私の居場所 136

 夜の上空、日向隊員はストーク号に向かいました。


 翌朝、1台のセダンが街道を快調に走ってます。その車内、昨日と同じように隊長が運転し、助手席に明石悠。後部座席には日向隊員と真土灯里が座ってます。3人の登校です。

 セダンが青信号の交差点に差しかかりました。その横断歩道手前で信号待ちをしてる(実際は佇んでる)2人組がいました。

 この2人、フードを被ってます。どこからどう見ても不自然な格好。実はこの2人、モヒカンの男とリーゼントの男でした。特徴的な頭髪を隠すために2人はフードを被ってたのです。

 また2人はサングラスもかけてました。この2人、日向隊員と明石悠を直に見てしまうと、途端にひどい頭痛を感じてしまうのです。だからこの2人を直に見ないようにサングラスを二重にかけてたのです。

 2人は通り過ぎて行くセダンをなんとなく見ました。

「行ったか?」

「ああ・・・」

 リーゼントの男は二重にかけたサングラスを取り、

「まったく学校までクルマで送り迎えしてもらうとは、お姫様かよ、あいつら?・・・」

 モヒカンの男も二重にかけたサングラスを取り、スマホに、

「おい、そっちに行ったぞ! 用意しろ!」


 ここは路地を入ったところにあるちょっと広くなった場所。10台ほどのバイクが駐まっています。駐まっていると言っても、すべてのバイクに2人が跨ってます。全員バイク用の真っ黒な革ジャンを着てます。

 後ろに乗ってる者を見ると、金属バットや単管パイプなどで武装してます。全員フルフェイスのヘルメットを被ってますが、先頭のバイクに跨ってる男だけは被ってません。その男はスマホを電話として使ってました。

「了解っすよ!」

 男はスマホを革ジャンの胸のポケットにしまうと、フルフェイスのヘルメットを被り、横目で後ろを見て、

「行くぞ、野郎ども!」

 後ろにいた男たちが反応します。

「おーっ!」

 バイクが一斉に走り出しました。


 再びモヒカンの男とリーゼントの男。リーゼントの男がぽつり。

「大丈夫かよ、あいつら?」

 モヒカンの男はニヤッとして応えます。

「ふ、姐さんの傘下にある暴走族の中でも、もっとも武闘派と言われてる連中だ! きっとやってくれるはずだ!」


 街道を走る隊長のセダン。実はその真上を透明になったドローンが追跡してました。


 コンビニの駐車場に駐車してあるワンボックス車。いつもドローンを使って日向隊員たちをガードしてるワンボックス車です。

 その車中。サングラスの男がモニターを見ながら、

「あの~ いい加減休んだ方がいいんじゃないですか?」

 同乗のいつものサングラスの女が応えます。

「ふ、私の身体はねぇ、2/3は機械でできてるんだ。だから寝る必要がないんだ」

「あはは、それは知ってますよ。けどねぇ、残りの1/3は生身なんでしょ? 大丈夫なんですか?」

 と、モニターを見てた女がはっとします。

 女が見ていたモニターに先ほどのバイクの一団が映りました。街道と路地のT字路の路地側です。全バイク、人を乗せたまま停車してます。

 サングラスの女はちょっとびっくりしてます。

「あれは?・・・」

 サングラスの女は同乗の男を見て、

「警察に連絡を! 早く!」

 男はその命令が出る前に、スマホを耳に当ててました。電話として使ってるようです。

「もう電話してますよ!

 あ~ もしもし・・・」

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