第15話 非・日常
今日は職場で妙な事があった。
先ずは夏休み休暇と病欠が多くて、普段コトコがしない業務が回ってきたのだ。
昔——といっても2年ほど前まで窓口業務をやっていたからと頼まれて、久しぶりにそこに座る事になったのだ。
窓口に座るならもう少し気を遣った服で来るべきだった。コトコは担当の時間が早く過ぎれば良いと願っていた。
あと少しで終業というところで、突然英語で話しかけられた。
顔を上げると、どう見ても日本人——或いはアジア人であろうか、ひとりの男性が立っていた。
なんでこの人はよりによって英語で話しかけてくるのだろうとコトコはぼんやり考えた。
戸惑っていると、相手が今度は日本語で話しかけてくる。
「英語はダメですか?」
「すみません。苦手で…」
そのまま手続きに入ると、その青年が書類を書きながら今度大型バイクを買うのだと嬉しそうに語った。
にこやかに対応しながら、コトコはお金のある青年が羨ましかった。
いや、英語を話せるのが羨ましかったのかもしれない。
手続きが終わって去り際に彼は、
「今日は何時まで仕事なんですか?」
と、聞いて来た。
コトコは心臓が跳ね上がるほど驚いた。
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