四天王VSマフィア
@asashinjam
事の発端
王国最大の都市マリラーシティ。
王国の首都キングスシティとはよりも栄えているが攻め易く守り難い都市である。
しかし交通の要所であり、 商業が栄え発展度で言えば
キングスシティよりも遥かに栄えている。
そんなマリラーシティでは現在お祭り騒ぎである。
魔王が討伐されたのだ、 上も下もお祭り騒ぎである。
一番上を除いては
マリラーシティの象徴とも言える高層ビルディングの一つ。
マリラーシティの真なる支配者と言って良い王国最大のマフィア
キターゾファミリーの首領"グラン"キターゾは柔和な作り笑いで客をもてなしていた。
「如何かな? お味の方は?」
「最悪だ」
最高級のディナーを口にして
吐き捨てるのは魔王最大の部下である四天王最後の一人、 ラスト・ワン。
彼は人形の様に口を動かして咀嚼するが不機嫌な顔である。
「人間の食い物は合わない」
「それは失礼した、 今日ここに来て貰ったのは他でもない
我々共通の敵について話し合う為だ」
「共通の敵?」
「アァアァだ」
勇者アァアァ。
王国の地方の辺境からやって来た勇者である。
王国内外に存在する数多の勇者の中でも最強と目され
四天王3人と魔王を倒した最強の男である。
そして先日王国の王キング・スナイダーの暗殺を退け
スナイダー政権に終止符を打ったのだ。
「奴には我がファミリーも多大な損害を受けた
奴に捕まえられた幹部の数は計り知れない」
「人間同士だからか? 殺さないのは」
カチャカチャと不機嫌な顔になるラスト・ワン。
「死体よりも生きている方が懸賞金が高くなる」
「ふん、 どうせ殺すんだろ?」
「この国では死刑制度は認められていない」
「人間は良く分からない事をする、 何故だ?」
「嘗て冤罪で婚約者を殺してしまった王がいたそうだ
その王が制定した法だ、 最も勢いあまって殺された幹部も多いがな」
「ふん・・・」
「ワインは?」
「結構だ、 それよりも人間、 俺を呼んだ理由は何だ?」
「率直に言おう、 手を組まないか?」
キターゾが微笑む。
「俺のファミリーの力とアンタの魔王軍残党の力を合わせれば
あの田舎勇者にも対抗出来るだろう」
「こちらには既に人間の手下が居る、 もう人間の手下は要らない」
「対等なビジネスパートナーとして考えて貰えればいい」
「対等?」
カシャリと眉を顰めるラスト・ワン。
「魔王すら倒す奴の力、 恐らく我々それぞれの力だけでは対処は出来ない
もしも独力で奴を倒せたとしても、 だ
しこりが残る、 ファミリー最大の敵を四天王に奪われたか
魔王の仇をマフィアに奪われたか、 後の争いの火種になりかねない」
「ふむ・・・」
「互いに協力して共通の敵を倒す、 人間と魔物が協力して勇者を倒すんだよ」
「なるほどな、 確かに理想的な話だ」
ほっと一息吐くキターゾ。
「だがしかし、 聊か思い上がりが過ぎる」
「え?」
ドッとキターゾの腹から血が溢れる。
「なっ・・・」
「人間如きが魔物と対等に話が出来ると思うな」
ラスト・ワンは自身の腕を射出した。
ラスト・ワンの体は球体間接人形の様になっており関節部は自在に発射可能である。
そしてワイヤーで自身の体に腕を戻す。
「護衛も付けずに一人で来る愚かさを悔いるが良い」
ラスト・ワンは身を翻してその場を立ち去る。
「覚えていろ・・・ぜってぇ勇者諸共ぶち殺す・・・」
ラスト・ワンが立ち去った後によろよろと腹を押さえながら立ち上がるキターゾだった。
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