私の居場所 190
隊長が駆るセダンが走り去りました。
さて、日向隊員がたった今言った「あいつら」こと老松啓一一派ですが、実は30分ほど前ここに来てました。
暗闇の路傍。モヒカンの男が双眼鏡を構えてます。かなり特殊な双眼鏡。どうやらスターライトスコープのようです。
その双眼鏡が捉えた2人の警官。モヒカンの男がぽつり。
「ち、あいつら、今日もいますよ!?」
啓一が応えます。
「ふ、だからなんだ!?」
啓一は90度振り返りました。するとそこにも道が。3人は道路と道路の角に立っていたのです。
「さあ、行こうぜ!」
啓一は歩き出しました。残り2人は頭に?を浮かべてます。
「ぼっちゃん、どちらへ?」
啓一は眼だけ振り返り、
「あの家の背後から回り込むんだよ」
モヒカンの男も歩き出しました。
「もしかして後ろの家から回り込むんですか?」
「ああ!」
リーゼントの男も啓一を追い駆けて歩いてます。
「あは、ぼっちゃん、頭いいなあ」
「当たり前だろ!」
モヒカンの男は啓一が肩に掛かってる長細いものに疑問を持ちました。
「ところでぼっちゃん、さっきから気になってるんですけど、その肩からぶら下げているもの、いったいなんなんですか?」
「ふ、これか?」
啓一は長細いものを降ろし、それを包んである布を1/3ほど取り除きます。
「これはなあ・・・」
啓一がスッと中身を抜くと、それは日本刀でした。啓一は誇らしげに、
「ジャーン!」
モヒカンの男とリーゼントの男はびっくり。
「日本刀!?」
啓一は鋭く輝く刀身を見て不気味に笑い、
「ふふ、これで
3人が角を曲がりさらにしばらく歩くと、真土家の背後の建物が見えてきました。ある程度近づくと、3人ははっとして立ち止まります。
「ええ~っ!?」
なんとそこには高い壁が。その上端には鑓かモリのような鋭い金属製の装飾が上に向けて等間隔に設置されてました。啓一は慌てて駆け寄ります。
「お、おい、なんなんだよ、この家?」
壁の端には駐車場と思われる巨大な扉が。丸ごと上に撥ね上がるタイプの扉です。モヒカンの男がその扉の端の隙間から中をのぞき込みます。
「うわ~ ベンツやポルシェが駐まってんよ!?」
慌てる啓一。
「おい、ここ、ほんとうに
リーゼントの男はスマホを見て、
「ほ、本当のようです・・・」
リーゼントの男はスマホの画面を啓一に向けます。
「これを見てください!」
リーゼントの男はスマホの画面を指差します。
「ここが真土灯里の家」
それは航空写真。今指先は真土邸を差してます。リーゼントの男はそのまま指を滑らせます。差した建物は・・・
「ここがこの家ですよ」
たしかに真土邸の真裏はこの家。しかもこの家の土地の道路境界線は、真土邸のそれより2倍以上はありそう。右側も左側も真土邸の隣地境界線を大きく越えてるのです。これでは角から入るのは不可能です。
啓一は巨大な壁とその上端に装備された鑓のような装飾を見て、
「ど、どうやってこの中に入ればいいんだよう?・・・」
リーゼントの男はぽつり。
「これだけの物々しさ。この家の持ち主て、もしやヤクザの親分さんじゃ?・・・」
それを聞いて啓一はまたもやびっくり。
「ええーっ!?」
警察なんか怖くないと思ってる啓一たちですが、ヤクザは別のようです。
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