮しながら謝罪する


老人は紅茶を飲み終えると、ゆっくりとテーブルに置いた


「———ほっほっほ。良い。それで準備はどうですかな」


老人の相貌がマイアーレを捕らえる


「は、はいっ!着実に進んでおります。あ、あの‥‥例の彼女は私物にして良いと言う事ですが‥‥」


マイアーレは老人に向かって低姿勢を貫く。マイアーレとこの老人とは協力関係だが実際は圧倒的な力で踏み潰されているのに過ぎない


マイアーレの額から汗が溢れる。すると老人は口を開いてこういう


「ああ良いぞ。『我々』はあの貴重な血を少しばかし頂戴するだけなのだから。そんなビクビクせずとも綺麗に返す」


老人は綺麗に返すと言うがマイアーレは信用していなかった———




———この老人、いやこの組織はそんな綺麗事など一度も守ったことなどない

何が目的で何をするかなど全く情報がない


————なぜ私はこの組織と手を結んでしまったのだろう‥‥


7年前、あの事件をきっかけに私は商会を世界一の大商会にまで巨大にした


しかしそれは自らの力ではなく奪った物だ。


当時、商会が破産仕掛けたときこいつらに漬け込まれある”商会”を潰した


その商会が”パンテーラ・ネーラ”商会


娼婦街、花魁の父親の商会。この商会を潰し、自分の物にする代わりに私は悪魔に身を落とした。それから7年。


エリーも20になった


なぜ7年も待ったのか。どうやら成人の血でなくては意味がないと言う


ようやく今夜計画が実行される


夜24時に花魁を奪い、血を抜き、その後は一生私の道具‥‥‥私のおもちゃ‥‥!あの身体を毎晩好きにできる日が楽しみでしょうがないっ!


どんな声で鳴くのかどんな声で喚くのか考えるだけでも‥‥ゲヘヘヘっ!


「———マイアーレ殿の顔は気持ち悪いですな。ほっほっほ」


「は、ははぁ。申し訳ありませんっ!それでもし、もし計画が狂い誰かにエリーを奪われでもしたら‥‥」


「そんなこと考えなくて良い。我々が動くのだ。計画は完璧に実行する。邪魔立てする輩は殺すまで———」


老人の細い目に睨まれ、体をガタガタと身震いしてしまう


私は嫌な予感がしていた。獣人の感というべきなのだろうか、匂いが気になる

秋の前触れなのだろうか‥‥


そんな事よりも老人のティーカップに紅茶を注ぎその時を待った‥‥

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