助けた女性が推しのVtuberだったんだが?

モモンガ

第1話 絡まれてる?


 こうなる事が予想できただろうか…。


 アルバイトに向かう途中に、俺はに腕を蛇のように絡ませられて、こう言われた。


 


 と…。




 **********



 きっかけは1週間前…。


 俺は昼の12時にアルバイト先へ出勤した。


 名前は安曇あずみしょう年齢は23。就活に失敗し、アルバイトをしながら趣味のゲームやYouTubeを見ているどこにでもいる男だ。


 最近ではVtuberを見ている。


 きっかけはVtuber関連のラノベを読み…何となく見てみると、意外と面白く見る時間が増えた。


 個人的には、配信中に「4ねー!!」とか「ざまぁ! ざまぁ!」や、「にんじんが大好物!」と言っておきながら、ジャンクフードを食べる。などなど毒を吐いたり、言ってる事とやってる事が違う。俺はそんな馬耳を生やしたVtuberー梅1.00ホーチュンスを気に入っている。


 正直俺は、口が悪かったりゲスい部分があったりすると、本性を隠していないんだと安心する。


 逆に悪い部分が見当たらないと、少なくとも俺は本性は腹黒いのか?


 など思ったりもする。



 そんな事を思っている内に、アルバイト先に着き…俺は挨拶をし、いつもと同じようにレストランの洗浄機の電源をつけた。



 **********



 「お疲れ様ですー」


 「お疲れさん」


 洗浄作業が終わり、タイムカードを通して店を出た。


 「あ〜忙しくて2時間残業だったし…疲れた」


 袖をまくり、時間を見ると22時を回っており…夜の冷たい風が頬を撫でた。


 「うぅ…寒。しかも喉も渇いたし、何か買うか」


 俺は財布を取り出し、直ぐ近くにあった自動販売機に近寄ると…。


 「ーーー!!」


 「……ッ」


 「ッ!!??」


 何だ? 路地裏から声がするな。


 何となく気になり、俺はこっそりと路地裏を覗くと…1人の女性を囲んでいる3人の男達が眼に入った。


 一瞬襲われているのか!? と思ったが…男達を見てみると、感覚的だが襲われているようには見えなかった。


 それならいいかと、素通りしてもいいか? と…思ったが、女性が震えているのが眼に入った。


 (あ〜〜〜〜! めんどくさい)


 思わずため息をたっぷりと吐き出し…その場でしゃがみこんだ。


 (でも、知ってしまった以上助けるしかねぇよなぁ…。)


 偽善者でも勝手に言えばいい、価値のない俺よりも、あの女性の方が明らかに価値が高い。


 最悪、俺が死んだとしても誰も悲しまないしな。


 俺はそう思い、路地裏に足を進めていった。念の為に110番を事前に打ち込み、直ぐに繋げれるようにしながらーー


 「………で…か!」


 「………よね!」


 「はじ………」


 女性の顔がよく見える距離まで歩くと、声がハッキリと聞こえやすくなった。


 「!」


 どうやら女性は男達の後ろから向かってきている俺を見て、ますます顔色が悪くなったように感じた。


 女性は黒髪のショートカットで、丸々とした眼にスッ…とした鼻にプルプルな唇。


 正直、近寄りたくねぇ…。イケメンじゃない俺が近づいても迷惑なだけだろう。


 でも、少しだけ我慢してほしぃ。俺も我慢するから。


 とりあえず、男3人に声をかけるか。


 「なぁ、お前達ーー「「「俺(僕)達を踏んで下さい!!」」」


 ピ


 そう言い、女性に向かって土下座をする変態3人に俺は迷わず警察に繋がる最後のボタンを押した。

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