第5話 初めての《ユニゾン》

 誰なんだ、あいつは。宙に浮いる。何かRPGに出てくるような装備してるし・・・・・・


「まさかあいつは、・・・・・・もう見つかるなんて予定より早い。これで賃垂らしてる場合じゃなくなったわね」


 俺が呆然としてるとサファイアは慌ててるようだった。


「よくここがわかったわね。結界を張って、周りと遮断してたはずなんだけど」


「・・・・・・私があいつの魔力を感知できないわけないどろう。それにそいつからかなりの量が漏れてるからな。先に魔力制御から覚えさすべきだったな」


 2人は知り合いなのかな。まあ、親しくはなさそうだけど・・・・・・


「なあ、あいつは誰なんだ。しってるようだけど」


 俺が聞くとサファイアは緊張気味にいった。


「あ、あいつは、四天王の一人、聖騎士アレキサンダーよ」


「アレキサンダー、どっかで聞いたことがあるような・・・・・・」


「知っていて当然だ。私はお前とは無二の親友でライバル関係だったからな」


「!!」


 俺が驚いているとサファイアが補足してくれた。


「知っていて当然よ。・・・・・・本当だったら後でじっくり説明するつもりだったけどあなたとアレキサンダーはかつて、惑星Marsって星の王族に仕えていたの


「俺が王族に・・・・・・」


「ええ・・・・・・ でも、話はここからよ。あなた達は切磋琢磨して騎士長クラスまでのぼりつめたわ。そして周りからの信頼も厚かった。そこから数ヶ月は平和っだたわ。でもその頃から悪は忍びよっていたの。そして王の様子がどこかおかしくなっていたの。部下に理不尽な命令を出したりしてね。だけどあなたは、従わないで逆にその真意を問いだそうとしたの。だけど王は聞く耳を持たずあなたに逆賊の汚名をつけて部下にあなたを殺すように命令を出したの。そこで駆けつけてきたのがアレキサンダーだった。あなたはアレキサンダーに話し合おうとしたんだけど聞く耳をもってくれなかった。裏切り者に耳を傾けるほど暇じゃないとかいってね・・・・・・ しょうがなくあなたは、城深くに封印されていたわたしの封印を解いてアレキサンダーと戦ったの。そのときの細かいことは追々説明するとしてその戦いの衝撃であなたは、並行世界にとばされて記憶も曖昧になってるみたいね」


