大きく踏み切れ、いっせーのーで!
佐藤令都
助走
いっせーのーで、で思い切り踏み切って超えたのは雨上がりにあった水たまり。長ぐつでびしゃんと
「今日はいけると思ったんだけどなぁ」
くやしいね、と言いながら水たまりの中央に戻って、ジャブジャブ長ぐつをひたして、
いっせーのーで。思い切り
雨が降れば水たまり。自分のジャンプがどれほどのものか、試したくなる。だから、ちょっとだけ、俺は雨降りが好きだった。
かけっこも、サッカーも、野球もみんな好き。オニごっこも、かくれんぼも大好きだ。外で遊んでいる時に、ぽつりぽつりと雨粒が身体に当たるのは残念な気分になる。だけど、
雲のすき間から青がのぞく。土臭いむわっとした空気、アスファルトが雨粒でキラキラして、いつも見ている世界が洗われたようにキレイだと感じる。雨上がりは新しい世界になっているんだ。
いっせーのーで。踏み切って跳ぶ。
飛びこえて向こう側に行きたい。
いち、にの、さん。踏み切って跳ぶ。
飛んで一番遠くまで、向こう側まで行きたい。
着地は水たまりの向こうか。
砂場の向こうか。
走幅跳は雨上がりの放課後に似ている。
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