私の居場所 154

 ネット民がこの見附さんの発言に反応しました。

「おいおい、Technical-Hの見附がこんなに下出したでに出てくるなんて、珍しいじゃねーか!? 真土灯里てJCだろ? そんなやつに何を期待してるんだ、こいつ?」

「どーせ金もらってるんだろ、こいつ!?」

「う~ん、1億てところかなあ?」

「おいおい、今1番売れてるTechnical-Hだぞ、1億じゃ動かないだろって」

「じゃ、100億?」

「ま、それくらい払わなきゃ、よいしょしてくれないだろってw」


 ここは先ほど真夜中のノックがいた楽屋。高浜さんが1人タブレットを見てます。タブレットの画面は例の掲示板です。高浜さんはふっと笑い、

「こいつら、ほんとバカだな! 誰がそんな金出すっていうんだよ!?」


 再び生放送中のスタジオ。男性MC。

「真夜中のノックの再結成を楽しみにしてた人は、見附さんだけではありません」

 女性MC。

「大阪のスタジオを呼んでみましょう!

 大阪のスタジオさーん、聞こえますかーっ?」

 映像が切り替わり、バンドのセットが映りました。どうやら大阪のスタジオのようです。そこに別の女性MCが映りました。

「はーい、こちら大阪のスタジオです! 今日はこのスタジオにステキなゲストをお迎えしました!」

 カメラが切り替わり、ソファセットに座ったいかにもバンドて感じの白人4人組が映りました。

「Speed Bumpのみなさんです!」

 明石悠以外の真夜中のノックの5人は、Speed Bumpの映像を何度も見たことがありました。が、場所は離れてるとはいえ、同じテレビ番組に出演するのは初めて。


 楽屋の高浜さんはタブレットでこの映像を見て、

「ふっ、一生逢うことはないと思ってたが、まさかこんなところで逢うとはな・・・」


 一方ネットの世界では、Speed Bumpを見て狂喜乱舞状態。

「おっとー、本家様の登場だ!」

「この人たちが岬クルージングがI'm for it!の盗作だと証明すれば、真土勝之も真夜中のノックも完全にアウトだろw」

「扶桑テレビてなかなか気が利いたテレビ局じゃないか!」


 再び生放送中のスタジオ。日向隊員は横目で真土灯里を見て、心の中でつぶやきました。

「真土さん、どう思ってるんだろ、この人たち? やっぱ憎いのかな?・・・」

 いいえ、真土灯里にそんな気持ちは微塵もありません。真土灯里の父親が作った岬クルージングという曲とSpeed BumpのI'm for it!という曲は、どこからどう聞いても関連性はないからです。

 真土灯里が憎むべき相手は、このまったく無関係の曲を盗作だ! 盗作だ! と騒ぎ、父を自殺に追い込み、真土灯里自身に危害を加えてきたネット民たち。けど、頼りの警察は何もしてくれませんでした。

 真土灯里が唯一できたことは、名前を変え、密かに生きること。

 しかし、日向隊員と明石悠のストリートライヴを見て、自分の心の中に仕舞っておいたロック魂が復活。父親から伝授されたギターテクニックをテレビで披露し、自分を意味もなく攻撃してくるネット民たちに反撃する気です。


 大阪にいる女性MCが女性通訳とともにマイク片手にSpeed Bumpの側に。身を低くしてSpeed Bumpの1人にインタビューします。ちなみに、この男性、Speed Bumpのリーダーです。

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