夜景と酒
ヴァルネラはまだ飲み足りないらしく部屋でも飲むという
二人の美少女を担ぎ部屋に戻った俺たちは先に二人を寝かせた
「ハァ、お前はもっと自重したらどうだ、ヴァルネラ」
「何を言う主。この世界へ久々に来たのだから楽しまなくては‥‥」
俺とヴァルネラはベランダにあるテーブルにワインを置き、椅子に座った
俺は飲めないが雰囲気を嗜む
後ろでは二人が酒を飲んでしまい熟睡している
———ワインを一杯飲み干す程の時間が過ぎる
夜の街並みはとても綺麗で5階からの景色がまた程良く心を踊らす
ヴァルネラはグラスにワインを注ぎ、今度は上品に飲んでいる
「これは美味しい。ブドウの風味といい程よい酸味。この風景に合う」
妖艶な魅力を醸し出し、男共を魅了する存在感がグラスに口付けしている
そのグラスには口紅が残る
この顔貌を垣間見る事がどれほど幸福なことだろうか
国の貴族どもに有数の権力者が挙って彼女を欲しがるだろう
そしてその隣に居る俺は同性の憎き敵になるだろう‥‥
彼女はそれほどの美を兼ね備えている
そんな彼女がこちらを見詰めてくる
「———主はこれからどうするのだ?」
熱の篭った瞳で話しかけてくるヴァルネラ
俺は彼女の瞳に吸い込まれそうになるが必死に男の性を抑えた
「行き当たりばったりで考えながら進むしかないだろうな」
これまでそうだった様に、そしてこれからもそうなるだろうと思い答える
すると彼女ことヴァルネラが笑みを浮かべる
「それは無謀と同じではないか。いつか壁にぶつかってしまうぞ」
「その時はお前が助けてくれるだろう?」
ヴァルネラは面白半分で話していたが、俺の疑念を抱かない瞳にヴァルネラは虚を突かれた様子。すると俺に向かって艶笑した
「———そうか、そうだな‥‥ふふふ、お前は本当に面白い男だ‥‥レオン」
「そうだろう?俺といれば退屈の二文字は存在しない」
俺は椅子から腰を浮かしベランダの手すりに仁王立ちする
「それと少し出かけてくる」
そんな俺にヴァルネラは艶めいた声をかけてくる
「すぐに戻れ、我はここでワインを片手に座っていよう」
「ああ、すぐ戻る」
俺はベランダから向かいの宿の屋上に飛んだ
そのまま夜の街へと消えていく
そんな俺の背中をヴァルネラは物欲しそうに眺めていた
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