帰路

移動の馬車の中でイライラするラスト・ワン。


「シスター、 さっき呼ばれた・・・なんだったか?」

「キターゾですか?」

「そう、 それだ、 そいつの所から出てどの位経つ?」

「1時間位でしょうか」


馬車の中に同席している宗教団体『ダーク・ファミリー』幹部

ダーク・シスターが答える。


「何故、 同じ町の施設に移動するのにこんなに時間がかかる?」

「魔王様が討伐されて乱痴気騒ぎをしております故に・・・

道が混雑して渋滞が発生しています」

「歩道を走れ」

「そんな事をすればこの街の警備に馬が殺されてしまいます」

「面倒だな、 人の世と言う物は」


呆れたポーズを取るラスト・ワン。


「歩いて行くか」

「御冗談を、 貴方の姿は目立ちます」

「お前の姿の方が目立つだろうが、 何だそのスリットのシスター服は、 痴女か」

「制服ですので・・・」

「幹部なのに制服か、 それもまた・・・ん?」


消防団が慌てて走って行くのが見える。


「火事か?」

「そうみたいですね・・・あ、 通信水晶に連絡が来ていますね」


通信水晶の通信を繋げるダーク・シスター。


「もしもしシスターです」

『こちらダーク・ファーザー!! 只今攻撃を受けてがっ』


その一言で通信が途切れる。


「走って出るぞ」


馬車の扉を開けるラスト・ワン。


「御待ちをラスト・ワン様」

「何だ?」

「敵の正体が分かりません、 このまま戻るのは危険です」

「危険だと? では如何しろと?」

「緊急避難先に用意している建物が有ります、 そこに行くのが宜しいかと」

「お前達の教会には俺の手下も大勢居るんだ

それなのに襲われているのに座視しろと?」

「貴方様は魔王様亡き今、 最後の希望、 こんな所で絶やす訳には行きません」

「・・・その場所に案内しろ」

「分かりました、 御者、 避難場所にやって下さい」


馬車は曲がりくねった裏路地に入り、 一つの建物の前に辿り着いた。


「ここです、 ここで待ちましょう」

「・・・・・」


ラスト・ワンは不愉快そうに建物の中に入る。


「黴臭い場所だ」

「緊急避難先ですので御容赦を、 別の拠点も用意しておりますので

暫くしたら・・・誰か来ましたね」


慌てて避難場所にやって来たのはダーク・ファミリーの信徒とラスト・ワンの手下の魔物だった。


「状況を報告しなさい」

「ほ、 本部教会に敵襲です・・・敵はキターゾ・ファミリー・・・」

「何だと?」

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