私の居場所 170

 高浜さんの発言が続いてます。

「オレが選挙で大勝すればいい! もしオレがたくさん票を獲って当選したら、やつら、オレの言うことに絶対耳を傾けるはずだ!

 それでもネット民側につく議員がいたら、その次の選挙は、オレが政党を作って立候補すると宣告してやる!

 オレが来年の選挙で3人くらい当選できる票を獲得したら、やつら、絶対文句は言ってこないはずだ。

 3人当選させることができる人が他に政党に作って出て行ったら、自動的に3人国会議員が減るんだからな、与党から。絶対オレの言うことを聞くはずだ!」

 隊長は心の中で苦笑し、思いました。

「おいおい、そんなに票取れると思ってんのかぁ、この人? ちょっと甘すぎだろ?・・・」

 次に発言。

「とりあえずあとは我々が善処しましょう。あなたはこの件から手を引いてください!」

 高浜さんは考えました。そして・・・

「わかりました。私はこの件から手を引きます。あとはおまかせします!」

 高浜さんは諏訪さんを見て、

「行こう!」

「はい!」

 高浜さんは歩き出そうとしますが、はっとして脚を止めました。そして寒川隊員を見て、

「あんた、今度セッションしないか?」

 寒川隊員は苦笑。

「あは、それは・・・」

「尾崎豊の曲をろう!」

 その言葉に寒川隊員はびっくり。そして笑顔になり、

「ええ、りましょう!」

 寒川隊員は高浜さんに手を伸ばしました。握手を求めたようです。高浜さんは求められた通り、握手しました。


 パトカーが走り出しました。運転席には隊長、助手席には寒川隊員が座ってます。寒川隊員が切り出しました。

「全部公開するんですか、例の文章アレ?」

「いや~ 前にも言ったが、他人の無線LANやWi-Fiを乗っ取って書いてるやつがいるからなあ、その手のヤカラは。

 う~ん、なんて言えばいいかなあ? そう、ヒットアンドアウェイて言えばいいか? 書いた途端、回線を切ってると思うんだ、そいつら。

 そこでこうしようと思う。番組が始まったのは午後7時。日向たち真夜中のノックがけたのは、7時15分くらいだったかな?

 その間3回以上例の掲示板に書き込みをし、さらに最低1回は侮辱的な文章を書いた者の名前だけを晒そう。

 さっそく基地に帰って選定作業だ!」

「はい!」


 時間は進み、夕刻となりました。実はこの時間、いろんなところで悲鳴が発生してました。たとえば・・・

 ここはある会社の廊下。かなり大きな会社のようです。長い廊下をチャラチャラした男が歩いてます。このチャラ、例の掲示板に昨日のテレビの生放送に出演してた真夜中のノックをバカにする文章を何度も書いてた男です。

 チャラはあるドアの前に来ると、ノックすることもなくそのドアを開けました。

「ちーす! 失礼しまーす!」


 部屋の中は社長室のよう。立派な執事机には50代の恰幅のいい男性が座ってました。この会社の社長です。チャラはその男性に、

「なんですか、オヤジ?」

 このチャラ、どうやら社長の息子のようです。社長は座ったまま1枚の紙片をチャラに突き付けました。

「これはいったいなんだ!?」

 その強い態度にチャラはびっくり。

「ええっ!?」

 チャラは前に出て、その紙片を受け取りました。そしてそれを読みました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る