第2話

 ある初夏の日でした。仕事で遅くなってしまい、終電に乗ってやっと駅にたどりついたときには、もうとっくにバスはなくなっていました。タクシーにも長い列ができているし、家まで歩いても二十分ぐらいなので、僕はひとけの少なくなった道を歩きだしました。とぼとぼと歩いていくうちに、まわりを歩いていた人達は一人二人と減ってゆき、とうとう僕一人になってしまいました。

 そろそろ道のりの半分ぐらいまで来たところでしょうか。あたりは新興住宅地で、まだつくりかけの家があちこちに建っていて、うすぼんやりした街灯にてらされています。もうみんな寝しずまってしまったのか、家のあかりはみんな消えています。僕は、ぼんやりと考えごとをしながら歩いていました。

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