第5話 彼の過去
「紫原さーん いるー?」
カチャ
隣の部屋を繋ぐドアが開く。
「きゃあぁぁぁっ!」
「あー、ごめん…もしかして入浴後?」
「わ、分かったら出て行って!」
私はバスタオルを体に巻き脱衣場で空気を入れ替えながら着替えている最中に、優崎君が隣の部屋に繋がるドアから入って来た。
次の瞬間 ――――
「きゃあっ!」
「紫原さんっ!」
バランスを崩してしまい私達は倒れ込んだ。
「ごめん…」
「俺こそごめん…大丈夫?」
ドキン
ゆっくり起こしていく優崎君の顔が至近距離過ぎて私の胸が大きく跳ねた。
「だ、大丈夫だから……出て行って」
「や、やだって言ったら?」
「優崎君っ!」
ドキン
私の胸が大きく高鳴る中、キスをされ首スジに唇を這わせた。
「……っ!」
背中がゾクゾクする中、私を見つめる優しい眼差しにドキドキ加速していく。
私の胸が破裂しそう
目を反らしたいけど何故か出来ない。
グイッと抱き寄せる優崎君。
ドキン
胸が大きく跳ねた。
「ごめん…このままいると…紫原さんを襲いそうだから部屋に行くね」
ドキッ
突然の意外な言葉に私の胸が大きく跳ねる。
そして、私を立ち上がらせ優崎君は自分の部屋に戻って行った。
「………………」
~ 優崎 玲二 side ~
中学の頃の面影は残っている彼女
だけど ―――
数年後の再会に
俺の心は
変化しはじめた
可能に触れたくて
仕方がない思いになり始めていた
困った顔も
怒った顔も
俺が彼女に夢中になるまでに
時間はかからなかった
時間が許す限り
1日1回は
彼女と話したくて
意地悪したくて
女の子から
時々
女性に変わる表情に
戸惑いを隠せなかった
ある日の事。
「なぁ、玲二、ここのドアって何?」
そういう声が聞こえた。
どうやら、優崎君の部屋に友達が来たと思われる。
「あー、そこは開かずのドアなんだ」
「えっ? 開かねーの?」
「そう。俺が越した時には既にあって、試したら開かなかった」
「そうなんだ。開いたら面白くね? 実は隣に繋がってたりとか?」
「作馬、確かに面白いけど繋がっていたら、それはそれで嫌じゃない?」
「そうかぁ~?」
「今の世の中怖いから所詮、知らない人が住んでるとしてアカの他人なんだから部屋出入りされてもおかしくないし~考えただけで、俺も怖いし気持ち悪いよ」
「言われてみればそうかも」
「はい、そっち、そっち!」
「はいはい。でも一人暮らしって良いよなぁ~」
「良い時もあれば、悪い時もある」
「そうか?」
「ほら、俺って特定の彼女つくらなくてモテモテで周囲から女の子取っ替え引っ替えしてるイメージだから。前に一人の住人にお世話になった事あって大変だったよ」
「確かにお前は色々な女性に告られてるもんなぁ~。世間でいうモテ男君。でも今迄何人か本命いたけど相手は遊びで」
「本当、美人なんて信じられないよ」
「でも、そんな事言って、結局選のは美人系」
「そういう事」
「タイプ変えたら?」
「タイプ? 無理だと思うけど」
「逆に冴えない女とかどうよ? クラスメイトの紫原とか?」
「えっ!? 紫原さん?」
「お前の力で彼女の魅力を引き出したら? あーいう子程、ガラリと雰囲気変わると思うけど?」
「女の子は恋をすれば変わるし、輝いているから俺がどうこうじゃないよ」
私は、聞くわけにはいかないと思いつつ聞こえてしまう男の子達の会話。
ずっと聞くわけにはいかないと思い、ヘッドホンをし、外の音をシャットダウンした。
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