助けた女性が推しのVtuberだったんだが?
モモンガ
第1話 絡まれてる?
こうなる事が予想できただろうか…。
アルバイトに向かう途中に、俺は以前助けた女性の知り合いに腕を蛇のように絡ませられて、こう言われた。
大人しくついてきてくれなければ、大声で痴漢と叫ぶよ?
と…。
**********
きっかけは1週間前…。
俺は昼の12時にアルバイト先へ出勤した。
名前は
最近ではVtuberを見ている。
きっかけはVtuber関連のラノベを読み…何となく見てみると、意外と面白く見る時間が増えた。
個人的には、配信中に「4ねー!!」とか「ざまぁ! ざまぁ!」や、「にんじんが大好物!」と言っておきながら、ジャンクフードを食べる。などなど毒を吐いたり、言ってる事とやってる事が違う。俺はそんな馬耳を生やしたVtuberー梅1.00ホーチュンスを気に入っている。
正直俺は、口が悪かったりゲスい部分があったりすると、本性を隠していないんだと安心する。
逆に悪い部分が見当たらないと、少なくとも俺は本性は腹黒いのか?
など思ったりもする。
そんな事を思っている内に、アルバイト先に着き…俺は挨拶をし、いつもと同じようにレストランの洗浄機の電源をつけた。
**********
「お疲れ様ですー」
「お疲れさん」
洗浄作業が終わり、タイムカードを通して店を出た。
「あ〜忙しくて2時間残業だったし…疲れた」
袖をまくり、時間を見ると22時を回っており…夜の冷たい風が頬を撫でた。
「うぅ…寒。しかも喉も渇いたし、何か買うか」
俺は財布を取り出し、直ぐ近くにあった自動販売機に近寄ると…。
「ーーー!!」
「……ッ」
「ッ!!??」
何だ? 路地裏から声がするな。
何となく気になり、俺はこっそりと路地裏を覗くと…1人の女性を囲んでいる3人の男達が眼に入った。
一瞬襲われているのか!? と思ったが…男達を見てみると、感覚的だが襲われているようには見えなかった。
それならいいかと、素通りしてもいいか? と…思ったが、女性が震えているのが眼に入った。
(あ〜〜〜〜! めんどくさい)
思わずため息をたっぷりと吐き出し…その場でしゃがみこんだ。
(でも、知ってしまった以上助けるしかねぇよなぁ…。)
偽善者でも勝手に言えばいい、価値のない俺よりも、あの女性の方が明らかに価値が高い。
最悪、俺が死んだとしても誰も悲しまないしな。
俺はそう思い、路地裏に足を進めていった。念の為に110番を事前に打ち込み、直ぐに繋げれるようにしながらーー
「………で…か!」
「………よね!」
「はじ………」
女性の顔がよく見える距離まで歩くと、声がハッキリと聞こえやすくなった。
「!」
どうやら女性は男達の後ろから向かってきている俺を見て、ますます顔色が悪くなったように感じた。
女性は黒髪のショートカットで、丸々とした眼にスッ…とした鼻にプルプルな唇。
正直、近寄りたくねぇ…。イケメンじゃない俺が近づいても迷惑なだけだろう。
でも、少しだけ我慢してほしぃ。俺も我慢するから。
とりあえず、男3人に声をかけるか。
「なぁ、お前達ーー「「「俺(僕)達を踏んで下さい!!」」」
ピ
そう言い、女性に向かって土下座をする変態3人に俺は迷わず警察に繋がる最後のボタンを押した。
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