第2話傾国の美女、宝石の妖精と呼ばれてましたが、現在は【死神姫】です

かつて何もない所から神と呼ばれる存在が五つ生まれる。

五神ごしんと呼ばれる神はそれぞれ人間の国をつくり、生命を繁栄させた。


一つは、花は咲き乱れ緑が溢れる国、春魏国しゅんぎこく

この世の美しさが集まる五神国最大の商業国。

一つは、炎が輝く情熱の国、夏陽国かようこく

あらゆる武器や兵器の製造に長けた、五神国最大の軍事国家。 

一つは、眩い黄金と宝石の国、秋唐国しゅんとうこく

五神国最大の鉱山地帯をもち、宝石の国とも呼ばれている。

一つは、聖なる水が湧き出る国、冬羽国とううこく

最先端の科学や医療が発展している医療大国。

一つは、始まりの地であり五神の神が帰るとされている国、

四季国しきこく。四か国の取りまとめ役を担う。


それぞれの国でそれぞの神を祀り、国のを特色を生かし、

他国と共存することで発展を遂げてきた。


わたしはそんな国の中の一つ。秋唐国しゅんとうこく

第一王女として生まれた。

母譲りのアメジスト色の大きくつぶらな瞳に、

父譲りの絹のように艶やかでまっすぐな黒髪。

自慢じゃないけど綺麗だと思う。自分で言うのもなんだけどね。アハ!

小さい頃は、傾国の美女や宝石の妖精とか周りにさんざん色々言われていたけど、

今では【死神姫】。

なんで【死神姫】なんて呼ばれているかというと、

3回結婚して3回とも旦那様が亡くなったから。


もちろん!わたしはなにもしてない。

一人目は嫁いで1年と6か月で病気で亡くなり、

二人目は嫁いで3か月目で狩りをしている時に不慮の事故で亡くなり、

三人目にいたっては一番最速。婚礼の料理をを食べている時に

喉にお餅を詰まらせて亡くなってしまった。

だから噂ではわたしが死を呼び、嫁ぎ先の旦那様を殺したのだそうだ。

ぜんぶ偶然だけどね。男運がないとしか言いようがない。


いや~。22歳でバツ3とかマジでウケる。笑うしかない。

だからわたしは決めたのだ。恋も結婚もしない。老後は弟の傍でのんびり過ごすことを!!

わたしがここまでなんとかやってこれたのは、10歳年下の弟のおかげ。

本当にいい子!!わたし似てかわいいし、頭もいいし、おまけに姉思い!!

最高!!

ラピスラズリ色の切れ長な瞳に、まっすぐな黒髪。整った顔立ちで

周りからは宝石の貴公子とか呼ばれる。

自慢の弟よ。ダメな父と兄に変わって今、秋唐国しゅんとうこくを治めている。


そもそも、わたしの男運の無さは今に始まったわけではない。

まずはわたしの父。

父は本当に奔放な人で、わたしたち子どもにはいい父親だったけど、王としてはダメだった。

女にだらしがなく、金使いも荒い。まぁ、王としての資質がなかったのね。

わたしが10歳になるころには、国は乱れて反乱がおき取集がつかなくなり

反乱軍に倒されあっけなく死んでしまった。

その次はわたしの13歳上の兄。父の後を継いで国を立て直すべく毎日奔走。

わたしにも弟にも優しくいい人だった。でもいい人過ぎて全部抱えこんじゃったんだろうな‥‥。

兄が38歳の時に心労がたたり、あっけなくこの世を去った。

私が18歳で弟が8歳の時だった。


わたしの国では王位継承権は男にしか与えられない。

必然的に、弟の怜秋れいしゅうが兄の後を継ぐことになる。

8歳で王になり国を治めるのは無理がある。

わたしが摂政役を買って出てフォローし

信頼できる人を傍においてなんとか、国を治めていた。

もちろん全部うまくいったわけじゃない。

わたしが3度も結婚したのは全部政略結婚。他国の友好の証として嫁いだのだ。

建前はね。ほんとうは弟の傍からわたしを引き離しにかかってきた貴族連中の仕業だ。


今では【死神姫】の異名には感謝している。

もう誰も私を嫁として欲しいと思う人はいない。バツ3でしかも【死神姫】だ。

評判が良いわけない。デメリットでしかないはず!!

ビバ【死神姫】☆☆



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