少年の夢

早瀬茸

第1話

あの星を掴んでみたい。


 そう思ったのは一体いつだっただろうか。少なくとも、年齢が二桁になる前だったような気がする。

 大人達にそのことを相談すると、大人達から失笑しながら否定の言葉を言われたのを今でも鮮明に覚えている。

 

 まあ、確かに星を掴むことは叶わなかった。掴もうとするには、あまりにも星が巨大だったからだ。

「もしかしたら、あの人たちはそのことが分かっていたのかもね。でも……」

 あの人たちは僕の今の状況を予測してはいなかったであろう。

 あの人たちは今の僕の状況を見たらどのように思うのだろう?

 ありえないと否定し事実から目を背けるか、それとも素直に讃えてくれるか。

 どちらかかも知れないし、どちらでも無いかも知れない。

「まあ、そんなのどっちでもいいんだけどね。だって、僕は……」




 ――もう故郷には帰ることは出来ないのだから。

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少年の夢 早瀬茸 @hayasedake

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