「話は終わったか? では戦うとしようか。最初から全力でいく。お前の力が戻らないうちにな」


 アレキサンダーは聖剣を構える


 どうすればいいんだ。どうすれば・・・・・・


「こうなったら《ユニゾン》するしかないわ」


「・・・・・・ ユニゾン」


ユニゾン、どこか懐かしいような・・・・・・


「響也、ゆっくり説明してる暇はないけどユニゾンするには、お互いの信頼度が高くないといけないの」


「信頼度!?」


「ええ、でもそこは大丈夫だと思うわ。私は響也のこと好きだし、信じられるからね。だから、あなたも私を信じて!」


「私がそんなことを許す訳がなかろう」


 アレキサンダーが突っ込んでくる。迷ってる暇はない。


「わかった。サファイアを信じる」


「じゃあ、やるわよ。・・・・・・(先に謝っとくわね)」


「何か言った!?」


 俺が振り向くとサファイアに口付けされていた。突然のことに戸惑っていると周りが輝きだした。


《ユニゾン》


 すると、紅い炎が噴き出して俺の体が真紅のドレスを纏っていた。髪もあかくなっていた。短かった髪も伸びているようだ。


「何だと」


 アレキサンダーは光の衝撃で攻撃ができないようだ。


『ふう、どうやらうまくいったようね』


「サ、サファイア。どこに」


『あなたの中にいるわ。言ったでしょ、ユニゾンって。いわゆる融合状態ってところね』


「融合!?」


『驚いてる場合じゃないわよ。私の言うとおりに動いて』


「わかった」


『まず、あなたが持っている真っ赤な剣。前も言ったと思うけどそれが私の本体みたいなものだから扱いには気をつけてね』


「どうすればいい」


『私とあなたは一心同体みたいなものだから、精神を集中して私に合わせるようにしてみて。大丈夫、体が覚えてるから』


 そのとき、ガラガラと音がした方を見るとアレキサンダーがこちらを睨みながら立ち上がっていた。


「よくもやってくれたな。だが、もう終わりだ。お前がその聖剣を使いこなす前にしとめてやる」


シュッとアレキサンダーの姿が消えた。


「ど、どこだ。どこに行った」


『落ち着いて。相手は高速で動いてるの。あなたはあのスピードに付いていけるはずよ』


 俺はサファイアの声を聞き、目を閉じ、精神を集中した。すると、背後から近づいてくる気配を感じサファイアを振り抜いた。


 ガキンと衝撃がはしり見てみるとアレキサンダーの攻撃を受け止めていた。


「何だと!?」


「本当だ!サファイアの言ったとおりについていけた。何か体が反応したみたいだ」


『やればできるじゃない』


サファイアがうれしそうに言ってくる。


「よし、これなら・・・・・・」


「一回止めたくらいでいい気になるなよ」


アレキサンダーが仕切り直しだと言わんばかりに剣を構えている。


「いくぞ」


「また、消えた」


アレキサンダーの姿はなく、気配も感じない。


俺は精神を集中する。


「そこか!!」


俺は剣を振り抜いたが手応えを感じない。


「おしいな」


「!!」


声がしたほうを振り向くとアレキサンダーの剣が迫っていた。


ヤバい、やられる・・・・・・ 覚悟を決めていると俺の周りに炎の壁が出来ていた。


『私がいることも忘れないでね』


「サ、サファイア!!」


「ちっ!!」


アレキサンダーは舌打ちすると後ろに飛び退いた。


『今がチャンスよ。特大の魔法をお見舞いしてあげるわ。響也、私の言うとおりにして」


「わかった」


『私が呪文詠唱するから、その間アレキサンダーの攻撃を捌ききってくれる?』


俺は無言で頷くと聖剣を構えた。


『火の精霊、サファイアが命じる。赤き火の粉よ、全身に・・・・・・ あぁぁぁぁ、めんどくさい、詠唱破棄火の蜥蜴サラマンダー』


サファイアが唱えると見る見るうちに聖剣の周りに炎が渦巻いていた。


「詠唱破棄できるなら最初からやってくれよ」


『う、うるさいわね。あなたの前だからちょっとかっこつけようとしたけど面倒くなったのよ』


「めんどくさいって・・・・・・ あいからずだな、サファイアは」


『あなた、もしかして記憶が!!』


「そんなことより早く終わらせるぞ」


『ハァーしょうがないわね。後で質問に答えてもらうから』


俺は聖剣を構え、アレキサンダーと対峙した。


「そういうことだから一気に終わらせてもらうぞ。アレキサンダー」


「フッ、私も甘く見られたものだな。お前のそういうところが昔から・・・・・・ いや、今は何も言うまい。いくぞ、響也!!」


アレキサンダーが駆けてくるのに際し、俺は聖剣を振り炎を飛ばした。


「どこをねらっている。お前の攻撃はこんなものか」


アレキサンダーがなおも突っ込んで来ようとしたとき先ほど飛ばした炎が背後から迫ってきていた。


「な、何だと!?」


それでも何とか避けていたアレキサンダーの周りにいつの間にか炎の渦ができっていた。


『響也、今よ。やっちゃって』


「わかった」


俺は聖剣に魔力を集中するのに合わせて炎の渦が膨脹して大爆発を起こした。


「《エクスプロージョン》・・・・・・ なんちゃってな。一度言ってみたかったんだよね。 それにしても手応えもあったし倒せたかな」


やがて視界がはれてきてみるも誰もいなかった。


『どうやら逃げられたようね』


サファイアが言うと聖剣から人の姿に戻っていった。


「とりあえずはお疲れ様。それにしても凄いわね。普通はあんだけの大技やったら魔力を喰ってバテるはずなんだけどね」


「そうなのか。俺の魔力量が凄いのかな~て・・・・・・」


気付くとサファイアがジトーと俺のことを見ていた。


「サ、サファイア、どうかしたのか?」


「やっぱり記憶が戻ってるでしょ?」


「な、何のことかな?」


「ごまかそうたってそうはいかないからね。いい加減白状しなさい」


ハァーと溜め息をつくと俺は白状した。


「いつから気づいてたの?」


「はっきり気づいたのはさっきよ。私が呪文詠唱しようとしたあたりから様子みてるように私のことを試してるように戦ってたし、何よりまだ教えてない魔力のコントロールが完璧なのよね」


「ハァー、ばれたならしょうがないか。実は、記憶は最初からあったんだよね」


「さ、最初から!?」


「そ、最初から。この狭間に飛ばされたときに直ぐに戻ろうといろいろ試したけど俺1人では無理ぽっくてさ、だからこの世界で有意義に過ごしながらサファイアが来てくれてるの待ってたんだよね」


サファイアが唖然とした顔をしていた。


「もし私が来なかったらどうするつもりだったの。この世界には人がいないみたいだし・・・・・・」


「それは問題ないよ。ここには娯楽が充実してたし、サファイアが来てくれるって分かってたから」


「どうして?」


「だって俺のことが好きだろ?」


「そ、そんなこと無いわよ。・・・・・・そのなんか分かってるって顔がムカつくわね。もう、わかったわよ。わかりました。認めるわよ。私はあなたのことが好き、大好きよ。文句ある!!」


「文句は無いけど凄い開き直りだね」


「・・・・・・だって勢いで言わないと恥ずかしいじゃない」


「何かいった?」


「何でもない。この話はもう終わり。それより学校にいくわよ」


「学校に行くってことはサファイアが書いていた魔法陣はこの世界から出るためだったんだね」


「話が早くて助かるわ。じゃあ、急ぐわよ」


こうして俺たちの冒険が始まるのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る