第57話 握手


「なんの起業かって? うん、なんていうのかな……ショップ?」


 ニシコが言うには、どうやらセレクトショップとオーダーメイドのアクセサリー販売を足したような、ネットショップだった。


「アクセサリー小物を中心にやってるよ。たぶん、こっちゃんの好きそうな——」


 そこまで言って、ニシコは言葉を切った。何かに気がついたように目が大きく見開かれる。


「こっちゃん! あんた、手芸得意だったよね!」


「え、あ、うん?」


 ニシコは良いものを見つけたとばかりに目をキラキラさせた。




「え? 販売?」


 ニシコはコトコに、作ったアクセサリーの販売を頼んだのだ。


「販売っていうか、製作する方かな。あんた縫い物得意でしょ? どうかなどうかな?」


「ななな、何? 何を作るの?」


 ふふふん、とニシコは笑うと、


「ヘアアクセサリー全般。こっちゃんにはリボンを縫ってもらいたい!」


 ニシコはそう言うとコトコの手を握ってぶんぶんと振った。


 まるで契約成立みたいな握手だった。





 つづく

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