第22話…旅の仲間が現れた!③
嘘を吐くときは真実を混ぜると信憑性が増す、って言うじゃない。まあ、どこまで通用するかって問題はあるけど。
「で、習熟度合い、ってどうやって調べるんですか?」
例の教会にあるっていうお高い魔石の魔導具で調べたりはしないよね?ね?流石に魔導具に嘘を吐く方法はわかんないよ。
「ああ、じゃあ移動しようか。魔法を使うための練習場があるんだ。そこで実際魔法を使う所を見せて貰いたい」
ああ、使って見せるのね。それならまあいいか。なんとかなるっしょ。
「リヒター。移動する」
移動するために立ち上がると、ランクス殿下はドアに向かって声をかける。すると、さっきドアの前に立っていた騎士さんが、ドアを開けて入ってきた。
「紹介するよ。彼はリヒター・オルドル。僕の近衛騎士だ。ということで、勿論彼も一緒に行くよ。リヒター、改めてこちらがヴェルティア嬢。彼女の警護も頼むよ」
ランクス殿下が私を紹介すると、騎士様は黙って頭を軽く下げた。……え、それだけ?……まあ、いいか。
「初めましてオルドル様。えと、この度ガチで行きたくないけど、仕方なく行く羽目になったヴェルティアといいます。ご迷惑は多分かけないと思うので取り敢えず殿下のついででよろしくお願いします」
……騎士様が私の自己紹介を聞いて、ビミョーな顔をしている。いや、殿下は笑いすぎです。
「ところで、なんで殿下が一緒に行かれるんですか?」
練習場へ向かう途中で聞いてみる。ゲームでは聖女だから王族だの侯爵令息だの着いてきたんだろうけど、私農婦だよ?まあ、確かに使える魔法が珍しいのかもしんないけど。なのに、継承権がほぼ放棄状態とはいえ第二王子が着いてくるなんて、思わないし。そもそも馬車で片道四ヶ月はかかるって聞いたんで、往復一年近く留守にして大丈夫なのかな?
「そりゃあ、君の魔法に興味がある、というのが一番だけど、一度行ってみたかったんだガオケレナへ」
ガオケレナ、というのは世界樹の根本にある町で、世界樹の根で眠っていると言われている竜・リントヴルムの守護しているという。リントヴルムが目覚めると世界が滅びる、なんて伝説の元にだ。つまり世界樹が枯れる=リントヴルムが目覚める=世界が滅びるという図式らしい。あれ?竜って神の使いじゃなかったっけ?と思ったけど、ようは神様が人間滅ぶべし、ってなった時に、楔である世界樹が枯れて目が覚めるようになってるんだとか。……なんか如何にも神話!伝説!って感じかなあ。どっか矛盾があると、辻褄合わせしてあったりの。そもそもホントに竜が眠ってんの?ってのもあるし。
まあともかく世界樹が弱ってきてるのは間違いないから、人間の信仰心が無くなったからだ!って騒いでる終末思想の宗教家が増えてお布施を強要する事件が後を絶たないのが、目下王都の治安を預かる騎士団の悩みだとか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます