世間知らずの宿無し元女神さまが俺の部屋に居座っている件~彼女は子作りに興味津々です~

パンドラボックス

プロローグ

 これは家族の話だ。


 ある理由から祖国を離れることになった北欧の少女、シャノン。


 小さな島国日本、その片隅の小さな小さなアパートの一室で幼い妹と二人暮らしをしている高校生、桐ケ谷輝臣。


 このふたりが家族になる話だ。


「おい! ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待てって!」


 深夜、ふと目を覚ました輝臣は目の前の光景に跳ね起きた。


 シャノンが枕元に正座していたのだ、黒のキャミソール姿で。


 服装もあってかすらりと伸びる四肢が妙に艶っぽい。


 輝臣はごくりと生唾を飲み込む。


「お前、何しようとしてんの?」


「はい。子作りです。家族と言えばこれだと聞いたので!」


「子づ――っ。お前、それって何やるのかわかってるのかよ」


「??」


 そわそわ。少し落ち着かない様子で頭の上にクエスチョンマークを浮かべているシャノン。


 これは絶対に知らないやつだ。


(これだから超絶世間知らずの元メガミサマってやつは!)


「だ、大丈夫ですよ輝臣くんっ。多少大変な作業だったとしても、わたし昔から根性だけが取り柄なんです。不肖シャノン、子作り励ませていただきますね!」


「励まんでいいわ」


 確認までに繰り返す。


 これはある家族の話だ。


 輝臣とシャノンが家族になるまでの話。




 決してそこに誤解はない………………はずだ。


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