魔王に姫がさらわれて勇者が助ける物語ができるまで8

渋谷かな

第1話 王道8

「飛天御剣流でどうだろうか?」

「俺たちにそんな大そうな剣術を教えてくれる師匠がいない。」

「北斗流とか、南斗流でいいんじゃないか? 我流よりカッコイイぞ。」

「いや、僕たち剣士見習いだし。」

「なかなか良いネーミングってないんだな。」

「だね。」

 イースとフレッドはベッドの上で自分たちの剣術の流派を考えていた。

「あんたたち、いつまで寝てるのよ?」

 そこにシンディが現れる。

「おまえが俺たちの骨を折りまくったんじゃねえかよ!」

「なんですって!? 私は優しく包帯を巻いてあげただけじゃない!?」

「ギャアアアアー!?」

 その結果、ミイラ男が二人できてしまった。

「怖くて何も言えん・・・・・・。」

 イースは生命の危機を感じるので大人しくしている。

「あ、忘れてた!? 二人ともご飯ができたわよ! アハッ!」

 実はシンディは病床の二人にご飯を食べさせに来たのだった。

「ごはん!?」

 イースとフレッドは顔を見合わせて恐怖する。

「シンディお得意の冷蔵庫の残り物で作りました料理! ドンドン! ピュピュ! パフパフ!」

 食卓を明るく振る舞うシンディ料理長。

「ゲゲゲッ!? スライムの欠片!? ウルフの骨!? ゴブリンの脳みそ!?」

「雑魚キメラ料理じゃん・・・・・・。」

 闇鍋を超える闇鍋。それがシンディの料理であった。

「さあ! とくと召し上がれ! お代わりもあるわよ! アハッ!」

「死にたくない・・・・・・。」

「シンディ、おまえ毒見はしたんだろうな?」

「大丈夫よ。毒消し草も入れてあるから。アハッ!」

 隠し味は毒消し草であった。

「マジか!? って、毒消し草が入ってなかったら、口から血を吐いて死ぬレベルってことか!?」

「まあまあ、百聞は一見に如かずよ。食べてみなさいよ。美味しいから。アハッ!」

「ギャアアアアー!?」

 こうしてイースとフレッドは重症化していくのであった。

 つづく。

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