オマケ その1 とある下っ端の独白


 サイド:中島亜斗夢(アトム君)




 俺の兄貴はマジすげえ。


 まず、滅茶苦茶つええ……それもドン引きするくらい強え。


 カイザードラゴンとか一撃でやっちゃう。そう、一発でやっちゃうの。



 一撃。

 ワンパン。

 マジやべえ。



 で、後、モテる。とにかくモテる。


 見た目は普通なのに、とにかくビックリするくらいモテる。


 美女と出会えば、100パー同居人が増えると言っても過言ではないくらい。

 もう、出会ったその日に「全然嫌じゃない」。

 それくらいモテる。


 マジでパねえ。



 うん、そうなんだよ。

 歩くハーレム製造機みたいな人なんだ。




 それで、モテてる相手もマジすげえ。



 手乗りウサギの女王


 サキュバスの貴族


 金にガメつい狐耳


 賢者適性の女子高生


 おっきくなったりちっちゃくなったりできるドワーフの幼女



 もう、意味分かんねえ。

 おっきくなったりちっちゃくなったりできる幼女とか、マジで意味わかんねえ。


 正に、怖い人からの批判を神回避。


 コミック版でアニキが言ってたけど、小っちゃいまま「全然嫌じゃない」をすると「編集長に怒られる」。

 かといって、おっきいままだと小っちゃいままが好きな人が失望する。


 だから、おっきくなったりちっちゃくなったりできる。


 そうなんだ。

 これぞ、読者の想像に任せる神対応ってやつなんだ。

 


 とにかく、マジでパねえ。



 あと、友達もすげえ。


 そのものズバリで魔王様。カレー好きの魔王様。


 しかもロリババア。




 もう、完全に意味わかんねえ。カレーの魔王様。マジで意味分かんねえ。




 で、ウチのアニキは魔王に同格と認められちゃってる。

 そう、ロリババアのカレーの魔王様とマジ同格。



 聞いた話によると、この世界に来てから1か月もしない内に、アニキは魔王と同格になったらしい。



 ――1か月、そう、たった1か月もしないうちにこの世界の天下取ったんだよ


 なんせ、魔王と同格だからな。



 いやいや、普通引くでしょそんなの?

 凄すぎて引いちゃうでしょ?

 マジでヤバすぎて震えがくる。


 で、アニキの何が一番凄いって……俺が調味料の分量を間違えて飯を作った時――



「亜斗夢君。ちょっと塩が効きすぎてるぞこれは」


「すいませんアニキ……」


「まあ、失敗は誰にでもあるから気にすんな」


「え? 食べるんっすか? そんな不味いの食べなくて良いですってアニキっ!」


「食べられないこともない不味さだからな。それに――」


「それに?」



「亜斗夢君が一生懸命作ったもんだろ? もったいないお化けも怖いしな」



 で、もったいないお化けって言葉で俺とマユは「日本が懐かしい」って爆笑して、アニキと一緒にみんなでウケて爆笑したんだけど――



 ――そうなんだ。


 アニキは良い人なんだ。

 何て言うか……普通に良い人なんだよな。


 この世界ってのは、実はかなりのダークファンタジーで、転移者はほぼ全員酷い目にあう。


 ミヤモトだってそうだし、マユだってそうだし、俺だってそうだった。


 そんな感じで殺伐とした世界で、闇落ちするのが普通だけど……。


 でも……ここにいると、俺もマユも自然に笑える。


 それはどうしてかっていうと、アニキを中心にして……優しい世界がここに広がっているからだ。



 ――だから、俺はアニキが大好きだ



 一生ついていきます。


 そう俺は心に誓ったのだった。




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