Skull Carriage

影神

青い瞳

ある、西洋での出来事。




その都市には有名な"噂"があった。




噂というのは大体、社会的な情勢が不安定である場合に


広がりやすいとされており、又、


大半の内容が事実であるかどうか、とういことはわからず、


曖昧な話しが世間で言い交わされる事を指すのだが、




"それ"は瞬く間に広まった。






『雷の降る夜には子供を窓辺には居させてはいけない。』






東洋ではお腹を隠す等と言った話があるが、、


まあ、さておき、何故このような話になったのか。




子供が雷の降る夜にどうなったのか。




子供はどうなってしまうのか。






という所だろう。






君は気になるか?






では、語ってしんぜよう。




私の知る全てを。






"子供"と言うものはそもそも神聖な者である。




『穢れ』を持たないから。




とでもしておこう。




子供はあらゆる可能性を持つ。




そしてまた、子供はどちらにでも傾く。




時に、良い方にも、悪い方にも。






西洋では、魔術や魔法等と言ったモノがあり、


同様に儀式等も盛んだった。




儀式や魔術、魔法等には欠かせない


『生け贄』と呼ばれるモノもあった。






生け贄は人柱と呼ばれるモノもあり、


神や悪魔等に捧げるモノとして扱われ、


それらに子供が用いられる事も少なくなかった。




彼等からしてみれば、何とも思わないのかもしれないが、


実に惨たらしいことだ。




そう言った風習とでも言うのか、、






正義は人、それぞれの多数の正義がある。




価値観と呼ばれるモノだ。




だから私が言っているのは差別でもあり、


偏見と呼ばれるモノにもなる。




難しいところではあるが、発言には気を付けたい。






何故人攫いの話をしないのか、、




今回の物語はそうではない。




と、しておこう。






人攫いは孤児や、貴族の子供等を金目当てで行う。




彼等に金銭を払い、娯楽や至福。快楽等の為に行う。


政治や、野望等といったものにも使われる。






違いがあるとするならば"貢ぎ物には対価は支払われない。"






本題に入ろう。




上記から察するに、物語好きならば、大半は読めただろう。




君が察したモノ。それが全てだ。






そう。


これは汚く、とても綺麗なお話。






あるところに「J」と呼ばれる子供が居た。




Jはある男に買われた。




男はJに身の回りの世話をさせた。




その時代にはJのような子供は少なくはなかった。




Jは男に気に入られてはなかった。




Jの先任が居なくなり、代用で遣われていたからだ。




なんでも先任は居なくなったそうだ。




主人が外に出掛け、帰ってきたらもぬけからだった。




彼は厳重にされていた。無論逃げられないように。




それが、意図も簡単に消えた。




始めは、盗っ人の仕業だとも考えられていたが、


これまでに彼等が盗まれるという事例等はなかった。


脱走等はもってのほかだった。




だからJは余計に扱われた。




男も働くモノが居ないと不便だから。






そんなある日、


Jはたまたま男の客人が来ていた時にその噂を聞いた。




実際には聞いたのではない。聞こえてしまったのだ。




男の客人「お前のとこ、前のは消えたらしいじゃねえか」




男「厳重にしてあったんだがなあ、」




男の客人「そりゃ残念だったなあ。笑。


お前たいそう、気に入ってたらしいじゃねえか。」




男「ありゃ、高かったからなぁ。いいモノだったし。」




男の客人「まあ、次は逃げられないこった。


最近じゃあ、厳しくなってきてるみてえだからな。」




男「けっ、人様の事情ってのも考えて欲しいもんだぜ。」




男の客人「がはははは。そりゃそうだ。」






それから男と客人はしばらく話をすると、酒を呑み始めた。




そうして、"いつもの"が始まった。






男らはJを弄び楽しむと、帰り際に言った。




「まあまあいいじゃねえか、要らなくなったら貰ってやるよ。


くれぐれも雷の降る夜には窓に近付けねえこった。」






『雷の降る夜。』






客人が帰ると、男は酔い、そのまま寝てしまった。






その夜、雨が降った。大粒の雨。




今までに感じたことない量の雨。




普段その場所に居ることがないからだろうか。




外からは街灯の明かりが射し込む。




雷が鳴り始めた。




男はぐっすりと寝ていた。




Jは窓から外を見つめる。




水の匂いがして、ひんやりと窓から水滴が落ちる。




雷は轟き、雨も勢いを増す。




男はそれでも起きない。






再び外を見ようとした時、眩しいくらいの光が映る。




「ゴロゴロッ!!」




耳が痛くなるくらいの大きな音。




それと同時に窓が割れた。




破片が散り、男も流石に起きた。




男「何やってる!!」




怒号が響く。




男は近くにあった酒を手に持ち、振り下ろそうとした。




Jは傷みを耐えるよう目を瞑る。




しかし、痛みはなかった。




Jはゆっくりと目を開けると、男は尻餅をついていた。




男は震えながら何かを言おうとしている。




Jは何かを感じ、振り向くと、そこには誰かが居た。




「ゴロゴロッ!!」




背丈は2㍍あるだろうか、顔の所には青い瞳が光る骸骨が見えた。




その背後にはさっきまで無かった馬車もあった。




それはゆっくりと私の脚に近付くと細い骨の指先で、


私の拘束具を触った。




すると、私の拘束具は「ピキッ」と音を立て、


私の脚から外れていく。




私はただ、彼の青い瞳に吸い込まれるかのように、魅入っていた。




見たことのない、綺麗な青い瞳。




不思議なことで、私は彼が恐ろしくなかった。




彼は私を抱き抱えると、彼の馬車に乗せてくれた。




彼からは不思議な匂いがした。


何処とも嗅いだことないような匂い。




男は腰を抜かしたまま、その場に居る。




彼はゆっくりと馬車の扉を閉めると、


馬車はゆっくりと動き始めた。




馬車がしばらく走ると、男の叫び声が聞こえた。




馬車の後ろの窓からは私が居た男の家が燃えていた。






私は安心感からか、寝てしまったようだった。




気付けば馬車は止まっており、窓からは光が射し込んでいた。




鳥が囀ずり、地には綺麗な花が咲いていた。




彼は私が馬車から降りると手を取ってくれた。






まるで、絵本の中のような綺麗な場所。




古い協会のような建物の中からは、


私と歳の変わらないような子供達が覗き込んでいる。






彼は何も語らない。






それからどのくらいたっただろうか、


この綺麗な場所には雨は降らず、太陽の光が温かく照らす。




彼は一定の周期で出掛けると、私達のような子供を連れてくる。




どのくらいの時間が経っているのかはわからない。




ただ、私は歳をとらないようだ。




彼の匂いと、綺麗な青の瞳は私達を優しく見守る。






















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Skull Carriage 影神 @kagegami

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