エルフ軍会議
————コツッコツッ————
ある男がエルフ軍本部の廊下をだらしなく歩いている
この男は昨夜の任務報告をするためある会議に出席する
———そしてエルフ軍本部はとても巨大である
表口に入れば目の前はエントランスが広がっており高さが数十mはある
また吹き抜けになっており下から上を見上げれば、それは圧巻の光景が広がる
奥行きがとてもあり、階数が15階建て。階段もあるが昔とは違い、現在では平らな台の上に乗り、魔力を流す事で上下に移動できるシステムが装備されている
今回の会議は15階、最上階で行われる非常に重要な会議だ
————コツッコツッ————
扉の前に着き、罰が悪そうにゆっくりと開ける
目の前に3名のエルフが席に付き座っていた
「———あらあら、”ファルコ様”、珍しく遅刻とはまたどうされましたかぁ」
「———はっはっは あんたも遅刻するんだなぁ!」
「———ファルコお前らしくないな。とりあえず座りたまえ」
補足をすると最初に話したのが、SSランクのカレン・ドゥラ、白髪青目の上品な顔立ちで軍人には見えない美人。参謀長
また補足をするとSSランクは各国に3名しかいない。
次にSSランクのリーラ・ライラック、白髪金目の性格旺盛な男 軍団長
最後に現世界最高峰SSSランクにして、世界に5名しか存在しない
“彼女はこの中で一番若く年齢は20歳。白髪で同色の瞳に引き締まった容貌だが出るとこはしっかりと出ている。現にこのエルフ国において国民的人気があり、ファンクラブまである程だ
(男が大半だが)
「ああ、すまねえな。次から気をつけるぜ」
そう言い自分の席のところに座り軍会議兼報告が始まった
「———まず私から報告させていただきますわ。現在、エルフ領と人族領の国境では人族側に何も動きはありませんわ。常に警戒を整えております」
「じゃあ次は俺だな、エルフ領と獣族領の国境でもなんも動きはねーな。一応警戒はしといてるぐれーだ」
そして最後に俺の番が回ってきた。
俺はいつもより真剣な眼差しで皆に報告する。
「———昨日の任務は遂行した。ピピストには逃げられたが、オークションに参加していた貴族、闇商売のトップはあらかた確保し投獄した」
「さすがは特魔部隊の隊長だな。それで報告は以上か?」
ディアナ・スミスが最後に皆に他にないかと促す中、俺は悩んだがこの重たい口を開けた
「実はな、抹殺するはずのエルフを奪われた」
「「「‥‥ッ!!」」」
俺の暴露を聞くと、皆が目を見開き驚く
「はぁ?!ファルコの旦那ぁ!?冗談はよしてくれ、あんたがミスを犯すなんて聞いた事ねー!」
「そうですわよ、ファルコ様。冗談はよしてください?」
同ランクの二人は偽りごとと鵜呑みにしている中、ディアナは神妙な面持ちで尋ねてくる
「‥‥ファルコ詳しく話せ」
俺はその時の様子を面白おかしく話し始めた
「一人の男が‥‥いや、二人のローブとマスクをしている少年少女が会場に忍び込んでいて、狙いは鼻っから例のエルフだったらしいが。そんでそのうちの少年と対峙して、つい楽しくて俺のとっておきの魔法を使っちまったんだよ」
「そんでその少年は殺したんだろう?何がエルフを奪われる羽目になるんだ?」
そんな中リーラ・ライラックは不思議に思い話しかける
しかし、俺は笑って続きを話す
「ああ、死んだと思ったさ、だが!あいつは立っていたんだ!体に十字傷を負ってもなお立っていた!!俺は興奮したぜ!俺の最高の魔法を受けて立っていた奴なんてディアナ、あんただけだったのによ!」
この発言にリーラ・ライラックだけではなく全員が驚愕する
「な、なんだと?!?旦那の魔法を受けて立っていただと?!ますます信じらんねーぜ。旦那飲みすぎて記憶がおかしくなったんじゃねーのか?」
「ファ、ファルコ様そのような偽りごとはよろしくなくてよ?」
「ファルコ冗談もその辺にしておけ‥‥それでは今回の会議は終了す——」
『転移』
「「「‥‥ッ!!!」」」
俺が発した言葉は威圧を帯び、さらにはありえぬ単語が他の三人の耳に飛び込む
「奴は『転移』の魔法を使って俺たちの包囲網を簡単に抜け出し逃げやがった。流石に転移は初めて見たぜ、文献にしか乗ってねーのが目の前で起こるなんてな。そんで奴は‥‥『ネロ』と名乗っていた。それに、俺の隊員もほとんど見ているぜ、嘘じゃねーよ」
「ファルコ、それが本当なら無視できない案件だぞ?——はぁ、少し調べる必要がありそうだな‥‥」
ディアナが調べると口にすると他の二人が話に割り込んできた
「おいおい、本当に信用すんのか?旦那にはワリーが旦那の思い込みにしか思えねーな」
「私も少々納得しかねますわ‥‥転移が使用できる人物が今頃なぜ、この世に現れるのか。狙いは何なのか理解しかねます‥‥」
二人はどうも俺の発言に信用していない様子
しかし、そこにディアナが新たに付け加える
「‥‥二日前、人族の国で災害が起きたらしい。報告としては空が裂き、大地が山が裂かれていたと。そしてそれを調査していた人族軍が二日前二人組の不審者に夜襲を受け、戦闘が始まった。しかし相手は化け物級に強く敗北。さらには手加減をされ全員無傷だったそうだ」
「おい、その情報は本当か?」
リーラ・ライラックが眉を動かしディアナに食い込む
「真実だ。付け加えるなら二人組のうちの一人が魔法を使ったらしい。それも
今度は全員が驚きの表情に包まれる
「ディアナ嬢と同じ可視化だと?!?何だってそんな存在がいやがる!?」
「冗談に聞こえないあたり全て真実なのでしょう。ディアナ様と同じ可視化とはまた心臓が飛び出しそうですわ」
「嬢ちゃん本当かそりゃ?」
「ああ、嘘偽りない。そして黒剣を持った者はその裂け目を修復したと言うことだ‥‥おかしいと思わないか?二日前、昨日と連続で事件が続きどれも化け物の仕業だ。同一人物として間違い無いだろう」
「でもよ、嬢ちゃん同一人物ならあいつは『ネロ』はなぜその黒剣を使わなかったんだ」
「それはわからないが‥‥ファルコお前、命拾いしたな」
ディアナは俺に笑いながら言い放つ
(———なぜ正面から受けた、その気なら防げたはず。それに『俺はまだまだ成長できる』的な事を言っていた。それに何か関係が‥‥‥まさか!!!)
「俺の魔法をわざと受けて技を盗むためか‥‥」
俺は独り言のように呟いたが全員の耳に聞こえていた
「ははは、笑えねー冗談だぜ‥‥」
「ええ、全くですわね‥‥」
「‥‥‥‥」
しかし全員冗談には聞こえていなかった。
そんな存在がいてしまっては自分たちの常識が通用しないと心のどこかで思っていたからだ
「今回の会議はこの辺にするとしよう。皆万全の態勢で任務に励め。また『ネロ』についてもこちらで調べる」
「「「はッ!!」」」
こうして会議は終了した。
この会議の後、『ネロ』についての情報がエルフ軍全域に伝わる。
また世界各国の軍“上層部に報告が入る事になったのだった
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