KISSから始まる恋 ― LOVE ―

ハル

第1話 ファーストキス

「うぇーん……うぇーん」


紫原 麻巳(しばはら あさみ)。3歳。

保育園で意地悪され泣く日々。


そんな時、いつも心の支えになっていたのは、おばあちゃんだった。



「よしよし。泣かんでええ。麻巳はなーんも悪くねぇよ~」



おばあちゃんっ子だった私は、おばあちゃんが大好きだった。


そんな大好きなおばあちゃんが、私が中1の時に他界。


両親とウマが合わなかった私は、おばあちゃんの存在が本当に大きかった。




「おばあちゃん……」




私は、一人公園でおばあちゃんの事で泣いている日々が続いていた。





そんなある日の事。



「どうしたの?」



ビクッ

突然に声をかけられ驚く私。



振り向く視線の先には、私と同じ位か少し上位の顔立ちの整った男の子が立っていた。



「可愛い顔が台無しだよ」

「可愛くないよ……大丈夫……何でもないから」



私は帰り始める。



グイッと引き止められ私は抱きしめられた。



ドキッ

胸が大きく跳ねる。




「俺、女の子の涙に弱いから、つい抱きしめたくなるんだ」

「あの……」

「涙が止まるおまじないをしてあげる」

「えっ?」




ドキン

突然のキスをされ私の胸が大きく跳ねた。




「きっと涙は止まるよ」




中1の秋


私は知らない男の子にキスをされた


それ以来


その子と会うことはなかった






紫原 麻巳。私は高校1年生に成長した。


私は両親とウマが合わずにバイトをしながら高校に通い、一人暮らしを始めた。




「ねえ、一人暮らしって大変じゃない?」



私の親友・内元 祐美(うちもと ゆみ)が尋ねた。



「あー、うん。でも、両親とウマが合わないから一緒にいても自分が嫌な毎日過ごさなきゃならないから」


「そうだよね。だったら一人が気楽だしね」

「そういう事」





ある日の夜。



「はあぁぁ~……バイト……疲れたぁ~……」





ドアを閉めようとした、その時だった。


グイッとドアを止める手が見えた。



ビクッ

驚く私。




「きゃあっ! ちょ、ちょっと! 何!?」

「すみません!助けて下さいっ! お願いしますっ!」


「何言って困……」

「玲二ーーーぃっ!?」

「人に追われてるんだ!」

「だったら警察……」

「出来たらとっくにしてるよ」


「………………」



私は渋々、部屋に入れた。



「あれーー? 確かこの辺に……」




ドンドンドン……


ドアが叩かれる。



「あのっ! すみませんっ! さっきここに人……」



私はドアを開ける。

そこには女の人の姿。



「何か?」

「さっき……人……」

「人……? 知りません! 他の部屋と間違っているんじゃないんですか? 失礼しますっ!」



グイッと閉めるドアを止められ、私に許可なくズガズカと奥にあがって入って行く。



「あのっ! 困りますっ! ここには誰も来てませんよ。分かったら帰って下さいっ!」



そんなの関係なく、



「玲二ーーっ! 玲二ーーっ! いるんでしょう?」



女の人は何度もさっき入って来たと思われる男の人の名前を呼び部屋中を探し回る。



「おっかしいなぁ~」



そう言って女の人はいないと分かったのか私の部屋を後に帰って行った。



「全く! こっちはバイトで疲れてんのに! あのっ!一体、何……」




キスされた。


ドキッ

突然の事に胸が大きく跳ねた。



何処にいたかは定かではないが、気付けば男の人は既に私の側にいた。




「な、何する……」

「お礼のキス。それじゃ! あっ! 君、現役高校生なんだね。しかも同級生。まだいつか会えるかもね」



そう言うと出て行き始める。



「えっ!? ちょ…ちょっと! そこドア……」



カチャ

ドアが開く。



男の人というより男の子。


同級生って事を言っていたのが聞こえていた。


だけど、男の子というより大人びた顔立ちの整った雰囲気な為、男の人という表現が合ってるんだけど……



「えっ!? 開いたし! 何で? どうなってるわけ!?」


「ここの部屋だけしか存在しない。隣の部屋と隣の部屋の繋りのドアで開くんだよ。と、いう事で、また」


「いやいや、またって…もう来なくて良いし!」




パタン

男の子は私の部屋を後に隣の部屋に移動した。



「………………」


「マジで? ドアが開く理由が分からないんだけど……引っ越した時、全然気付かなかった……」




それが彼との出逢いだった。











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