デッド柿
武州人也
第1話 リベンジャー爆誕!!
――私はもう、死んだのだ。
一人の女が、枯れてしまった柿の苗木の前にじっと立ち尽くしていた。熱帯夜特有の生暖かい夜風が、草木を吹いてざわめかせている。
――自分は、全てを失った。
女には、何も残らなかった。職を追われ、恋人とももう終わりであろう。残ったのは、手に握られた薬剤入りの注射器だけだ。
――この恨み、どうして晴らさずにおられよう。
注射器の針は、街灯に照らされて冷たい光を放っている。女はその針を、柿の苗木に突き刺した。そして押し子を親指で押し込み、緑色をした薬液を注入していく。
――これでいい。奴らめ、地獄を見せてやる。
空になった注射器を投げ捨てた女は、懐からもう一本の注射器を取り出した。その注射器にも、あの緑色の液体が入っている。
女は自らの首に針を突き刺し、緑色の液体を血管内に注入した。注射を終えた女は、その場にばたりと倒れ伏した。
一時間ほど経った頃であろうか。倒れた女は、突然むくりと起き上がった。女はそのままふらふらと覚束ない足取りで歩き出し、
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