第17話 風の精霊はもう逢っていた!?

第17章 風の精霊はもう逢っていた!?




 俺達は勝負に勝ったことでエルフ達の案内で、精霊がいる場所に向かっていた。


「そういえば、そちらのリーダーがいないけどどうしたんだ?」


「り、リーダーは別の用件があって今は、席を外しています」


 一人のエルフが答えた。


「そうなんだ。風の精霊ってどんな人だろうね?」


「そうだな・・・・・・以外ともう会ってたりしてな」


「ま、まさか~」


 俺達が話してるときからヴァイオレットは笑いを堪えてるようにこっちを見てるし、ティオも顔がにやついてるような気がするんだよな


「なぁ、二人とも、もしかして風の精霊が誰なのか・・・・・・」


「皆様、着きました。この部屋でお待ちください」


 俺がヴァイオレット達に気になってたことを聞こうとしたら案内していたエルフに言われたのでひとまず後回しにした。


 ま、いずれ分かるから、いっか




 俺達が通された部屋に入ると、


「ちょっと、真っ暗じゃない!」


 サファイアが吼えたその時


 部屋の両サイドの灯りが順番に付いていき奥まで伸びていた。


 俺達は灯りに従って歩いていくと幕がおろされれる舞台があった。


「ようこそ、おいでくださいました」


 やっぱり口調は違うけど、声が同じだ


「姿を見せないで、声だけなんて失礼じゃもぐっ!」


 サファイアが文句をいったとたん後ろからティオに口をふさがれていた。


「ちょっと、何をするのよ」


 なおもジタバタ暴れていると


「ちょっとは落ち着きなさいな。それに響也に迷惑がかかっていいんですの」


「・・・・・・それはよくないわ」


 サファイアがおとなしくなったところで


「連れがうるさくて済まないな」


「いえ、そちらの言い分はごもっともだと思いますけどちょっと、恥ずかしいので」


「恥ずかしい?さっき逢ったばっかしじゃないか」


 天幕のなかでガタッと音がしてイッターと声がした。


「だ、大丈夫か?」


「ええ、お構いなく・・・・・・では、ようこそ、おいでくださいました」


((((最初からやり直すんだ))))


「私が精霊の森にいる風の精霊です。あなたがたの戦い方は見させていただきました」


「そりゃそうだよ、さっき、戦ったばかりなんだから」


「その通りです・・・・・・あ、あの、今なんと?」


 風の精霊がティオの言葉で固まってるのが、姿が見えなくても分かる。


「だから、風の精霊さんはエルフのリーダーだよね、ってこれ言ったらまずかった。ごめんね~」


 俺は頭を抱えたくなった。まさか空気を読まないのはサファイアだけじゃなくてティオもだったなんて


 二人の方を見てるとサファイアはそうだったのって顔してるし、ヴァイオレッ


トも俺と同じ気持ちだったようだ。


「まさか、最初からばれてたの。じゃぁ、今までのお膳立てはいったい・・・・・・」


 バタンッ!!


「り、リーダー、傷は浅いわ」


「沖を確かに」


「精霊たるもの、気絶なんかしてはダメですわ」


 何やら幕の後ろが騒がしい。俺は気になって


「おい、大丈夫か?」


 しばらくして一人のエルフが


「すぐにたたき起こすので少々お待ちを!」


 幕の向こうからビシッ、バシッと音がすると「イッター!!」と声が聞こえたと思ったらまだ叩かれてるのか「も、もう起きたからやめなさい、顔が腫れちゃうから、嫁にいけなっちゃう~」「それは大丈夫です。今ここにいますから」


「それもそうね、じゃなくて叩くのをやめてってば~」


 何やら涙目の声の中に不吉な単語を聞いた気がするけど聞かなかったことにしよう。特にサファイアがうるさそうだし




 しばらく待つと幕が上がった。現れたのは先程のエルフのリーダーだった。


(何やら顔が腫れてるようだが)


「・・・・・・あの~、大丈夫か?」


「気にしないでください」


 俺が声をかけると恥ずかしそうに顔をそらされた。


 (顔が腫れてるのが見られるのが恥ずかしいんだろうな・・・・・・きっと)


 その時、横を一陣の風が吹いたと思ったらサファイアが風の精霊の前にいた。


 (いつのまに)


 サファイアが耳元で何かを言うと風の精霊は顔が真っ赤になりかなりあわててるようだ。


(いったい、何を言われたんだ)


 その時ヴァイオレットがサファイアを捕まえて慌てて元の位置に戻っていた。


 気を取り直したように


「まず、始めに精霊の姿に戻らせてもらいます」


「今の姿が正体じゃないのか?」


「ええ、それほど変わりませんが」


 そう言うとまばゆい光に包まれたと思ったら長い緑の髪にエルフの特長の長い耳、体つきも大人びた姿に変わっていた。


「これが私の本当のすがたです。驚きましたか?」


「ああ、驚いた。なんていうか綺麗だ」


「!?そ、そうですか。それなら私を本妻・・・・・・と言いたいところですけどサファイアにもくぎを差されたことだし、愛人でも良いですわよ」


 なんか途中から俺の後ろを見て怯えてるようだったから振り向いたらサファイアが怖い顔で睨んでいた。ヴァイオレット達も後ずさりしてる。あれは俺でも怖い。


「と、兎に角響也、私はこれからあなた方と行きます」


「一緒に来てくれるのか。でもいいのか?」


「ええ、構いません。それに先程の試合であなたに惚れてしまい・・・・・・」


 何やら体をクネクネさせたと思ったら気を取り直したように


「ゴホンッ!!失礼しました。それはそうと私は風の精霊、ウインディーネ。風の魔法が得意なので炎の精霊サファイア・・・・・・ヒィ~、サファイアさんと組み合わせますと力が倍増いたします」


 サファイアに睨まれただけで怖じ気付いてるけど大丈夫か。ウインディーネの方を見ると他のエルフ達から励まされてるようだし


「サファイア、ちゃんと仲良くやれよ。でないと俺にも考えがあるからな」


「わ、分かってるわよ」


「では、改めてよろしクな」


「こちらこそ」


 俺達が手を取り合おうとしたとき物凄い音とともに地響きが起こった。


「た、大変です!森の結界が何者かに破られました」


「何ですって!?」


 ウインディーネは目にも留まらない速さで外に飛び出してしまった。


「俺達も行くぞ」


「仕方ないわね」


 俺達はウインディーネの後を追いかけるのだった。

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