私の居場所 142
「じゃ、まず私が歌ってみるね!」
日向隊員はピアノを弾きながら歌い始めました。それを聞いて明石悠はびっくり。大海原を快調に進むクルーザー。その映像が明石悠の脳内にバーンと再生されたのです。
「すっごーい! まるでクルーザーに乗って大海原を駆け抜けてるみたい!」
ピアノ弾き語りで歌ってる日向隊員も、かなりいい気分になってます。歌いながらこんなことを思ってました。
「あは、なんて素晴らしい曲なの!? うきうきわくわくしてくるよ!
岬クルージングだっけ、この曲のタイトル? ほんと海の上を走ってる気分にさせてくれる曲だよ! 真土さんのお父さんてほんとうにポケットをたくさん持ってたミュージシャンだったんだ!」
演奏が終わりました。日向隊員は明石悠に質問。
「どう?」
「あは、すごいよ。海の上を駆け抜けてる感じがしたよ! 日向さん、すごーい!」
「あは、私がすごいんじゃないよ! このメロディと歌詞がすごいんだよ!
今度はあなたが歌う番よ」
「うん!」
日向隊員は1小節ごとにメロディを教え、明石悠はこの曲を覚えました。
さて、それ以外の真夜中のノックのメンバーですが、スタジオで演奏してました。今その演奏が終わったところです。なお、ヴォーカルは真土灯里が務めてました。
高浜さんが声をかけました。
「あは、すごいギターじゃないか!」
真土灯里は応えます。
「あは、父がこの曲を作ってるとき、ずーっと傍らで聴いてましたから」
すると久領さんは、
「あは、オレたちよりずーっと早くこの曲を聴いてたのかよ!」
千石さんは真土灯里に、
「ちょっとイントロ変えてみよっか。この曲はクルーザーに乗って海の上を疾走してるって感じの曲だな? なら、イントロからそういう感じを出してみよっか!」
真土灯里は笑顔で応えます。
「はい!
う~ん、こんな感じはどうですか?」
真土灯里はギターを構えます。そして・・・
ドドドドドと重低音。さらに ブォ~~~~ン! と、ギターが唸りました。これを聴いてる千石さんは満足そう。
「そうそう、そんな感じ!
ふふ、しかし、すごいなあ、灯里ちゃんは。オレがちょっとアドバイスしただけで、こんなにすごい音を即席で出してくるなんて・・・」
と、ピアノのブースのドアが開き、日向隊員と明石悠が出てきました。
「おまたせーっ!」
高浜さんはこの2人を見て、
「ふ、用意できたみたいだな。じゃ、さっそくみんなで演奏してみよっか!」
千石さんは1枚の紙を取り出し、それを日向隊員に渡しました。
「はい」
日向隊員はその紙を受け取りました。日向隊員はその紙を読んで頭に?を浮かべてます。
「これは?」
千石さんが応えます。
「パート譜だよ。岬クルージングの、ピアノの」
日向隊員は頭の中で苦笑しました。
「あは、私、コードさえわかればOKなんだけど・・・」
全員楽器を構えました。カメラを構えた高浜さんは、その中の真土灯里を見て、
「じゃ、灯里ちゃん!」
「はい、じゃ、行きます!」
真土灯里のギターがドドドドドと重低音をあげます。そして突然、ブォ~~~~ン!という音。それを聴いて日向隊員はびっくり。
「ええ、真土さん、どうやってこの音出してんの? ほんとうにギターの音?」
ヴォーカル部分が始まりました。誰が聴いても思い浮かぶ、海の上を疾走するクルーザー。
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