第3話 会社

朝の朝礼後、僕は早速商品企画室の部長に呼び出された。

部長の机の上にはファイルがいつも山積みになっている。

それが仕事の出来る人間の証とばかりに。


「浅川、お前が取ってきた外注の書類な! 不備だらけだぞ。いい加減に覚えろ。大学のサークルじゃあるまいし」


僕は怒られ慣れしている自分に気が付いていた。

仕事のミスを指摘されるならいざ知らず、性格や生き方までも否定する様な言い方をされる。

何がコンプライアンスだ。

モラルハラスメントもいいとこだ。

部長の言葉に腹を立てる時間すら勿体無く感じるから、僕は小声で 「申し訳ありません」と無感情な言葉を発した。

これが現実なんだと理解するまでに、幾度も会社を辞める事を考えた。

だけど両親に申し訳なくて、友人達にも合わす顔がないからやめた。

どうしてもプライドが邪魔をする。

みんなそうして生きているのだろうか?

僕は誰かに尋ねてみたかった。


『あなたは何の為に働いているんですか?」


って。

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