到着

マリラーシティの警備詰め所会議室、 重苦しい空気が流れる。


「暴れていたブラックヤード刑務所の囚人達はレベルマックスの囚人も含め

大部分が突如として消え去りました、 消え去る前に赤い束の様な物が

囚人達を包んだと言う報告が有ります」

「ふむ・・・」


マコスは部下の報告を聞いて顎を撫でる。


「一時的に騒ぎが沈静化した事で市民の避難は行えました」

「市外への避難も検討するべきか?」

「主要な道路にはバリケードが設置されていました

キターゾファミリーが逸早く逃げる上流階級達を捕えて人質にしました」

「糞ッ!!」


ダンッ、 と机を叩くマコス。


「バリケードを撤去して街の外への避難の準備をしますか?」

「それは良く無いな」


会議室に入る不遜な男。


「誰だ?」

「谷から来た勇者パイナップルだ」

「勇者ですと?」

「あぁ、 俺が来たからにはもう心配いらない」

「お一人だけですか?」

「役立たずは要らない、 俺は何時も一人だ

後から何人か来るだろうが、 そいつらが来る前に仕事を済ませてしまおう」

「それは心強いと言いたい所ですがバリケードの撤去が良く無いとは一体?」

「簡単な話だ、 今一番されたく無い事は何だ?」


パイナップルが尋ねる。


「一番されたく無い事? 誰が?」

「誰が?」

「誰にとって一番されたく無い事ですか?」

「いや、 そうじゃなくて俺達が一番されたく無い事

それはラスト・ワンの逃亡だ、 もしも街の外に避難なんかしてみろ

その中に紛れ込んで逃げられる危険性が有る

避難民諸共殺しても良いのならば話は別だが俺は殺人鬼じゃないしなぁ」

「・・・・・なるほど」


乱暴だが筋は通っている。


「ラスト・ワンの脅威を消す為にマリラーシティの市民には涙を飲め、 と?」

「そうなるな」

「身勝手な!!」

「あ!!!!!!!!」


大声が聞こえたかと思うと会議室にヴァットが入って来た。


「さっきの話を聞かせて貰ったが避難ならば避難場所に居て貰えば良いと思う

救援物資はスポンサーのスコット家が大量に用意してくれていた

3, 4か月は市民を賄えると思うよ」

「それだけあればラスト・ワンを倒すのは充分可能だ、 任せて置け」


パイナップルは高笑いをした。


「随分な自身だな、 何か策でも有るのか?」

「策? 一気に押し潰すだけだ」

「なんかヤバそうだな・・・」

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