初戦
vs ラグナロク・オメガ戦
第02話 ソウタ vs <神殺し>ユート #1
突然の真っ白な光に眼を閉じた俺は、次第に大きくなっていく歓声を聞いていた。声が大きくなるにつれて、身体が開かれた空間に開放されていくように感じる。
「……」
ゆっくりと目を開くと、先程までの真っ暗な空間は消え去っていて、いつの間にか俺は巨大な円形闘技場の上に立っていた。日光が肌を照らしている。
闘技場の周囲には客席があり、そこには観客がひしめいて歓声を挙げている。よくよく彼らの姿を観察すると、どうやら半獣人やら異形のモンスターやら、人間以外も混じっているようだ。さすがは異世界。
いや、あのミモザと名乗った少女が語るところによると、まだ異世界じゃないんだっけ。
どこかから実況の声が聞こえてくる。
《さあ始まりました!異世界転生トーナメント第83112回!》
いや開催数。
《記念すべき第一回戦を戦うのはこの二名!》
――闘技場の上に立っているのは、俺だけでなかった。
もうひとり、ちょうど俺と反対側の位置に、唖然としながら闘技場を見回している青年がいる。例えるなら、クラスのリーダー格。サッカー部。大学では他校を交えて海辺でBBQやっちゃうタイプのイケメンである。
……正直、苦手なタイプだ。
これがトーナメント戦だとするなら、あれが俺の対戦相手なんだろう。
そいつは銀の鎧を着込み、片手には光を帯びた大剣を下げている。あのサイズの剣を片手で何気なく持てるって、いったいどれだけの腕力なんだ?装備も立ち振る舞いもずいぶんと強そうだ。
――と、俺は改めて自分の身体を見下ろす。
ついさっきトラックに轢かれたときと同じ学生服のままで、特に武器らしい武器もない。このまま戦わされたら、普通に二秒で三枚おろしにされそうなんだが。
《まずは……<神殺し>ユート!》
実況の声にあわせて、闘技場の上空に文字が表示される。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
転生名: <神殺し>ユート
転生スキル: 【
転生先世界: 『オメガ・キリング・ファンタジア』
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
おお、かっこいい。
わかる、わかるぞ。異世界転生小説を沢山読んできた俺ならわかる。
あいつ――ユートが手に持っているのが、転生するときに与えられたスキルというか武器、【
そして、俺にも「転生スキル」とやらが付与されてるわけだな。これは俄然楽しみになってきた!
《対するは、ソウタ!》
ヴン、と音が鳴り、上空のディスプレイが俺のステータスを表示する。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
転生名: ソウタ
転生スキル: 【空気が読める】
転生先世界: 『せっかく死んだのに勝手に最弱スキルの<空気が読める>で転生させられて、潜り込んだ勇者パーティーからも追放された件について 〜パーティーがギスギスして困るから戻ってこいと言われても、お一人様を極めて生きるのでもう知りません〜』
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「うおおおおおい!!ちょっと待て何だこれ!?」
観客からドッと爆笑が起こる。
全力でツッコミを入れてしまった俺の反応も相まって、何かわからんがウケているらしい。
いや、笑ってんじゃねえよ!
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