私の居場所 137
暴走族の眼の前の街道を隊長のセダンが通り過ぎました。先頭にいた暴走族のリーダー格の男はそれを見て、
「来たぞ!
よーし、みんな、行くぞーっ!」
後ろのバイクに跨った男たちが応えます。
「おーっ!」
暴走族は全員フルフェイスのヘルメットのシールドを閉じました。そのまま街道へ。が、次の瞬間全員何かに驚き、全バイク急停車。
「うっ!?」
なんと上下2車線の街道を遮断するように機動隊員がずらーっと横に並んでたのです。暴走族の先頭の男はヘルメットのシールドを開けました。その顔は焦り顔。
「な、なんじゃこりゃーっ!?」
男が横目で後ろをみると、警察用のバスとその両脇を埋めるように複数の機動隊員がこちらに迫ってくるところでした。
「くーっ・・・」
さらにバイクの一団が今来た路地を見てみると、やはり警察用のバスと機動隊員がこちらに向かって迫ってきてます。
機動隊員の真ん中にいた隊長格の男性が、
「凶器準備集合罪で全員逮捕だ!」
と宣言。ちなみに、この人物、以前老松かよ率いる半グレ団体に撃退されてしまった機動隊の隊長です。
3方向からじわじわ迫って来る機動隊員。焦る暴走族。
「くそーっ・・・ こーなったら破れかぶれだーっ!」
バイクが一斉にエンジンスタート。
「いくぞーっ、お前らーっ!」
バイクがいろんな方向に急発進。それに合わせて機動隊員たちも一斉に猛ダッシュ。
「うおーっ!」
暴走族のメンバーは次々と警棒や盾で殴り倒され、アスファルトに這わされます。リーダー格の男も機動隊員に押さえつけられてました。
「くそーっ、覚えてろよ、お前らーっ!」
これを遠くから見ているモヒカンの男とリーゼントの男。
「な、なんでこーなってるーっ!?」
さらにその背後にワンボックス車が急停車。横のスライドドアが開き、サングラスの女が飛び出してきました。
女も機動隊員に取り押さえられてる暴走族を見て、唖然とします。
「ええーっ!?・・・」
女は深く考えます。
「私たちが電話して1分もしないうちに機動隊員が駆け付けて配備されたっていうの? そんなの絶対ムリ?・・・
やつらの襲撃を知ってたて人がいた? じゃ、誰が?・・・」
女は海老名隊員を思い出しました。
「あいつ、未来を見る能力があったっけ? けど、あいつはもう、この世にはいないはず?・・・」
どうやら女は、日向隊員にその能力が引き継がれたことを知らないようです。ま、これは当たり前。日向隊員の不思議な能力を知ってる人は、日向隊員自身と隊長と女神隊員だけなのですから。
走る隊長のセダン。後部座席の真土灯里は、何か疑問を持ってるようです。つぶやきました。
「さっき道端にお巡りさんがたくさんいたけど、何かあったのかなあ?」
隣りの日向隊員がニヤッとして応えます。
「さあ?・・・」
ハンドルを握る隊長は横目で後部座席に座る日向隊員を見て、思いました。
「ふふ、この前の水をぶっかけられるという予言は空振りだったが、今日は的中させたようだな」
助手席の明石悠はニヤニヤしてる隊長に疑問を持ちました。
「どうしたんですか、香川さん? なんかうれしそう?」
「ふふ、なんでもないよ」
日向たちが通う中学校の校門前に隊長のセダンが停車。日向隊員、明石悠、真土灯里がセダンから降ります。
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