明日:未来

あれからどれだけ時間が経った?




どれだけ泣いたか




もう声が出ないほどに泣いた




施設があった森を抜ける頃には涙は枯れてた




家に着いた頃には疲れ切っていて服を着替えることなく力尽きて眠ってしまった




次の日...?あの日がいつか見てなかったおかげでどれだけ寝てたかもわからない...




現実を見るようで嫌だったから確認できるであろう手段は一切取らなかった




それから数日後、気持ちの整理が落ち着いたあとに同じ場所に戻った




建物はあったけど中身は綺麗さっぱり無くなってた




私はあの日に全てを失ったと改めて実感した




もう躍起になって探した、なにか痕跡がないか




灰しか無かった...あの目の前で力尽きたようにホロホロと崩れていったあすにゃんの...いや"多分"あすにゃんの




わかにゃんの痕跡は何も無かった




どうしていつもわかにゃんは1人でどこかに行ってしまうのだろう




私の気持ちなんか無視して勝手に突っ走って




でもそれに勝手に興味をもってついて行ったのも私だし自然と仲良くなってただけ




なのに




どうしてこうも悲しいのだろう




彼女を知らなければ




興味を持たなければこれからも背負うことがなかった悲しみ




なんであの時興味を持った???今まで持とうともしなかった興味を




後悔先に立たず...まさにこれだ...わかるわけがなかったんだ...わかってからも遅いってわかってるはずなのに




私は彼女に何を見てた???光???




そうだ...彼女は女優だ




あの時見た輝きだって演技だった...?ほんとは私と関わるのも嫌だったのか...?




だめだ...考えれば考えるほどわからない...私は...私は彼女の何を知っていた???




いくら考えても明日に彼女はいない




応えを聞く術も無い




彼女が居ようが居まいが明日はくる




未来は拒めど来る




本人を置き去りにして現実を見せてくる




これほど残酷なものはないと思う




そういえば...彼女のやってた女優...彼女はどんな景色を観てたの?




私達のような人達に何を観せようとした?




なんで...彼女を失ったことでなにかに興味を持つとこうなることをわかってるはずなのに...興味なんて...興味なんて!!!!




………1度持った興味は触れてみなきゃ消える気とはないらしい...





「女優というものへの興味は、女優というものは私の明日を作ってくれる?」




誰に対して言った訳でもない一言...いや...彼女、[若菜琳檎]であり[琳。]、そして親友の[わかにゃん]への一言を呟きその場から立つ




灰を袋に入れ家に持って帰った




自分の家の庭にあすにゃんの灰と自分が持っていたわかにゃんの写真を隣同士に埋葬し手を合わせる




世界はわかにゃんを失ったものとして、あすにゃんはいなかったものかのように無関心に回り続けている




世界が彼女らを忘れても私は忘れない、あの日、外に出た時の何もかもが絶望になったような夜の闇も忘れない...明日も何もかもを飲み込むような闇を...私は忘れちゃいけないしそれを超えなきゃ行けない...明日のために




わかにゃん...私...女優になるよ




あなたの居た世界を感じるために



胡桃の心を閉ざしていた硬い殻はもう無い

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