チート級の力手に入れたけど世界救える自信が無いので友達作って平和に暮らします

Leiren Storathijs

プロローグ

 俺の名前は寝巻裕也。朝起きたら見知らぬ白い空間にいた。どうやら俺は死んだらしい。


 このふわふわ感。どうみても天国かな。


 目の前にはこれまた見覚えの無い女の人が立っていた。妙に煌びやかな服で、すんごいフリルのついたスカート。アレだ。TVアニメでみる魔法少女だ。


 俺がじっと見つめていると、彼女は突然自分を女神だと名乗り始めた。


「ごきげんよう。とても残念だとは思いますが、貴方の命は消させて頂きました。私の名前は、アスタル。女神ですっ」


 頭おかしいのかな? この人。俺を殺したってのにいきなり名乗り始めたよ。異常者かな。生憎良い精神科は知らないな。あー可哀想。


「貴方を殺した理由は……これから異世界に行き、勇者に選ばれた貴方は、魔王を倒しに行くのです。もし命を返して欲しいなら、貴方のその力を持って魔王を倒し、世界を救わなければなりません」


 あー面倒くさ。寝ようかな。


「やだ。じゃあ、おやすみ」


「え゛っ……ちょ、アレ? 本当に寝るの? おーい!」


 天国の癖に床はなかなか硬めか。まぁ、慣れれば良いかな。


──────────────────


 数時間後……。


「ふわぁ〜あ……ん……あれ? まだ寝てるの? この空間は時間の概念が無いから、いつ寝ても明日は来ないわよ。はぁ、こんなの初めてなんだけど」


 え……明日が来ないだって? それじゃあ寝ている意味が無いじゃ無いか。仕方が無い。異世界とやら所に行ってからまた寝ようかな。


「はわぁ〜あ……。その話し本当? じゃあ早くその異世界に連れてってよ」


 俺がなんとなく寝る事を後回しに、異世界に行く事を決めると、彼女はぱっと表情を明るく変える。そして物と力の二つを何でも良いからあげると言ってきた。


 何でもなんて言われたら、アレしか無いでしょ。


「ん……? おぉ! 行く気になったのね! じゃあ、その前に貴方が異世界に行くと一緒になんでも欲しい物と力の二つを与えてあげる! さぁ、何でも言って!」


「じゃあ……君とベッドかな」


 そう、寝具である。いつでもぐっすり眠れる最高級のベッドが欲しい。力なんていらないから。あともう一つは、女神にしようかな。


 と、とても簡単に言った筈なんだけど、彼女の表情は困った表情で顔を赤らめる。どうやら何か勘違いしているようだ。ただ寝たいからベッドって言ったんだけど。


「え……? 私とベッド……? 寝ぼけた顔しながら何考えてるのよ……」


 少し言葉を変えて俺はもう一度答えた。すると彼女の表情は何かに気がついたかのようにサッと冷め、それを理解したらしい。


「……? いや、君と寝具ね。君は案内役。オーケー?」



「え? あぁ、うん。 そうよね。分かった。あれ? 物と力って言った筈なんだけど寝具の力……? いや、私を物扱いしてるのも気になるけど」


「力は要らない。とりあえず早くベッド出してよ。いや、異世界が先かな」


 俺がそういうと彼女はルールだからと言って無理やり俺のベッドを能力化させやがった。畜生。ベッドは物だろ普通。


「いやいや、そこはルールだから。そうだなぁ……こんな力はどう? そんなに寝るのが好きなら、寝る事を有効活用した能力よ。ただ寝るだけ! 寝るだけで強くなれる! とか?」


 やっぱりこの人頭おかしい。強くなるとかどうでも良いから、早く寝かせてくれ。あぁ、案内役と言ったけど、子守唄役も良いかもな。


「うんうん。分かった分かった。それでよろしく」


「了解っ。じゃあ行くよー!」


 こうして俺に女神(物)と、寝るだけで強くなれる能力(力)を与えられ、異世界に転生させられた。

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