第34話 仕事初め

 コトコは靴を履く。


 正月休みが明けて、久しぶりの出勤だ。


 ——ああ、行きたくない。


 またあのお局達との仕事の日々に戻るのかと思うと、胸の奥に鉛の塊を入れられたみたいに気持ちが重くなる。


 コトコは履いた靴を見る。


 買い換えればよかったと思う程の傷を見つけてしまった。


 こういうのを見咎めて、おばさん達はヒソヒソ言うのだ。


 ——見た? あの靴。

 ——あんなボロ靴、みっともない。

 ——いつもあんな靴じゃない。

 ——靴一つ買えないの?


 あっという間にシミュレーションして、コトコは勝手に落ち込んだ。








 つづく







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