それでも、私は書き続ける

何もない私は空想の世界を手に入れた

自分の思うままにできるその世界が心地良くて

いつの間にかその世界から出られなくなった


その世界を言葉にしてみた

最初は短い物語

その次は五七五七七

そして言葉はどんどん増えていって

それはやがて小説へと変わった


居心地の良い世界を言葉にすればするほど

それはもう自分のものではなくなって

それを見せびらかして褒められたくて

それはもう跡形もなくなった


それでも満たされない

もっともっとと言葉を紡ぐけど

それでも満たされない

誰にも見向きもされなくなって

ずっと、満たされないまま


私は、何がしたかったんだろう?


居心地の良い世界を壊して

自分を満たすだけの道具にして

誰かに認められたくて

私を、もっと、見てほしくて


何もなくなった私はまた空想の世界を探す

手探りで先なんて分からないけど

あの日見た世界をまた見たいから

この手を伸ばし続けるんだ

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