第6話 新たな決意と旅立ち

あれから1週間たった。




「ここまでは追いかけてこないか。・・・・・・何かどっと疲れたよ」


「なによ、情けないわね。そんなのじゃこの先やっていけないわよ」


「もとはといえばサファイアがあんなところに転送するから・・・・・・」


「もうすぎたことはいいじゃない。そんなんじゃモテないわよ」


 何かその言い方にイラッとくるなっと思いつつ、


「まあ、俺はサファイアが好いてくれてるだけでいいけどな」


「!? あら、うれしいことを言ってくれるじゃない」


「顔が赤いぞ」


「こ、これは太陽のせいよ。今日は暑いじゃない」


「ふつうだと思うんだが」


「そんなことはないわ。暑いったら暑いのよ。 さっきの不意打ちはないわよ・・・・・・」


 さっきのはちょっとからかうつもりで言ったんだけどそんなことをいったらヤバいなっと空気を読みつつ、この一週間の出来事を思い出していた。







 放課後の図書室にて、


「何か、雰囲気変わってないか?」


と、辺りを見渡していると


「それは、響也の構築した世界だからよ。願望といってもいいけど」


「俺、そうなことした記憶ないけど」


「それはそうよ。あなたが無意識に構築した時空の狭間みたいなものだからね。あなたの意識にこういうことへの憧れでもあったんじゃないの」


 ・・・・・・そういや、昔そんな書物を見たような、


「それより、行くわよ。この世界がもたなっくなってる」


 俺は考えるのをやめて頷いた。


「じゃあ、魔法陣の中心にのって」


 俺は、言われたとおりに行くと魔法陣が淡く輝きだした。


「うぁ、眩しっ!!」


「じっとしてて。跳ぶわよ」


 ちょっとした浮遊間を感じたと思ったら、どこかの建物ないにいた。


「な、何だ!? お前ら、どこから現れた?」


 声に振り向くと大勢の兵士らしきものに囲まれていた。


 何か、いきなりピンチぽっいんだけど・・・・・・


「ちょ、サファイア、何かやばそうなんだけど」


「そうみたいね」


「そうみたいねって他人事な」


「多分、構築したときの座標の設定をミスったみたいね。こうなったら開き直っていきましょっ」


 この女、開き直りやがった。しかも冷静だし、


「何の騒ぎだ。ん、お前は響也、まさか私を追ってきたのか?」


 そこにはアレキサンダーがいた。


 終わった。つんだ。どうするんだよこの状況、いきなりバッドエンドじゃないかよ・・・・・・


(響也、反応しないで聞いて)


 俺は相槌を打った


(今から私が一発かますから合図したら目を閉じて)


(一発かますって何を・・・・・・)


(説明をしてる暇がないから言うこと聞きなさい!わかった?)


 俺が頷くとサファイアが炎を手のひらに集めていた。


「何をする気が知らんが・・・・・・お前達は袋の鼠だ。無駄な抵抗はよすんだな」


「さ~て、それはどうかしらね」


「フッ、強がりはよせ。そんな炎ぐらい私の剣の錆びにしてくれる!!」


「誰がこれで攻撃するって言ったかしら。これはこうするのよ」


「!?」


(響也、目をつむって)


 サファイアが俺に指示すると同時に手のひらの炎が急激に膨脹し、やがて弾けるとあたり一面が光に包まれた。


「目が、目が!」


「目眩ましだと!!ふざけやがって」


 周りから阿鼻叫喚んだけど・・・・・・ と思っていると何者かに手を引っ張られた。


「今のうちに脱出するわよ」


「サファイアか?」


「何当たり前のことを・・・・・・あ~ぁ、もう目を開けていいわよ」


目をあけるとサファイアに手を引かれ走っていた。


 何だか目がチカチカするんだが・・・・・・


「何となく想像がつくんだが、さっきのは何をやったんだ」


「ん~ん、単刀直入に言うと目眩ましよ。ま、おまけ付きだけどね」


「おまけって何をしたんだ」


「いずれ分かるわよ。そんな事より速く脱出するわよ。ここは敵陣のど真ん中なんだから」


「ク、逃がすな!追え~!!」


 何やら後ろの方が騒がしいような気がするけど、サファイアの言うように逃げるほうが先決だな。


 サファイアの後を追っていると正門と反対方向に進んでるようだった。


「どんどん出口から遠ざかってるようだけどどこに向かってんだ?」


「今、むかってんのは私たち精霊とその契約者しか出れない専用出口よ」


「そんなの聞いたことないぞ?」


「それはそうよ。これを知ってるのはこの城では私と一部の王族だけだから。それにここは賊が入ったときに私たち精霊が脱出する為のものだから、あまり他の人に言って余計な情報を与えたくないのよね。どこから漏れるか分からないし・・・・・・ さ、脱出するわよ。 私とユニゾンしなさい、響也」


「何で?」


 俺が戸惑ってると有無も言わせないような圧力を感じた。


「ハァ~、分かった。やるよ」


《ユニゾン》


 ふぅ~、この感じも慣れてきたな。と思っていると、


『響也、そこの窪みに手をかざしなさい』


 俺は言われたとおりにするとあたり一面に赤い幾何学模様が螺旋状に現れクルクル回っていた。


「!!」


『驚いてるところ悪いけど城の外に跳ぶから気をつけて』


 サファイアが言うと幾何学模様から白い光が浴びせられると浮遊間に襲われ気付くと城がみえる高台にいた。


「今のはワープか?」


『そんなところね。それとユニゾンしたのはあの窪みに仕掛けがしてあって、精霊の契約者か見極めてたってわけ。幾何学模様が赤かったのは炎の精霊の私とユニゾンしてたからね。他の精霊ならその属性の色になるわね』


「ようするにユニゾンするのは契約者かどうか調べる為ってことか?」


『ま、そう言うこと』


 ユニゾンをとくと、


 ドッカ~ンと盛大な音が城のほうから聞こえてきた。


「な、何だ!!」


「言ったでしょ。おまけ付きって」


「じゃあ、、サファイアがこれを・・・・・・」


「私が城からいなくなると爆発するように炎の魔法を放ってたの。あの目眩ましのときにね」


(えげつねー)


「さ、困難してるうちに行くわよ」


 城を後に遠ざかって行くと突然ゾックとプレッシャーを感じた。


「何だ。このものすごい圧力は・・・・・・」


「・・・・・・あそこよ」


 俺はサファイアが指差すほうを見ると燃える城の天辺を見ると煙りのなかに人影が見えた。


「あ、あれは」


「国王であって国王でないわ」


「じゃあ、あれが俺たちの倒すべき相手」


「そう言うことね。倒すのは国王の中にいる魔王だけどね」


「そうか・・・・・・ 今の俺じゃあいつには天地がひっくり返っても勝てない。だけどいずれ必ず」


 俺達は誓いを立てるときびすを返しその場を離れた。











 しばらく行ったところで俺は息を吐いた。


「まさか、あれほどとはな。脱出出来ただけでもラッキーだと思わなくてわな」


「安心したところで他の精霊を探しに行くわよ」


「宛はあるのか?」


「私のゆういつ知り合いの闇の精霊に会いに行くわよ」


 こうして俺たちは旅立ったのだった。






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